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【副業の誓約書を公開!】副業禁止の大手メーカーで最終的に副業の許可をもらえたリアルな方法|ファシネコ第1話 副業の会社承認

副業・複業が解禁されつつある中で、会社から副業許可をもらうプロセスがきちんと書かれた記事はあまりないように思う。そこで、今回の記事では、副業承認を得るノウハウとフローを書いてみることにした。

労働基準法や厚生労働省のガイドラインの情報などもまとめている。副業に対して厳しそうな会社に勤めている人や、こっそり副業するしかないと考えている人にとって、参考になるはずだ。

じっさいに、僕が勤める大手メーカーでは、副業が基本的に禁止されていた。しかし、手順を追って申請することで、許可は確実に降りた。会社に禁止されているから副業はムリと諦めている人がいたら、すごくもったいない。
この記事では、真っ当に会社に筋を通すプロセスを共有できたらと思う。原則副業禁止の会社において副業の許可をもらう決め手となった誓約書のテンプレートもシェアしている。ぜひ、最後まで読んでくれたら嬉しい(1ヶ月限定で無料公開する。その後は、有料にするつもりだ)。

日本では副業が禁止されていない

僕の横には、あのネコが座っている。あいかわらず澄ました顔で座っている。

「調べてみてわかったことなんだけれど、サラリーマンの副業は法律上拘束されていないそうだ」僕は、試しにそうやって口に出してみる。

「人間なら学校で習ったと思うんだけど...」と、すかさずネコが話しはじめた。

「憲法では職業選択の自由が保障されているよね(日本国憲法第22条1項)。そして、労働者が労働時間以外の時間をどのように利用するかは、基本的には労働者の自由だ。

また、労働基準法をはじめとする労働関連の法律でも、とくに副業を拘束するような規定がない。つまり、本業に加えて副業をすることは個人の自由とされているんだ」

すごいな君、よく知ってるな。でも、たしかに、ネコの言うとおり。

会社が社員の副業を制限したいときは、就業規則に定めるしかないようだ。だから、どこかの企業に勤める人が副業をはじめようと思ったら、さいしょに確認すべきは勤め先の就業規則ということになる。

副業に関する定めは、おそらく、次の3パターンになるだろう。

①届出制とする
②許可制とする
③原則禁止とする

①届出制や②許可制であれば、副業承認を得るための手順や条件が決まっているはずだ。所属長や人事部へ問い合わせて手続きを進めよう。また、副業を許可した前例があるはずなので、チェックするとよい。

「歴史のある会社においては、兼業農家さんのために例外的に副業を承認する制度を作ってあるところも多いんだよね」ネコが得意げに言う。

では、副業が③原則禁止されている場合は......?

「就業規則で副業が禁止されていたら、もう絶対に副業しちゃいけないって思うよね」と、僕の気持ちを代弁するかのようにネコが言う。

「僕も最初はそう思った。でも、世の中の流れを読んでみると、きちんと申請さえすれば許可をもらえる気もしたんだ」と、当時の僕の考えを話した。僕が言う世の中の流れとは、以下のようなものだ。

・2016年、一億総活躍社会を目指して「働き方改革」が始まった
・2018年1月、『モデル就業規則』から副業禁止規定が削除され、勤務時間外はほかの会社などの業務に従事してよいとする記載に変更された(※)
・2018年1月、『副業・兼業の促進に関するガイドライン』が、厚生労働省によってまとめられた

つまり、2018年に、日本では実質的に副業が解禁されたといえる。同年が『副業元年』と呼ばれているのは、こうした流れがあるためだ。

「収入の不足やスキルアップなどを理由として副業を希望する人が年々増えていることを政府も認めている」と、ネコが補足する。

そう、ネコの言うとおりだ。各種の経済団体のレポートを読んでみても、「人材活用に兼業・副業の促進は必要だ」ってことが、書いてあった。

「日本全体が、副業を推進する方向に向かっている。君が行動したように、社員が副業の許可を求めてきたら、会社はしっかり検討せざるを得ないだろうね」

そう話しながら、ネコは僕をずっとじっと見ている。どうしよう、おやつでもあげなきゃダメかな……?


