見出し画像

『ダークナイト』をようやく映画館で観ました-月は夜のみぞ光輝く-

二年前の春、今働いている会社の一次面接で
「好きな映画はなんですか?」と聞かれて、

「ダークナイトです」と答えました。


その時はテレビで観ただけでしたが、
特に映画好きではない自分がテレビに噛り付いて観た映画でした。
そんな『ダークナイト』がIMAXで再上映されるということで、早速観てきました。

やっぱり何回観ても面白い。語りがいがある。


ジョーカーを演じたヒース・レジャーは、
この映画の完成を待たずして、急性薬物中毒で亡くなったそうです。
それほど精神を擦り減らして臨んだのであろう怪演は圧巻です。
圧倒的に狂っている。


映画『JOKER』でホアキン・フェニックスが演じたジョーカーもとんでもなかったですが、個人的にジョーカーと言えば、『ダークナイト』のジョーカーだなあ。。。

画像1

原作の『バットマン』はアメコミですが、
正義が悪を懲らしめる、みたいなべたべたなアメコミ映画では決してなく、
正義の闇が一つの大きなテーマの映画です。人間臭い。


この記事読んでみて面白そうだなと思ったら是非観てください。
・犬にやたらと弱いバットマン
・ブルース(バットマン)とハービーが想いを寄せるレイチェルがたいして美人じゃない
というツッコミどころは色々あるけど笑


じゃあ以下はゴリゴリネタバレ込みで行きますね。

=====================================

バットマンの存在が逆に街の混沌を産むジレンマ


バットマンはゴッサム・シティにはびこる犯罪組織を征伐する正義のヒーロー。のはずだった…
そもそもバットマンの正体はブルース・ウェインというアメリカ有数の資産家。幼少期に親を強盗に殺害されるという悲劇に見舞われたことが、何よりも悪を憎み悪と戦い続けるバットマンを突き動かしている。
つまり、言ってしまえばバットマンの中は生身の人間な訳です。
スーパーマンのような完全に人間離れした力を持っているわけではない。

画像2

そんな彼はゴッサム・シティに蔓延る悪と毎夜戦っています。
バットマンの真似をする一般市民がでてくるほど、正義の象徴、市民の憧れのはずであった。
しかし、バットマンの存在は大きくなりすぎてしまった。。。

ジョーカーは、バットマンの真似をした一般市民を拉致し、バットマンに対し挑戦状をたたきつけます。

You see, this is how crazy Batman's made Gotham.
You want order in Gotham...
Batman must take off his mask and turn himself in.
Oh. and every day he doesn't, people will die. Starting tonight.
I'm a man of my word.

バットマンがマスクを脱ぎ正体を現さないと、毎日市民を殺すぞと。
I'm a man of my word. 俺は約束を守る男さ。
『order (秩序) 』はこの映画のキーワードでもあります。

ジョーカーの破壊的行動は毎日激しさを増し、殺しのターゲットはゴッサム・シティの市長に。市長に向けられた凶弾は、市長を庇ったゴードン市警によって防がれますが、それによってゴードンは亡くなった。(と思われていた...)

ゴードンの家族のこのセリフはバットマンが市民から憎まれる存在になってしまった象徴的なセリフでしたね。

Are you there?
Are you? You brought this craziness on us. You did!
You brought this on us!

ゴッサムの秩序のために街を自警していたバットマン。
それはゴッサムにとって正義の象徴であったはずが、
逆に『chaos (混沌) 』を産む存在になってしまった。。。


バットマンはジョーカーを殺せないし、ジョーカーはバットマンを殺せない。

画像3

バットマンとジョーカーの直接対決シーン。
(本当はジョーカーの背中越しにバイクに乗ったバットマンが見える画像が欲しかった。。。)

ジョーカーを追い詰め、バイクでジョーカーを轢きにかかるバットマンに対し、ジョーカーはこう言います。

Come on. I want you to do it, I want you to do it.
Come on, hit me. Come on, hit me.

俺を殺してみろと。 
しかし、バットマンはジョーカーを轢かず、殺すことはしなかった。


バットマンには『殺しはしない』という信念があるのです、相手がジョーカーだろうと。自分の親を殺した悪党と同じになってしまいますからね。

ある種いびつな正義な訳です。とどめを刺すことはできない。
まるで見当違いの正義感がジャマして。
それをジョーカーは分かっている。


反対に、ジョーカーもバットマンを殺せない。

それはバットマンは彼にとっての生き甲斐といっても過言ではないから。

顔の半分が焼かれトゥーフェイスになったハービーに対して、ジョーカーはこう言いました。

Introduce a little anarchy... upset the established order...
and everything becomes chaos.
I'm an agent of chaos.

ジョーカーには明確な信念/ビジョンがある。

秩序をぶっ壊し、混沌を産むこと。


映画の冒頭の銀行強盗のシーンで彼は明確に言っています。

I believe whatever doesn't kill you simply makes you... stranger.
俺の信念はこうだ。"死ぬような目に遭った奴はイカれる"

マフィアのような普通の悪党とは違い、大金を稼ぐようなことでは満足しない上等な悪党。


彼の楽しみはバットマンがいることで増幅してしまう。
バットマンはジョーカーを殺せないし、ジョーカーもバットマンを殺せない。
永遠に戦い続ける運命なのだと。


迷いのあるバットマン、迷いのないジョーカー


バットマンという正義、ジョーカーという悪。
この対比構造が描き続けられますが、正直これはジョーカーの映画といっても過言ではないでしょう。

ジョーカーの行動には迷いがない。
ジョーカーの行動に両手を挙げて共感できる人はたぶんいないと思う、
ただ彼の生き様は芯が通っていてある意味でかっこよく見えてしまう部分もあるのではないでしょうか。

画像5

バットマン(ブルース)は迷う。
本当に自分はゴッサムにとって善なのか。自分はバットマンをやめる時が来たのではないかを自問する。
そして、彼の正義はやはり歪んでいるところがあって、悪を倒すためなら、ゴッサム全市民の機器を盗聴してしまうほど。
あくまで生身の人間なので、感情的にもなるし、めちゃくちゃ人間臭いのです。

レイチェルとハービーのどちらかしか助けれない時も彼は迷わずレイチェルを選ぶ。全くの正義のヒーローとは違うところが彼にはあります。


正義のヒーローであるはずのバットマンがどこかおかしい、
悪の権化であるジョーカーがカリスマ性があってかっこいい
そんな描き方がされていると自分は思います。




この映画を『正義は何かを問うた映画』とまとめることはあまりに浅はかかもしれません。
いっぱいネタバレしちゃいましたが、ここまで読んだ方も楽しめると思うので、是非劇場で観てください。

画像5

Because he's the hero Gotham deserves, but not the one it needs right now.
彼は街に必要な人だ。ただし今は"時"が違う
Because he's not our hero.
彼はヒーローじゃない
He's a silent guradian... a watchful protector.
沈黙の守護者 我々を見守る監視者
A dark knight.
"暗黒の騎士"だ



fin.

和訳はNetflixの字幕を引用させていただきました。(時々おかしい...?)
引用の英語のフォントダサいのどうにかならんかね。

この記事が参加している募集

コンテンツ会議

私のイチオシ

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?