真夏の夜のジャズ
まだ馬力が出ない。
この一週間というもの、なかなか力が出ないので、ジャズ聴いてた。
特にマイルス・ディビス。彼のリリカル、叙情的なメロディに浸ってると安心できる。私生活はボロボロだったが、やはり彼は音楽を生み出すために生まれた天才なのだなあ。散文ばかりのビジネスシーンに、いま必要なのは詩です。それもあって、マイルスずっと聴いてた。
その流れで、映画『真夏の夜のジャズ』。
1958(昭和33)年、ニューポートで開催されたジャズ・フェスとアメリカズ・カップを両方ドキュメンタリーしちゃうぞ、という欲張りな企画。
この度4Kとしてバージョンアップ、さらに映像・音響とも良くなった。
まあ、最初の頃は、観客も温度が上がらず、一曲めのジミー・ジュフリー・スリーは残念ながらスルーされてる。2曲目に期待していたら、なんと! セロニアス・モンクが『ブルー・モンク』を。これほど夏のフェスに似合わない男はいないし、似合わない曲もないと思うのだが、これに無理やりヨットレースの映像を重ねる乱暴さ(笑)
モンクは予想通り、しっかり観客を「冷やし」て退場。この時彼、41歳なんだよなあ。こういう人畜有害な人でもまだ出場できた古き良き時代だったんだろう。
つづけてソニー・スティット『ブルース』でようやく観客たちが「これこれ、これですよ、待ってたのは!!」。
夏のジャズフェスらしくなってきたー!!
ホッとしたのもつかの間、裸足のおねーさんが上がってきた。見るからに挙動不審。
アニタ・オデイ(Anita O'Day)。この時39歳。
アフリカンみたいな妙なリズムで『スウィート・ジョージア・ブラウン』(Sweet Georgia Brown)を歌い始めるが、寝てる人もいる。お菓子食べて・・・ノリノリにはほど遠い・・・と、一転、ミディアムな色気あるブルースに転換、この一瞬、観客の心、ぐっと吸引。場の空気、変わる。
*次のYou Tubeにそのあたりの空気全部、収められています。
曲が終わると、「もっとやって〜!」とリクエストが。
『二人でお茶を』(Tea for Two)。知ってる曲だが一度も聴いたことのないアレンジとリズム。まるで知らない曲。もう、ここで観客は全員釘付けだ。
このフェス、この後、人気者ジェリー・マリガンやサッチモ(ルイ・アームストロング)出てくるのわかっているのだが、ここでまず、山場を迎える。
芸人として、ほんと、勉強になるシーンだ。あれほどの寒いスカスカの空気の舞台に出て場をつかむ力。
あー。早くライブの場に出たい。でもまだ、馬力が出ない(笑)
それにしても、ジャズは詩だね。美しい。
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