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こちらキーマカレーになります

タンクローリがガソリンスタンドを給油していた。終えて、動き出した。
歩いている横を通り過ぎる。しみじみ、長い。そして、すごい。中身はマッチ一本で爆発する危険物だ。げんに車のおしりには「危」と書いてある。
ゆっくり走るその後ろに、ぴったりとくっついてせかすアウディ。可能なら追い越したいくらいの気分が伝わってくるのだけど、道路幅がない。

「教養のないドライバーだなあ」と思った。

何しろ相手はタンクローリである。あれほどぴたりとくっついていたら死角に入ってしまい、大変な事故につながるかもしれない。そして、タンクローリが運転しづらい。特に右折の際、後続車との車間距離がないと、難しい。

このへんの想像力がない。教養は、想像力を養う。

STAP細胞で有名になった理研だが、タカジアスターゼ、アドレナリンを発見し、アメリカで巨万の富を築いた高峰譲吉の発案で1917年に設立されている。ちなみに高峰は三共創業者。
理研のコンセプトに共感して力を貸した1人が渋沢栄一翁。

研究所の常として設立当初は財政難に苦しんだが、高橋克己がタラの肝油から世界で初めてビタミンAの分離と抽出に成功、「理研ビタミン」として一般発売したところ大ヒット。財政難を乗り越えられた。

以降、理研で研究開発されたものを商品化し、マーケティングする理研ビタミン株式会社に発展する。

「リケン」でおなじみ。ノンオイルドレッシングやふえるわかめちゃんを販売している。そう、「リケン」は「理研」です。

こういう技術と商品化の歴史の流れを背景に理解すると、これから世の中がどうなっていくのかが想像できる。知識が多いことが教養ではない。知識はそれ自体、相互に何の関連もない。ところが、関連させると新しい発見を生み出す。たとえば方言。関西人は「モータープール」といえば「駐車場」とすぐにわかる。日本全国みんなが知ってると思う。しかし、「モータープール」は立派な方言であり、釧路では通じない可能性がある。

「こちらキーマカレーになります」というときの「なります」はここ20年以上ぼくが怒っている間違った言葉遣いだが、もうこうなると立派な日本語といえる。間違ってない。

「知る」ことと「関連づける」ことの技ができるかどうか。想像力の翼を羽ばたかせることができるかどうか。これが、教養だと思う。

左回しにねじってました

スパークリングワインのコルク栓が飛ばないように、上のようなもので蓋されている。

ねじっているのを開いて外すのだけど、ぼくたち日本人は、「ねじってしめる」時は左(反時計回り)に回す。「ねじられたものを元に戻す」とき、右にひねって開ける。ところが、スペインやイタリアから輸入されたワインは時々逆になってる。開けるはずがいくらやってもあかないので戸惑う。これ、生活文化の違いなんだろうね。これも教養につながる。

賢治(宮沢賢治)は、空を食べたいと言った。教養人・賢治の魅力だ。

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