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タッチ・ファースト(Touch First)

通りすがりの豆腐屋さんに入りづらかった。

この体験、「現代(いま)のビジネスの動き方」という今日のテーマへ後でつながってきます。今日はここから。

所用あり、帝国ホテル大阪へ向かって歩いてた。
ふと気づくと、道沿いに、昔ながらの「町の豆腐屋さん」がある。
お豆腐は最近お気に入りなので、気になる。
帰り、寄ってみよう。

帰り、豆腐屋さんの前に差し掛かった。
ところがね、入りづらいんです。

考えてみると、こういう個店に行く機会がほとんどなくなってるやん。

店舗といえば、スーパーかコンビニ、ドラッグストアであり、それらには「匿名」でぶらっと入れる。「匿名」というのは、「買うか買わないかわからないけど、入る」ってことで、責任がない。
ところが、今目の前にある個店は、一度入ったら、何か買わないで出る、というのはなかなかしづらい。

昔は、こっちのタイプのお店ばかりだったのにね。

入った。

何がいいのかよくわからないので、一つ、買った。後ろに新しいお客さんが来て、別のお豆腐を買ってた。それはお店の名前のついたお豆腐なので、そうか、名物なんだろう、それも買わなきゃ。合わせて二つ買った。

帰り道、気づいた。

これって、ビルボードの集計指標の根拠で言っていたところの「接触」と「所有」の問題だなと。

ビルボードチャートFAQページから引用すると;

「所有」=「売上」のみならず、「接触」も考慮する。これは現実的だし、フェアだ。

音楽業界は、いま、とても健康的になっている。というのも、健康的な指標を軸とするビルボードを一つのものさしとして動いているから。

この記事でも紹介したけど、2010年代前半は、CDを箱買いする一部の濃いファンによってオリコンチャートのトップ5がAKB48に独占されていた。結果、「聞いたこともないけど、売れてるらしいね」という曲があふれた。健康的ではないし、当の音楽にとっても幸せとは言えない。

これは、「CDの所有」だけが指標であり、「その音楽に接触して楽しんだ人たち」は無視された、ということだ。

ビルボードは、こんな感じ。

2023.9.23現在

これを見ると、BE:FIRSTの『Mainstream』はCD販売2位、ダウンロード数1位、ストリーミング数5位、全国のFM/AMラジオ放送回数1位、2つ飛ばして、国内での動画再生回数1位、チャートイン数1位。総合1位。

この中のPCによるCD読取数とTwitterリツイート数は現在、指標から外れてます

不健康なのが「なにわ男子」。CD販売数だけが1位、他は圏外だったり90位、94位だったり。「あの」事務所がお金にモノを言わせて物体としてのCDを箱買いし、ランキングを上げていると明らかだ。不健康。

このように、いまは、ウソがつけない時代なのである。

「愛される」ということは「接触したい」という思いが先にある。

いまのビジネス、流通だけ取り上げても、スーパー、コンビニ、ドラッグストア、基本、自由に出入りできる。レジすら、自分で勝手にやれる。
棚を自由に見て歩ける。

ということは、「接触」が自由にできるということだ。

出版業界はいまだに「本の所有」でコンテンツの良し悪しを決めている。

いまもあるのか知らないが、「紀伊國屋書店の売上ランキングで重版かけるか決める」という摩訶不思議なルールがあるのを聞いて、出版デビューしたばかりの新人作家のぼくは納得できなかったが、出版社の力は大きかったので、黙ってた。

某編集者は「うちの社長は売れる本が良い本だ、と言っていて、ぼくもそう思います」と言っていた。

大きな書店に行くと、どこの書店の平積みも、同じ顔になっている。それはこの20年以上、変わらない。本というのは、コンテンツを届けるための物体、紙の束に過ぎないのに、その紙の束が何個「所有」されたかでコンテンツの優劣が判断される。

ぼくが現在、出版業界と距離を置いている理由は、これだ。

BE:FIRSTは新曲が出来ると、まず、動画をYou Tubeやファンクラブ(オンラインサロン)アプリで流す。ストリーミングでも流す。接触ファーストだ。

それでも物体としてのCDは所有したいというファンはいる。そのため、CD発売もするが、順番でいうと、「十分な接触ができてから」だ。

接触ファースト、所有セカンド。
言い換えると
タッチ・ファースト(Touch First)、バイ・セカンド(Buy Second)。

ぼくがフリーランスに口うるさく言っている「イチャイチャしなよ」と言っているのは、言い換えれば「発信をしっかりやりなよ」ということで、「接触を増やせ」。

ただの接触ではダメで、ハイタッチ。濃厚タッチが欲しい。

いまのフリーランスが売っているのはコンサルティングやカウンセリング、またはエステだ。いきなり「買ってくれ」と「バイ・ファースト」やっても、知名度も何もないあなたから買う理由が見つからない。

しかも、通りすがりの豆腐屋さんの敷居が高かったのと同じく、基本、個人のやってる個店には入りづらい。

「愛される」ということは「接触したい」という思いが先にある。
ハイタッチ・ファーストを心がけましょう。

ぼくはこのnoteを全部無料で書いている。コンテンツは、高度な内容だと自負してる。有料にしてもひけを取らないはずだ。
でも、愛されたいから、
「接触したい」と思っていただきたいから無料にしてる。

毎朝、一所懸命、書いてます。
毎日読んでくださって、ありがとうございます!

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