感動に寄り添う
実家の広島から両親が来た。
箱根に案内し、ロープウェー乗った。
絶景。
同乗の客が景色を前にして、ケータイで何か懸命に打ってる。目の前絶景なのに、見ているのはケータイ画面。
わかった。
この感動を誰かと分かち合いたいんだ。
だからメールしてる。
いま自分は両親との初めての箱根旅行を動画におさめようとビデオカメラで撮影してる。
だとすれば
ケータイに、カメラつけたらいいんじゃないか?
J-Phone(当時、のちボーダフォン、現在のソフトバンク)で「次の一手」を探っていた高尾慶二さんに「カメラ付きケータイ」のアイデアが降りてきた瞬間だ。
J-Phoneはケータイ事業参入最後尾、「つながらない」と不評だった。
先行するガリバーたち・・・ドコモ、auに立ち向かうため、「他社がやっていないこと」を探る毎日。
ケータイそのものがまだ一般的ではなかった。ポケベルの「できないこと」を「できる」ようにしようと、「長いメールが可能」を目標にした。
技術的にクリアした。
と思った矢先、ドコモがiモードを発表。「長いメールが可能」という「売り」が「売り」ではなくなった。それどころか、J-Phoneユーザーのドコモへの乗り換え解約が殺到した。
「上」からは、「ドコモさんみたいなものを作れ」と言われたが、乗り気になれなかった。
「うちにしかできないものは何だろう」
探っていた矢先の箱根だった。
ケータイにカメラがつくことで、人類に新しい習慣が生まれた。
ビジネスは、習慣を作ること。
SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)は「いつでもどこでも撮影し、すぐ投稿できる」習慣を前提に生まれた。
ソーシャル・ネットワーキング、人と人を画像と動画でつなぐ。
感動、ドヤリング、マウンティングが画像と動画になった。
面白いのは、この、人類の新しい習慣がちゃんと予算も設備も研究員も整った研究所から生まれてないこと。
箱根のロープウェイから。
そういえば、シュレッダーは、高木禮二さん(明光商会・前社長)が「重要書類を安全に廃棄する」方法を考え、探りあぐねていたとき、たまたま入った立ち食いうどんの店、製麺機から出てくるうどんで着想した。
J-Phone、寄せ集め集団で、マツダ、JR、鉄鋼会社・・・などが「ケータイ事業、儲かるみたいやで」とくっついた組織。
後発も後発。高尾さんはマツダ出身だ。大企業では面白くない、というので、手を挙げた。
上の記事でも書いたが、イノベーションが出てこないのは、人の問題じゃなく、組織サイズの問題。小さくすれば、アイデアは出る。
カメラ付きケータイを「製造」したメーカーはシャープで、当時他のメーカーに出遅れ、へたするとケータイ事業部がなくなるかもしれない、という崖っぷちだった。だから良かった。
改良、改善は日本人の得意とするところ。
でも、人間の感動には限界がない。
感動に寄り添う姿勢で帯電していれば、きっとまだまだ新しいものをイノベーションできる。
そしてそれこそが、個人や小さな会社のミッションだと思う。
今日これから雪舟伝説行く。
雪舟という人はセルフ・ブランディングの達人だと見ている。
そもそも「雪舟」という名前、親がつけたものじゃないだろう。
センスいいネーミングだ。
名前ひとつとってみても、マーケティングセンスが抜群とわかる。
何が見つかるか、楽しみです。行ってきます!!
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