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Salesforce × Slackのポテンシャル

今週の紹介企業Rattleとは

今週の企業は米国のRattle。SFA/CRMツールと、SlackやTeamsなどのコラボレーションツールを連携させるSaaSで、2,600万USDのシリーズA資金を調達しました。

去年の8月に280万USDのシード資金調達を発表してから、7ヶ月弱でのシリーズA完了です。GV(Google Ventures)をはじめ、セコイアなど著名VCが参画しています。

創業メンバー3名は元々急成長中のスタートアップで働いていて、そこでSalesforceとSlackを使う中で課題とヒントを得たとのことです。その課題とヒントとは...

どんな経験から着想を得たか

創業メンバーが前職で感じた課題というのは、「営業チームにとって、Salesforceは設定が大変で使いづらい(データの登録や更新、タスク管理も大変)」というものです。SFA/CRMでは珍しくない課題かもしれません。

SFA /CRM系のSaaSは色々ありますが、Salesforceに限らず、使いこなせていると自信を持って言えるユーザー企業がどれ程いるでしょうか。結果論ですが、あまり使いこなせていないからこそ、Salesforceの活用支援サービスや、SalesforceみたいなSaaSツールを活用するためのSaaSも売れている、と言えると思います。

そして、Rattleの創業メンバーが前職でSlackを使う中で気づいたヒントというのは、業務で欠かせない、頻繁に使うツールとなったSlack上でSalesforceにデータを登録・更新したりそのデータやタスクをモニタリングできたりしたら営業チームは助かるだろうという発想です。

ソリューション概要

メイン機能はシンプルに言うと、コラボ用ツール(主にSlack)上でCRM/SFA(主にSalesforce)の情報を更新/確認し、必要なコミュニケーションも一元管理できるというものです。時間の節約と、タイムリーで漏れないアクション遂行に役立つ、という効果が期待できます。

メイン機能をもう少し詳しく言うと(コラボツールはSlackの前提で)、
・Slack上で、CRM/SFAに記録すべき情報をインプットできる(インターフェースを行ったり来たりしなくてOK)
・CRM/SFAで記録された必要なアクションが、然るべきタイミングで担当者のSlackに通知される
・情報はSlack上で必要なメンバーにも共有されコメントを受けられる(コミュニケーションはSlackに集約管理できるため楽だし見逃しも防げる)
といったところです。

市場環境と強み

SlackがSalesforceに買収され、Slack自身の機能としてSalesforceとの連携も可能になっていることを見ると、Rattleのコンセプトは妥当だったということかもしれません。

一方、Slack自体が競合になったという見方もできます。それでもRattleがシリーズAまで進んだというのは、Slack自身のSalesforce連携機能では解決できない課題、満たせないニーズがあるということと見受けられます。

あるいは連携させて使い始めるまでの手軽さなども要因かもしれません。
SaaSでよくある話ですが、良い機能があることとユーザーにとって使い勝手が良いことは別です。Slack自身の機能としてのSalesforce連携も、これに当てはまるかもしれません。つまり連携機能はあるけど、連携の実装はユーザー任せなので出来ない、あるいは手間に感じるためやらない、という可能性はあります。

また、Salesforce×コラボレーション(コミュニケーション)というと、前からあるチャターが思い浮かぶかもしれません(リリースは2010年)。ただチャターはSalesforce上の情報をフォローできるということで一方向的ですが、Rattleは双方向性を持たせる(SlackにSalesforceのデータが反映されるのに加え、Slack上でSalesforceのデータ更新が可能)という違いがあると私は理解しています。またチャターはあくまで「社内SNS」ですが、Rattleが主に扱うSlackは「業務コミュニケーションツール」で、そもそもの目的が違うとも言えます。

新規事業の目の付け所

新しいツールが登場して何年か経ち定着する間に、別領域の新しいツールが普及し出すと、一連の業務フローが複数のツールをまたがって行われるようになることがあります。

Rattleのケースでは例えば、前者がSalesforceで、後者がSlackでした。
基本的にツール間の行ったり来たりは面倒なので不満が顕在化しやすいと言えます。そして新たなツールの登場は新たなニーズを生むことがあります。

こういう状況では、それらを統合し、双方向に、または普段より使われるか使いやすい方を軸にもう一方をコントロールできるようにすることで、ユーザーの負荷を減らす、というコンセプトは受け入れられやすそうです。

また表現を変えれば、既にあるSaaS同士を繋げることで新しい価値を生む、とも言えます。例えばSalesforceに乗っかったサービスはたくさんありますが、まだ乗っかっていない、あるいは乗っかっているが不十分なSaaSをうまく乗っからせる、もしくは双方向に乗っかり合えるようにする、というイメージです。まだまだSaaSが増え続けている世の中では可能性があるかもしれません。

当社では新規事業の立ち上げ支援コンサル、およびユーザー候補へのアンケート/ヒアリング用プラットフォームを運営しております。
ご質問などございましたら、Note会員の方はこちらか、下記サイトの問い合わせフォームよりお気軽にご連絡ください。
https://bizplat-req.mystrikingly.com/
今回の参照サイト
シリーズA調達 https://businessplus.ie/news/rattle-integrations/
シード調達 https://techcrunch.com/2021/08/31/rattle-raises-2-8m-from-lightspeed-and-sequoia-to-modernize-enterprise-sales-stack/
着想の背景 https://www.gorattle.com/abouthttps://businessplus.ie/news/rattle-integrations/
ソリューション概要 https://www.gorattle.com/solutions/sales-leader
Slackの買収とSalesforce連携 https://slack.com/intl/ja-jp/help/articles/227838227-Slack-%E3%81%A7-Salesforce-%E3%82%92%E5%88%A9%E7%94%A8%E3%81%99%E3%82%8Bhttps://techcrunch.com/2021/08/31/rattle-raises-2-8m-from-lightspeed-and-sequoia-to-modernize-enterprise-sales-stack/
チャター https://japan.cnet.com/article/20415587/https://successjp.salesforce.com/article/NAI-000034

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