見出し画像

動物に触れなかった私が、保護猫2匹と暮らすまで。最終回

<これまでのお話>
その1その2その3その4

こんにちは、きじくろです。
2匹の保護猫兄弟と暮らしている猫初心者です。

前回、ようやく2匹の兄弟猫とのトライアルが決定しました。
ですがトライアル日までも色々な事がありまして…。

トライアル日が決まるまで

トライアルが決定したのは8月末のことでした。
そこから猫たちが成長するまでの2か月を待って、10月にはわが家でトライアル開始です。そろそろという頃になって具体的な日程も決まり、後はその日を待つだけだったのですがここで問題が発生しました。

なんと、猫たちに真菌が発生してしまったのです。それも2匹同時に。

当時はあまり知識もなかったのですが保護猫にはよくある病気の一つで、免疫力が低下していたり子猫の場合は珍しくもないようです。

投薬やシャンプーなどで治療をしていくようになるため、引き続きお家でも行えるようであれば…とのことだったのですが、環境変化でのストレスを与えてしまっては治るものも治らないだろう。ということで、一旦お店での治療に専念してもらうため予定していた10月のトライアルはしばし延期。2週間後に改めて様子を見ましょう、となりました。

ここからが本当に長い道のりで、まず当初の予定だった2週間後の検査結果は陽性。その後も投薬を続けながら2回ほど再検査を行い、ようやく陰性判定が出たのは11月末でした。オーナーさん、スタッフさんには本当にお世話になりました…。

そうして再度決定したトライアル日は12月8日
夏に始まった話がいつしかすっかり冬になり、今度こそ何事もなく進んでくれと思う一心でした。

画像1

鼻のところがハゲてしまっている当時の写真。
今は再発の様子もなく元気にしています。

12月8日

予定より大分長く待つことになってしまいましたが、いよいよわが家に2匹の猫がやって来る日です。

普段は電車やバスを利用していたのですが、猫を連れての移動を考え当日はレンタカーでお店へ向かいました。いつもと違う道のりというのもあり、何だか余計に緊張していたのを覚えています。

お店に入ると、2匹はいたっていつも通りでした。出発までは少し余裕を持っていたので、オーナーさんへトライアル中の話を聞いたりしながらお店での最後のひと時を過ごします。

その間にもたくさんの常連さんたちが2匹のお見送りのためにと来てくれていました。お土産としておもちゃやそれまでの写真なども頂いて、改めて2匹がたくさんの人たちに愛されていたのを実感します。

幼いうちに保護されて、お店へ来て、オーナーさんやお客さんからたくさんの愛情を受けて。ここから先は、そのバトンを自分が受け継ぐ番になります。ここまで繋がれた縁をここで途切れさせてはいけない、とその時強く思いました。

出発して初日

たくさんの人に見送られながらお店を出発し、家へ着くまでの車内ではいつもと違う様子を感じた2匹が不安そうに鳴いていました。「大丈夫だよー、あと少しだよー」などと声をかけつつ、それでも鳴き続ける様子に少しだけ胸が痛みます。

自宅へは30分ほどで到着しました。いそいそとキャリーを運び、部屋へ着いてオープン。ひょっこりと顔を出したキジトラの表情はついさっきまで見せていたものとは一変して、明らかに怯えている様子でした。

この顔を見た時「あのままお店にいた方が幸せだったのではないか」と思ったこと、そしてあの不安に怯えた表情はこの先もずっと忘れられません。

何とか出てきてもらってトイレの場所を教えてからは、部屋を探検するどころか籠城モード。よりによって2匹がバラバラの場所(キジトラはカーテン裏、黒猫はテーブルの隅)に隠れてしまって、せっかく一緒に来たのに…と思ったものです。

出したキャットフードも一切口を付けず、ひたすら人目のない場所で隠れる2匹。慣れるまではあまり構わない方が良いというのもあって、初日はほぼ猫がいないかのような時間を過ごしました。

