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Vol.4「キヅキランドのたね/私たちがキヅキランドをつくるわけ」

こんにちは。キヅキランドの発案者である稲盛財団のやまさきです。
2022年の夏には開発中のベータ版を用いたワークショップを開催しましたが、まずはキヅキランドの核となる体験=動画をみて見つけたことを画面に直接書きこむという体験を楽しんでもらえていて、ほっとしました。

さて今回は、私たちがキヅキランドの着想にいたった経緯についてお話したいと思います。


自分の中に生まれたキヅキを形にすることを楽しんでほしい

前々回の記事にちらりと書きましたが、キヅキランドが生まれたきっかけは稲盛財団が主催した2019年の夏休みの大規模イベント「こども科学博」の「キヅキノキ」でした。
メイン展示として開発されたキヅキノキ。遊び方はこうです。まず、こども科学博での体験で得たキヅキ(発見や疑問)をこどもたちが自由にカードに書きます。次にそれを専用のスキャナーで読み取ります。すると、大スクリーンの中の巨木「キヅキノキ」に自分のキヅキが映し出されるのです。

キヅキノキは来場してくれたこどもたちに大人気! スキャナーの前には常に長い列ができ、最終的には7500個を超えるキヅキが集まりました。

「宇宙のできあがる前の世界がどんな所なのか知りたい」
「へやにあるチリと宇宙のチリはおなじなの」
「うちゅうにさかなはいるの?」

など、想像するのが楽しくなってしまうキヅキもたくさんありました。

このキヅキノキという企画に私たちが込めたのは
「キヅキを形にすることで好奇心や探究心をもち続けてもらい、自発的な学びを後押ししたい」
「”質問すること”のハードルを下げることで普段の生活でも不思議に思う心を積極的にもってもらいたい」
といった思いです。そのため、あえてこどもたちの疑問に答えを提示することはしませんでした。

自分の中に生まれたキヅキを形にすることを楽しんでもらう。
キヅキノキでは、これが大事だったのです。

会場のスクリーンに自分のキヅキが投影されて嬉しそうにしている子や、何度もキヅキを持ってきてくれる子の姿を見ると、私たちの思いも少しはこどもたちに届いたのかな、と感じました。次回もたくさんのこどもたちに楽しんでもらえるといいな、と私たちもワクワクした気持ちで、その年の秋ぐらいから次回のこども科学博の準備をせっせと進めていきました。

2019年8月撮影「こども科学博」での「キヅキの木」

発見から疑問が生まれ疑問から発見が生まれる、そんなサイクルが自然にできるウェブサイト

そんな中、世界中を襲った新型コロナウイルス感染症。世間では人が密集するイベントは軒並み中止に追い込まれていきました。もちろんこども科学博も例外ではありません。残念ではありましたが、計画はひとまず中止することになりました。

こうして第2回のこども科学博がストップしてしまった一方で、こども科学博の反省点を考える時間もたっぷりとることができました。

「こどもたちにキヅキをたくさん書いてもらったけれど、会場が混雑しすぎて他の人とじっくり共有することはできなかっただろう」
「こども科学博はお祭りのような短期間のイベントなので、こどもたちの普段の生活での自発的な学びに結びついていかないかもしれない」

このような意見が挙がり議論する中で、ウェブサイトという形で何かできないか、と考えるようになりました。
ウェブサイトなら、家で落ち着いて参加してもらえますし、継続的にこどもたちに体験を届けられます。こうして議論を進めていき、「こどもたちが身の回りの不思議を見つけ、それをどんどん膨らませていくウェブサイト」を作ろう! ということになりました。

こども科学博のキヅキノキでは「不思議を見つけて形にすること」を実現することができましたが、ウェブサイトではそれをもう少し進めて「ひとつの発見から疑問が生まれたり、ひとつの疑問から発見が生まれたり」という繰り返しを大事にしたいと考えました。この繰り返しによって、好奇心や探究心を自然と持ち続けてもらえるのではないかと考えています。これはキヅキランドのコンセプトとして発案当初から変わっていません。

このアイデアが生まれたのが2020年4月。そしてみなさんに試験的に体験してもらえるベータ版ができたのが2021年8月。なんと1年以上もかかっています。

「どうすれば身の回りの不思議を見つけられるか」
「どうすればそれを膨らませていけるのか」
「楽しんで使い続けてもらうにはどうすればよいか」

これまでに前例のないウェブサイトなので、ユーザーとなるこどもたちの体験を考えるのも、それを実現するためのシステムを作るのも、手探りで試行錯誤しながらやっていかなければならなかったのです。

ゼロから何かを生み出すというのは時間がかかるものです。こうしてようやく歩き出したキヅキランド、体験ワークショップやプレオープンを経て、2022年の春のグランドオープンを目指して開発を進めています。たくさんのこどもたち(大人のみなさんにも!)に楽しんでいただければ幸いです。

次回(2月9日公開予定)からは、昨夏に開催されたワークショップについて、ワークショップに登場いただいた専門家の方々のインタビューやレポートをお届けしていきます。キヅキランドがどんなものかについても、より詳しくご説明していきますので、よかったらぜひこのnoteをフォローしてください。
それではまた!

Illustration: Haruka Aramaki


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