(※)2018年1月改定、厚生労働省『モデル就業規則』第14章副業・兼業 第68条1項より

会社の立場になって、懸念点をつぶしておく

世の中の流れを読んだ結果、僕は会社に副業を申請してみようと思い至った。

「ただし、副業を禁止している会社には、それなりの理由もあるんじゃない?」無邪気な顔をしてネコが聞いてくる。

そうなんだよ。僕も、副業の申請をするにあたって、会社から指摘されるだろうと思ったことが3点あった。

①労務上の問題
②利益相反の可能性
③情報漏えいのリスク

①労務上の問題
簡単にいうと、「副業をしても本業には支障をきたしません」と明言しなければ、会社は安心して副業を許可できないだろうと考えた。副業にのめりこみすぎれば、長時間労働や健康管理上のリスクが高まる。「副業があるので残業できません、出張できません」も通用しない。

自分で起業した僕の場合は当てはまらないが、副業先で雇用される場合には、通称「通算ルール」にも気をつけなければならないらしい。「通算ルール」とは、本業・副業で雇い主が異なっても、労働時間は双方の通算となるという労働基準法上の規約だ(労働基準法第38条)。

このことから、原則として副業が禁止されている会社においては、他社と雇用契約を結んで副業することが難しいとわかる。2箇所以上の会社や団体で社員となった場合、業務の裁量や管理が複雑になるためだ。

つまり、本業で会社と雇用関係のある人が副業をする場合は、個人事業主として、または、自身の会社を立ち上げて事業を行うことが必要となる。

本業で所定労働時間を使い切っている場合、副業先での労働は残業になってしまう。副業先と雇用関係が発生する場合は、副業先での労働時間を会社へ報告したほうがよいだろう。 通勤手当や労働災害に関する取り決めも、別途必要な場合がある。

②利益相反の可能性
利益相反の可能性とは、「会社の利益を個人の副業に利用する可能性」のことだ。

例えば、本業でお付き合いのある取り引き先から、個人事業の仕事を請けるのは避けるべきだ。その取り引き先は、勤務する会社の営業活動を通じて得たものだからだ。また、個人のほうが業務委託費を安くできることから、貴重な顧客を勤務先から奪ってしまうことになりかねない。また、本業の勤め先が利益相反と認識しうる情報(ノウハウなど)を個人の副業で使うことはできない。

③情報漏えいのリスク
企業秘密や顧客情報が外部に流出するリスクが高まることも、会社が副業を許可できない理由になりえる。副業と本業で、使用するデバイスを分けるなど情報の取り扱いとセキュリティを考慮する必要がある。会社を説得する上で、競合他社での副業をしないといった安心材料は揃えておこう。

まとめると、社員の副業に関して会社が懸念するだろうポイントは以下の3点だ。

・労務上の問題
・利益相反の可能性
・情報漏えいのリスク

逆に、これらのリスクがない、または、自己管理をきちんとできることさえ会社に説明できれば、副業禁止の会社でも承認を受けられるような気がした。ここまで来て、僕はさっそく、上司に副業を打診してみようと思った。

上司と人事部と協力して書類を準備する

「はじめて副業の相談をしたとき、君の上司は何て言ったんだい?」まんまるの瞳で、ネコは僕に聞いてきた。

「ありがたいことに、本業に支障がないのならと、上司は僕に理解を示してくれた。加えて、人事部への説明も一緒に考えてくれるなど、上司は僕をよく応援してくれたんだ。その流れで、人事部にも副業の申請をしにいくことになった。

