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伝統的な日本の組織でベテラン社員向けにワークショップを提供する際の3つのポイント

どうも森本です。「時代が必要とする学びの機会を作って届ける」をマイパーパスに教育や人や組織の成長の支援に関する仕事に取り組んでいます。

その中で、最近はベテラン社員向けにワークショップ、教育を届ける仕事が増えてきています。
ベテラン社員と一口に行っていますが、大きく2つに分けられます。

1つが、とっても偉い人たち(経営層や役員陣)を対象とした場です。この方々向けの場合テーマとしては、経営戦略の立案の支援であったり、パーパス策定や浸透を通じた風土改革の支援であったりというケースが多いです。

もう1つが、いやゆるローパフォーマーと呼ばれる方々です。ベテランになり、仕事に対するモチベーションを見つけることが難しい状態になっている方々向けに、もう一度、モチベーション高く取り組んでもらいたいというニーズになります。この場合は、キャリアデザインやリスキリングといったキーワードからお問い合わせをいただくことが多いです。

伝統的な大企業の中にいるベテランの方々を対象にワークショップを行う場合、現場での様子や事後に届くアンケートから、若手の方々を対象とする時やIT系の企業で行う時とは違う運用、注意ポイントが必要になってくるなということを強く感じます。

そこで今回は、私が日々の実践で学び取ってきている3つのポイントについて共有したいと思います。


ポイント1

大前提、その方々がここに至るまでにたくさんの努力があり、その中に、今回のテーマの重要な要素がすでに存在していることをベースに進めていく。

経営層役員にせよ、そのほかのベテラン社員にせよ、プロフェッショナルとして数十年のキャリアを持ち、その中にはたくさんの成果を生み出されてきています。

パーパス策定、浸透にせよ、キャリアデザインにせよ、これまでの実践の中に、成功において最も重要な要素はすでにその中にあり、今回のプロジェクトはそれと向き合ってもらうことをまず第一に考えていただきたいということをお伝えしています。

こうすることで、外部からわけのわからないものを強制されようとしているという不安や、抵抗心が和らいでいき、ワークに対して前向きな姿勢を作り出してくださるように感じています。

特にこれまで仕事に真剣に取り組んできている方ほど、「自分の中にすでにあるものを探してみてほしい」という言葉から意欲が高まっていく様子が見られてきます。この雰囲気を作り出せると、まずは成功の確率がぐっと上がるのではないかと感じています。

ポイント2

聞き慣れない人材開発、組織開発用語を用いずに、彼らが日々使っているであろう言葉や、小さい頃から言われてきたであろう言葉でのみ運用していく。

私が普段行っているワークショップでは例えば以下のような言葉を強調しながら進めていくのですが、伝統的な大企業の場合は、それらの言葉はあえて使わないようにした方がいいのかもしれないなということを感じています。

例えば、それは、「対話」「探究する」という言葉です。

組織開発を行おうとした際には、どれだけ深いレベルで「対話」や「探究」ができるかで、その成功の度合いが決まってくることもあり、普段は最初から定義や意識してほしいポイントについて丁寧に説明をした上で、本編へと入っていくわけですが、今の伝統的な日本社会にいるベテランの方々には、これらの概念はあまり聞き慣れない言葉であり、その説明をすると、逆にスムーズに行かなくなる懸念が生まれてきます。

最初は、この2つの言葉を使わずに組織開発やキャリア開発を行うなんて、どうやったらいいんだろう。。。そんなのバットとグローブを持たずに野球をやるようなもんじゃないかという気持ちだったのですが、いろいろと実践をした結果、使わなくてもなんとなできるのかもなという気持ちになっていきました。

ちなみに、私は、「対話」と「探究」という2つの言葉を使わずに、以下のような言葉で説明しています。どちらの言葉も本来の定義とはちょっとずれているし、私が目指したい深さからするとまだ物足りない感がいなめないのですが、抵抗心が生まれて、場のトーンが下がるくらいならまだ前に進む方がいいなということを思っています。

