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【読書感想文】心理的安全性のつくりかた

石井さんの新著「心理的安全性のつくりかた」を読みました。

僕は、いまの職場は心理的安全性が高いなあ、と感じているのですが、これってなんでなんだろうな、というところを言葉にしたくて読みました。

読書感想文っていうか、なんか単なる職場自慢みたいになってて、これどうなんだろうな、と思いつつ、著者への応援の気持ちもこめて、公開しておきます。

読書前に思っていたこと2つ

①心理的安全性が高い職場は、心理的安全性の話をあんまりしない

slackで「心理的安全性」って検索すると、僕が入社してすぐくらいに「この職場は心理的安全性が高い。すごいぞ。なんでだ。」という趣旨のコメントがみつかる。けれど、その他は、あんまりみつからない。水道から水が出ることを毎朝驚く、ということがないように、意外と、心理的安全性が高い職場では「心理的安全性」そのものが話題にのぼることはあまりない。

③一方、「いい人」をただ集めれば心理的安全性が高まるわけではない

「心理的安全性」が話題に上らないこともあって、最初の頃は「いい人が集まってるもんなあ」「だから、自然と心理的安全性が高まるんだろうなあ」っていうふうに考えていたのだけど、実は心理的安全性は不断の努力で維持されているものだ、というのに薄々気づいてくる。たしかに「いい人」はいっぱいいる職場だけれど、ぼくがそれまでに所属していた組織も、「わるい人」がいるから心理的安全性が低かったわけではなかったよな。

「心理的安全性が高い」の正体(自分の職場ほめすぎかもしれない)

そもそも、どの要素をもって「この職場は心理的安全性が高い」と思っていたのかを、本書に紹介される4つの因子にそって改めて考えてみる。


「①話しかけやすさ」因子
入社してすぐに上司から「アウトプットは常に正義!」というコメントをもらったことは今でも覚えている。そうか、常に正義なのか。思ったことはどんどん言っていこう。と、ストレングスファインダーで強みのトップに活発性がある僕は、その強みをじゃんじゃん発揮していこう、と思えたし、実際、アウトプットは常に温かく受け止められた。「おもしろい」とか「なるほど」とかとかの感想とともに。
さらに、何かに対して違和感をもったときは、それを伝えることが歓迎される。相手を否定しかねないので、言う方も緊張するのだが、伝えると、感謝の意を返されることが多い。

「②助け合い」因子
これは、入社直後に僕が感じたというより、情報システム系の仕事をするときに僕が気をつけている部分でもあるけれど、なにかヒヤリハットを報告してもらったときには「絶対に怒らない」ということを心に決めているし、社内にも公言している。「怒らない情シスです」。絶対に「なんでもっと早く言わなかったんだ」は言わない。このフィードバックをすると、情シスに気軽に相談してくれなくなることを知っているから。


「③挑戦」因子
研究開発の場では、「実験が成功しなくても、仮説が間違っていたことがわかるからそのことに価値がある」という考え方は一般的だけど、研究所とは程遠い、この会社でも同じマインドで新しいことに取り組んでいるのは、面白いな、と感じた。
「〇〇というマーケ施策、やってみて、こういう結果か、ってわかるなら十分意味があるから」というコミュニケーションはいろいろなところで行われている。


「④新奇歓迎」因子
そもそも化学畑のぼくがECの会社に転職している時点で、新奇が歓迎されているよな、と。

なるほど、この因子が揃っているから、「心理的安全性が高い」と感じることができているんだなあ。

「不断の努力」の中身

上の因子の説明でも散りばめたけれど、いまの職場、かなり、行動分析的に、「心理的安全性」を高める努力がされている。「心理的安全性」のことは話題にはのぼらないけれど、本書で紹介されている「好子」と「嫌子」に相当することはすごく話されているかもしれない。

次回、同じ行動をとる確率が
「増えるみかえり」のことを「好子(こうし)」
「減るみかえる」のことと「嫌子(けんし)」
と呼びます。

たとえば、ある施策を展開すると、それはスタッフにはどういうメッセージとして受け止められるだろうか、を議論したり、情シスは「怒りません」と情報発信したり。

また、上記に書いた違和感の共有については、「結果として判断は変わらないかもしれないが、そういうリスクがあると認識した上で判断する、ということが重要である」という表現がよく社内で使われており、発言が採用されなかったとしても、それが「嫌子」にならないようなコミュニケーション上の工夫がされていることを思い出した。

気になっていること:心理的安全性の頑健性

不断の努力で心理的安全性が維持されている。「行動」にフォーカスすることで心理的安全性を高めることができる。ということは逆に、実は気を抜くといまの職場だって心理的安全性が低くなってしまうことだってありうるんだよな、と。

「好子は?嫌子は?」を考えるのを止めたら大変なことになりそう。

なお、僕が本書で一番好きなところ

社会構成主義は知っていたけど、本書で提案されている「機能的文脈主義」は知らなかった。

あらゆる科学哲学は、真理基準(何を真理とするかの基準)を持ちますが、文脈主義の真理基準はざっくり言うと「うまくいっていること」です。

そうか、あらゆる科学哲学は真理基準をもっているのか、と、サラッと書かれているけど、たしかにそのとおりだな、と非常に納得しました。

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