ミームの共有こそが大事
庭を美術にしたのは日本人だけだろう。
庭には二つの形式があるそうだ。
一つは「池泉回遊式(ちせんかいゆうしき)」
たとえば、平安神宮のお庭。
ご覧のように、池があり、水がある。池の周囲を回遊して楽しむ。
もう一つは「枯山水(かれさんすい)」
昨日行った真如堂。
お寺に多い。石組と白い砂で構成される。
枯山水は、禅となじみが良いのだろう。
引いて、ひいて、引く。
あくまで主役は自分の中にあり、自分で想像をふくらませ、世界をつくる。
南禅寺豆腐さんのお揚げ担当の方のお話を聞いた。
南禅寺豆腐さんが主宰されるリアルイベント(豆腐日和ミーティング)。
20年以上お揚げを揚げ続けてきた大ベテランの職人さん。
見た目、スマートで、いわゆる「ザ・職人」という風ではない。
でも、彼の職場は常時高熱で高湿度、腕にやけどが絶えない。
サウナの中で仕事しているのと同じで、だからスマート。シュッとしておられる。
お揚げ用に調整した生地を米油で二度揚げする。
米油はその道No.1の築野食品さん製造を使用。
豆腐をただ揚げるのではなく、お揚げ専用の生地を製造する。
厚揚190℃ ひろうす160℃ ほかすべて100℃以上・・・
温度計は対流する油の温度を正確には測定できないから、職人の感覚でつかんでいる。その日によって美味しく揚がる温度は変わる。
こういうお話を直におうかがいすると、南禅寺豆腐さんのお揚げの美味しさの理由がはっきりわかったし、これからいただく際、もっと丁寧に味わおう、そんな気持ちになった。
そして;
その後、お庭を見学に出かけたのだけど、池泉回遊式は水がある、枯山水は水がない。
この、水分への感性こそが、まさに日本人の美学であり、お揚げと通じる。
お揚げはただ揚げればいいってものじゃない。
良いお揚げは、もったとき、くたっと垂れる。
「揚げているのに垂れる」
というのは、そこに技が結集しているから。
水分への感性。
ダメなお揚げは固くピンシャンしてる。
いやー。それにしても昨日の京都は暑かった。35.9℃。
暑いねー、あついねー、と言いながらみんなで歩いた。
夜、懇親会を終え、出町柳駅へ歩いていた。
「あ。月きれい」みつきちゃんが言った。
たしかに。
「月がきれいですね」ふざけて返した。
「やだー。私に恋してるの?」
ここ、漱石が「I love youを日本語に訳すなら、『月がきれいですね』としたほうが日本人の感性に合う」と言ったという伝説を前提にしてる。
こういう、「何を面白いと思うか=ミーム」が共有された仲間と遊ぶのは楽しい。
「暑かったねー。でも面白かったねー。勉強になったねー」という体験を重ねることで「ミーム」が形成され、そのコミュニティは強くなっていく。
話は変わるが、いや変わらないのだが、これから仕事の発注・受注は、この、「ミームの共有」が前提となると思う。
おととい、南禅寺豆腐さんの新ロゴマークをプレゼンテーションしていただいた。
maimaiから。
maimaiとは2018年、ぼくのロック本のブックデザインをお願いし、その後MAIDO+に参加してもらってて。
だから「何を大事に思うか」「美学は何か」「何が違うか」・・・といった「ミーム」を共有できている。
なので、「お願いして、間違いはない」という確信はあったのだけど、いざ実物の作品を拝見して、「予想以上」だった。
打ちのめされた。
もちろん南禅寺豆腐さんも大絶賛。
ご紹介したぼくも安心した。
何が言いたいかというと、いまの仕事の発注・受注スタイルが
「コミュニティ・ミームを共有することが大前提」
ということ。
アプリで単発でお仕事依頼をやろうと思えばいくらでもできる。ココナラとか、ランサーズとか、いろいろあるよね。
でもそれが
「何を大事に思うか」「美学は何か」「何が違うか」・・・といった「ミーム」を共有できている
かというと、違う。
ただ安いだけ。
それより、ミームの共有こそが大事。
これ、シングルマザーの就労支援をミッションとするJW-UPでも大事にしたいことだなあと思った。
あと、塾生にゲーム開発しているのがいて、彼の話をじっくり聞いたんだけど、どうも危なっかしい。いや、彼が作ろうとしているゲームの品質ではなく、戦略が。「稼ごうとする戦略」にガチャ要素を入れると危なっかしい。
MAIDO経済圏というのがあって、MAIDOで一緒に汗流した仲間だからこそ安心して仕事を一緒にできる。
JOYWOW経済圏もある。
ゲーム開発の塾生は、MAIDO&JOYWOW両方の経済圏にいる。
それを活かしたほうがいいんじゃないかな。
*写真はロック本ブックデザインでJOYWOWに来てくれたときのmaimai。レコードプレイヤーを触ったことがない、というので実際に。
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