「今日は対話を深めていきましょう」→
今日はみなさんにたくさん意見交換をしてもらいます。その際には、ぜひこれまで自分が大切にしてきていた感覚や意見を共有、交換してみてください。ぜひ自分とは違う意見、考え方にたくさん触れてみてください。
ここにいらっしゃる方々は、みなさんなんらかの領域のプロの方ばかりだと思いますので、自分とは違うプロの感覚をぜひ深く味わってみてください。

「今日は探究するという意識、姿勢を大切に過ごしてみてください」→
今日は、いろいろな人と意見交換をしながら、ぜひたくさん、自問自答を繰り返していってもらいたいと思っています。
「この人の言っている言葉というのは、自分にとってはどういう意味があるんだろう」という問いを持ちながら過ごしてみてください。
そして、この考え方はいいなと思うものに巡り会えたら、ぜひそれは良い意味付けができたぞと大切に持って帰ってもらえたらと思います。

これらの説明がどれくらい適切なのかはわかりませんが、「対話」と「探究」という言葉を最初から出すよりは、いろいろと話し合いをしてもらった後で、それなりの場の力、意義を感じてもらった後で、「実はこういった取り組みをする際に大切なキーワードがありまして」と言ってから「対話」や「探究」という言葉について説明する方が、より抵抗少なく進められるのではないかと思っています。

ポイント3

グループワークで話をしてもらった後に、全体で共有してもらう時には、「グループの中で、一番言葉に力が入っていた点、白熱していた点」について共有してもらうようにする。

通常のグループワークでは、よく出てきた意見の全体感や、話をしあっての感想や発見について語っていただくことが多いかなと思います。

が、それらの問いは、主に解釈について聞いていくことになり、抽象度が高くなりやすく、何をいうのかのが良いのかと難しさが生まれてきます。

それよりは、「グループの中で、一番言葉に力が入っていた点、白熱していた点」というように、解釈というよりは「ほんのちょっと前の過去の出来事・事実」について共有してもらった方が、グループワークに不慣れな方々も話しやすくなってくるのではないかと感じます。

この内容であれば、話しやすくなるのはもちろんですが、みなさんの価値観や信念が表に出てきやすくなることもあり、そこからさらにその会社や個人の内面を深掘りながら、重要なポイントについて全体で共有しやすくなってくるのではないかと思います。

まとめ

以上、今回は、伝統的な日本の組織でベテランの方々にワークショップを行う際の3つのポイントということで書いてみました。
この世代の方々(主に40代後半から60代前半)の方々は、学校教育の中でも研修の中でも、先生や講師のいうことをしっかりと吸収することが大事という学習観をもっている方も多く、また、グループワークの中で自分の考えを表現したり、相手の考えを深ぼったりすることに不慣れな方が多いため、例えば上記のような、ちょっとした工夫を組み入れないとうまくいかないことが多いのではないかなと感じています。

上記の3つ以外にもいろいろなポイントがあると思いますので、自分、こんな工夫をしているよという方がいましたら、ぜひ共有いただけるとありがたいです。

ということで今日も素晴らしい学びの機会をどうもありがとうございました。


補足

今週から、「勝手に週刊連載」という形で、ウィークリーで、noteに記事を書いていくことにしました。何人かの仲間たちと一緒にできれば1年、休みなく続けていけたらと思っています。
私がこれからテーマにしていきたいのは以下の4つです。

・2024年の人材開発、組織開発領域での実践の中からの学びの共有
・世界のさまざまな実践や、世界にいるさまざまな人から得た学びの共有
・自分が好きなこと、趣味やライフワークの中から得た学びの共有
・そのほか、自由に書きたいことを思うがままに書いてみる

もし、自分もやってみたいという方がいましたら、ぜひ「勝手に週刊連載」というタグをつけて書いてみていただけるとありがたいです。




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