そしてその夜。私たちが寝静まった後、人の気配が無くなったからかそろそろと動き出す2匹。少しして夜鳴きが始まります。

夜鳴きについては、どの猫でもあるのだろうと思います。急に知らない場所へ連れて来られ、今まで一緒だった仲間もおらず、まだ幼い彼らには不安でないはずがありません。その日は2匹に声をかけながら、いつしか自分も眠りについたのでした。

画像2

初日のキジトラ。
不安ながら外も気になる…そんな様子でした。

2日目とその後の課題

初日の不安そうな様子はどこへやら。2日目にはご飯もトイレもしっかり済ませ、部屋の探検へいそしんでいました。ある程度部屋の様子を把握してからは、まるで「最初からここにいましたけど?」と言わんばかりにくつろいだり甘えたりする2匹の姿があって、それにはむしろ私の方が安心させられていた気がします。

そうして行動範囲が拡がるにつれて、段々と人間にとって都合の悪いことも出てきました。まずは夜中の大運動会。毎日午前3時頃にドタバタと始まり、寝ている人の上を猛ダッシュで駆け抜けていきます。冬の間はまだ布団を被って耐えることができたのですが、夏だったらどうなっていたやら。

また、日中はキッチン周りについて困ることも少なくありませんでした。わが家は壁付けのよくあるキッチンなのですが、料理中にガス台へ上がってくるのでヒヤヒヤしたり、流しに入って排水溝をいたずらしてみたり…。

食卓へ上ることも当然あって、人の食事に興味津々な顔でからあげを持っていかれそうになったり、時にはお酒をこぼすこともありました。出しっぱなしのティッシュはバラバラにされますし、そもそも机の上に置いたものは容赦なく叩き落とされます。

目を離していられないというのが正直なところで、最初の頃はあれが危ない、これはダメ、あの場所は大丈夫だろうか、などと常に心配ばかりしていたように思います。特に日中の留守番を始めてからは家の様子が見えないだけに毎日不安になりながら帰宅していて、このままではよくないなと。

もちろん、ある程度「動物と暮らすことの大変さ」は覚悟していたつもりでした。その時のいたずらも猫たちに対して怒りがあったわけではありません。ただその結果でけがをしてしまったりすることがとにかく心配で、思った以上に私自身がその状況に慣れることができていませんでした。

画像3

2日目の写真。コタツが大人気でした。

トライアルを延期して

トライアルは一週間の予定でしたが、上記のこともありもう一週間だけ延ばしてもらうことをお願いしました。本来は猫がその環境へ慣れることができるかというトライアル期間ですが、動物と暮らすこと自体が初めてのわが家にとっては人が猫との生活に慣れることができるかといった意味が大きかったように思います。

トライアルを延長している間は、部屋の中でのできる限りの対策をすることにしました。キッチンへ上ることはある程度「ダメ」ということが伝わったようで、急に上がってくるようなことは少なくなりました。流しへは即席で作ったフタのようなものを置いて、これは今でも活躍しています。

留守中はwebカメラを導入し、いつでも部屋の様子を見れるようにしていました。夜の運動会は引き続きでしたが、段々と「今日も始まったな」と思いながら寝直せるくらいにはなっています。

二週間が経つ頃には猫も人もお互いの生活にすっかり慣れ、いい意味で気を抜けるようになりました。猫たちとの暮らしは、当然ですがすべてがこちらの思うようにはいきません。お互いに我慢するところと許すところがあって、初めてそれぞれの暮らしが成り立つのだなと感じた二週間でした。

本当のうちの子

延長しつつのトライアル期間が終了し、正式に2匹を引き取ることをオーナーさんへ連絡しました。これで晴れて本当のうちの子です。

最初は猫に触れられもしない状態でのスタートでした。それが今では猫のゴロゴロ音を聞きながら一緒に眠る生活です。大変なこともたくさんありましたが、それ以上の幸せを彼らとの暮らしで知ることができました。

――ということで、動物に触れなかった私が、保護猫2匹と暮らすまでのお話は以上になります。

当初の予定より長くなってしまいましたが、最後までお付き合い頂きありがとうございました!このnoteがこれから保護猫と暮らそうと考えている人の、何かの参考になればそれ以上に嬉しいことはありません。

あなたの家が、どこかの猫のずっとのお家になれますように。

おしまい。

画像4


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?