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二度目の縄文時代

旧石器時代から縄文になって人は定住を始めた。あちこち動き回るのをやめて一箇所に暮らす。すると何が手に入ったかというと「ひま」である。

食料を求め、狩りをし、あちこち移動しなければならなかったのが、「ここでええやん」と暮らし始める。時間ができる。ひまの誕生である。

これって、ちょうどいまの人類と同じ。二度目の縄文時代が始まっているんだよ。

いま地球をまたにかけて動いているといえば、新型コロナウィルスくらいじゃない?

人間が移動して、いいことは1つもない(笑)

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この本は、コロンブスが新大陸を「発見」(なんてゴーマンな表現だろう)する以前の豊かな生活を描いている。ヨーロッパから人が来なければ、ひょっとすると、この大陸はもっと知性が高い場所になっていたかもしれない。戦争大好き、拝金主義がはびこる現在のような大陸ではなく。

19世紀後半に活躍したイギリスの詩人&デザイナー、ウィリアム・モリス(1834-1896)という面白いおっちゃんがいる。社会主義者だった。センス良いデザインや絵画を残している。

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当時の社会主義者・共産主義者たちと同じくモリスも革命したいと思っていた。ただ、他と違うのは、「どうやって革命を起こそうか」ではなく、「革命は簡単に起こる。その後、どうしたらええんやろ」について考えたユニークさだ。結論として、「革命によって、私たちは自由とひまを得る。そのときに大切なのは、その生活をどうやって飾るかだ」当時イギリスは産業革命の真っ只中。モリスは政治革命を言っている。たどり着いた結論。哲学者國分功一郎氏がうまく表現してくれている(*)。

「パンだけではなく、バラも求めよう。生きることはバラで飾られねばならない」     

*暇と退屈の倫理学、太田出版刊、p.28

新型コロナちゃんのおかげで、革命など起こらなくても、ぼくたちはひまを得た。移動しない生活を得た。移動しなくても食べ物はウーバーイーツが運んでくれるし、水、トイレットペーパー、石けんなど生活必需品もネットショップが玄関まで置き配してくれる(アマゾンは苦手なようだが)。エンタテイメントはストリーミングで自由自在だ。

なのになぜ人はテーマパークへ、百貨店へ、観光地へ行きたがるんだろう。それは、「定住の否定」につながらないか?(笑)

でも現代人にとって、自宅に物資やエンタメが届くのは「パン」になってしまっているのだろうね。バラで飾りたくて、移動する。

いま、ぼくたちにとって、最も必要なことは、「ひまの過ごし方」なんだろうなあ。その答えを見つけない限り、感染拡大は止まらない、そんな気がする。

前の縄文時代は13500年続いた。今回も長くなりそうだね。ひまを楽しもう!

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