人事部では、副業を許可するのは例外的なので僕自身で誓約書を作成し、人事部長から承認を得る形にしてくださいと言われた。といっても、人事部の社員さんに内容を確認してもらいながら誓約書を一緒につくっていくイメージだった。

副業を許可する仕組みが会社になかったから、2者間の話し合いを通じて、中身を整備していったよ」と、僕はネコに返事をした。

誓約書には、副業でやる仕事の内容のほか、次の2点を明記するようにと教わった。

・会社および本業との利益相反がないこと
・命ぜられた仕事を完全に出来る状態で出勤すること(完全労働義務)

さっそく僕は、内容を書面におこし、人事部にチェックをお願いした。

そこから、こまかな修正がメールベースで行われることになった。約3カ月間、やり取りを重ねただろうか。最初は2点だった遵守内容も、最終的には7点になった。

追加になった誓約項目

・職務に専念すること
・業務上知りえた秘密は守ること
・社会問題を起こさないこと
・体調の管理に気を配ること
・会社/本業と競合せず、背任もしないこと

「君の上司もそうだったけれど、人事部長も、どうしたら申請を通せるかという目線で議論をしてくれたんだね。副業についての会社の懸念点を先回りで考えておいて、本当によかったね」と、ネコは言ってくれた。


本業ではできない社会貢献があることをアピールする

「ちなみに、本業での君の仕事は、新規事業の立ち上げだよね。複業でやろうとしていることと本業のノウハウとで、被る部分はなかったのかい?

複業で君は、新しい製品・サービスを企画したり、既存事業の付加価値を高めるための技術開発を行ったりするわけだよね。どうしたって、本業におけるスキルを使うことになりそうだよ」と、ネコは興味津々で聞いてきた。意外と細かいところに気がつくネコのようだ。

「その線引きは、確かに難しいところだった。ただ、最終的に、複業で使うノウハウは僕個人のものに限られるってことに落ち着いたんだ。

というのも、『新規事業の作り方』みたいなものを、勤め先から教わったことがなかったから。新規事業を立ち上げるためのノウハウは、本や業界レポートといったオープンソースを通じて、僕が独自で身につけた部分が大きい。

社会的に認知されている事業開発プロセスのいくつかを自己流に組み上げたものなので、複業で駆使しても問題がないということなんだ」と、僕は説明した。

「なるほど、そこまで会社と詰めておけたら安心だ。ほかにも気をつけたことはあるの?」ネコは目を見開いて質問を重ねる。

「それと、終始、社会的価値を前面に押し出すことを意識していたかな。

社会的に必要とされていること、とくに地元企業の発展・地域の発展に貢献できることを複業でやろうとしているんだって、人事部に何度も伝え続けた」

ちょっと熱く語ってしまった僕。

「なるほど、それを止めるのは会社としても心苦しいよね。地元の中小企業のイノベーションを促進するという事業は、大手とはいえメーカー独自ではできなそうだし」

ネコは冷静に返事をした。

あれから怒涛の日々が流れ、2年と経っていないのに、副業の申請をしたのがずいぶん前のことだった気さえする。僕は当時を懐かしく思いながら、副業の許可にこぎつけた自作の誓約書をネコに見せてみた。

「これはいい!ぜひ、みんなにも配ってあげたいな」

ネコは、しっぽをピンと立てている。

「君が言う、北極星のひとつじゃないか...!」

最近のネコって、日本語読めるんだな......と、思いながら、そう言われて僕もちょっと嬉しかった。

「そうかな、それじゃあnoteに投稿してみるよ」

僕にもしっぽがあったなら、今、ピンと立っているかもしれないな。


ネコからのプレゼント

どうも、ネコです!仲よしの友達(僕)から許可をもらえたので、副業申請をもらう決め手となる誓約書のテンプレートをみんなにシェアします!

誓約書は、副業申請書と別で提出を求められることがよくあります。これから副業を考えている人がいたら、ぜひ、テンプレートとして役立ててください。

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