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水とChatGPTとジェフ・ベゾスからの手紙

知らないことはまだまだあるなあ。

コーネル大学コンピューターサイエンス・マシンラーニング研究者たちの論文読んだ。それによると、ChatGPT-3をトレーニングするのに水が大量消費される。その量たるや70万リットル、BMWを370台、テスラなら320台生産するのに使う水量と同等という。

出典:https://arxiv.org/pdf/2304.03271.pdf

ChatGPTに質問をするのにも水が使われる。25〜50個質問すると、500ミリリットルの水を消費する。ペットボトル一本分だ。

ペットボトルをご存じない方のために、写真載せておきます。

水資源を大量に消費する産業は昔からあった。
パルプ・紙・紙加工品生産、化学工業、鉄鋼業など。そこにいま、半導体が仲間入りしている。半導体は家庭にある製品のほぼすべてに搭載されている。スマホはもちろん、エアコン、テレビ、冷蔵庫、インターフォン・・・

最新のインターフォンはセキュリティシステムと連動しており、訪問者すべてをモニタリングし録画しておける。JOYWOWオフィスのインターフォンでは100件まで自動アーカイブされる。だから留守していても、「誰が・いつ」来訪したのか動画で残っている。

これらすべて、半導体のおかげである。

半導体は、用途ごとに、それに合う物質を加えることで期待される性能を備える。不純物がくっつくと、望ましい性能を得られなくなるため、純度の高い水で洗浄する必要があるのだ。

だから水は新たな「戦略物資」になりつつある。
インスタやFacebookをやってるメタでは、いわゆる「ウォーター・ポジティブ」活動を積極的にやっている。メタのビジネスではデータセンターが命であり、冷却水を大量に使っている。なので、「使う水」より「水を涵養し」、プラスになるよう配慮しているという。同じような活動はマイクロソフトもやっている。

さて。

ここまで書いて、この話、落ちがないことに気づいた(笑)

仕方がないので、ジェフ・ベゾスから手紙が来た話をします。

2001年1月26日配信メルマガSurfin'より。当時ぼくはマンハッタンに住んでました。

wave # 151.ジェフ・ベゾスからの手紙

 アマゾン(.com)から注文していた本が届いた。

封筒が同封されていた。

 アマゾン・スマイルの1セント切手が描かれたデザインだ。中に、実物の1セント切手が10枚と、手紙。


要旨を訳してみよう。

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親愛なる友人の皆さんへ この五年、アマゾンは皆さんの生活をより良くするために努力してきました。

おかげで会社は成長し、サイトデザインも磨かれ、提供するサービスも豊かになったと自負しています。

社員一同一所懸命がんばってはいるのですが、まだまだ充分皆さんの不便を満たすことができているとはいえません。

このことに気づいた私は、愕然としてしまいました。

皿を洗えません。

ドライ・クリーニングができるわけではありません。

冷蔵庫の電球をとり替えることはできません。

お好みのツナ・サラダを料理してあげることはできません。 

そんな私でも、これまでやったことのないことで、お役に立てることを発見しました。

1月7日から、普通郵便の料金が1ペニー上がって34セントになりましたね。そこで私は、1セント切手を同封することにしたのです。お持ちの33セント切手と一緒にお使いいただけます。

そう、たしかに「たったの10セント」ではあります。

しかし、皆さんの貴重な時間を考えれば、10セント以上の価値があると考えています。
こころをこめてジェフ・ベゾス
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 気に入ったぜ、ジェフ。

「私」と、一人称にしているところがいい。逃げも隠れもしない、自分が責任者と、堂々と手紙に署名しているところもいいじゃねえか。 

ジェフって、エプロンが似合いそうだから、頼めばほんとに皿を洗ったり、ツナ・サラダを作ってくれそうだし、「あらあら大変。また、電球、切れちゃったわねえ。やーね」と、いそいそと電球を取り替えてくれるイメージも、ないとはいえない(註:日本人には信じられないだろうが、米国産の冷蔵庫は、裸電球を取り付け、明かりとする。これも品質向上運動シックスシグマの賜だろう(毒))。

NY自宅冷蔵庫内の写真。新品なのに、電球がついてなかった(笑)

ドライ・クリーニング店から透明のセロファンで包まれたスーツやワンピースを肩にひっかけ家までうんしょ、うんしょ、と届けてくれてもおかしくない(実はこれはぼくの役割だ)。 

そして、米国内郵便局窓口行列現場レベルで話題になっていたのが、この、「切手代1セント値上げ」だ。

そこの「つきかた」も、うまい。 

勝つECのポイント

1. 経営者が顔を見せる
2. メッセージがパーソナルである
3. 買ってくれたひととの関係を耕す
4. オールマイティだというウソを言わない(至らない点は正直に言う)

が、見事に実現されている。

1月でアマゾンのキャッシュがショートしてしまうとか、外野はうるさいが、ぼくはジェフの肩を持つぞ。「パーミション」、一杯、渡しちゃう。応援する。

*阪本註;2001年1月のお話です。今から22年前。時の流れるのは速いねー。

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