未来は、すでに起きている。その部品に着目すれば
ビジネスをやる以上、「これからどうなる」というのは常に観察・考察しつづけなければならない。
その観察・考察から;
フォーカス・マーケティングや共感企業(エコシステム)の発想が生まれ、現実の仕事やクライアントさん、塾生のみんなとシェアし、成果を出してきた。いまも出している。
では、これからどうなる?
昨今の話題では、ChatGPTを始めとするAIが及ぼす影響だろう。
人類のさまざまなエリア・・・メディア、教育、法律、ヘルスケア・・・すべてに影響を与え、業界構造を根本からひっくり返す。
という論が目立つ。You Tubeでも叫んでる。
だが、ぼくはそうならないと読んでいる。理由はいくつかある。
第一に、AIはあくまで道具であり、主役にはならない。
第二に、ビジネスは人間が人間に対して行う営みであって、肝心の人間の「ものの見方・考え方」はそう簡単には変わらない。
通勤途上、工事現場がある。今日は日曜だ。本来なら、お休みのはず。ところが、囲いの向こうで、何かコツコツ音がしてる。作業員が出てきて、何かやっている。
『ウェッジ(Wedge)』誌最新号(2023年9月号)が特集しているように、建設業の「KFS(成功の鍵)」はテクノロジーでも価格でもデザインでもない。
「工期に間に合わせる」ということだ。発注主と契約を交わした竣工日を遅らせることなく、きちんと建設を仕上げる・・・これは今に始まったことではなく、ぼくがヘーベルの営業やっていた30年前と変わらない。「工期に間に合わせる」イコール「人の手配」だ。
人が、集まらない。
『ウェッジ』記事が呼びかけるように、建設業の魅力向上の本丸は、働き方改革ではない。
建設は、天候に左右される。台風が来たら否応なく工事を止めなければならない。その分、作業が遅れる。しかし、引き渡し日は絶対である。当然、早朝深夜休日に空いた分を埋めなければならない。残業ダメだの働き方改革だの眠たいこと、言ってはいられない。
「発注者がエラくて、受注者が弱い」という人間の意識が変わらない限り、建設業の悩みは消えない。AIがのこのこやってこようが、同じだ。
ドラッカーは、言う。
AIは、本当に社会をひっくり返すのだろうか。
コダックやブロックバスターが変化に乗り遅れて破綻したように、産業のさまざまな分野で同様の「ひっくり返し」が起こるのだろうか。
エコノミストは、「ノー」と言う。
理由の第一は、「強いエスタブリッシュメント企業」は圧倒的であり、「ひっくり返し」には遭わない。
むしろ強い企業はAIを取り込んで、より強くなる。ChatGPT生みの親OpenAIをマイクロソフトが取り込んで自社製品(365やブラウザEdge)をより強化したように。これによって、たとえばセールスレップやコールセンター・エージェント分野で競合していたセールスフォースやZendeskをアタマ1つ以上差をつけることができた。
「ひっくり返し」の図であれば、セールスフォースやZendeskが巨人マイクロソフトを倒さなければならないのだが。
理由の第二、仮に大きな会社がAIを自社のビジネススキルや組織運営に取り入れようとした場合、名前も聞いたことがないスタートアップに話を持ちかけるだろうか。
100%、ない。
スタートアップの製品・サービスの品質以前の話として、「チャンスに出会えない」。
強い企業は「チャンスへのアクセス」を強く広く持っている。
理由の第三は、歴史が物語る。
フォーチュン500に名を連ねる500社のうち、1990年以降生まれた企業はわずか52社。
エコノミストのグラフが如実にあらわしている。
長くなっているが、まだ終わらない(笑)
では、何をすればいいのか。
「現在のありのままの姿」を定点観測することだ。
ぼくは、ホットペッパーを定点観測している。
ここには、「ありのままの大阪(キタ・ミナミ)」がある。
飲食店と美容室に限定されているものの、「ありのままの姿」を観察できる。
中の、「誕生日・記念日サービスあり」「個室があるお店」「幹事さんお助け3000円・4000円台で飲み放題付コースのあるお店」が、キタとミナミエリアでは違う。この、「違い」が、大事なデータだ。
同じくヘアサロンページも、エリアの違いが明確に出ている。
ホットペッパーの「売り」ページだから、写真掲載は控えます。
ということで、「現在」を定点観測するためのホットペッパーの他、ぼくは、やはり本で勉強している。
この本は、「なんとなく」こうなるだろう、というのではなく、全世界80ヶ国・約2億件のイノベーション・データから導き出す未来が描き出されている。
未来は、すでに起きている。その部品に着目すれば、「これから確実に起きるであろう」ことが見える。
楽しいね。
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