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【日記】大柄なかぐや姫
母がお友達からたけのこを頂いた。
採れたてを頂いたようで、まだ土がついている。
数年前から料理嫌いを自称しはじめ、たけのこスキルとネット検索センスに乏しい母がこちらを見る。
私はダイニングテーブルを見た。
底辺直径15cm、長さ50cmほどのたけのこがゴロンとテーブルに鎮座している。ビニール袋に入れられたひとつかみの米糠も、たけのこの横にちょこんと置かれている。私は母を見る。「おねがい」の視線を受け取ってしまった。
もしこのたけのこが食べられる運命でなく竹に成長したとしたら、かなり大柄なかぐや姫になっていたかもしれない。
インターネットのページを開いて処理を進めていく。ひとつの鍋に入りきらず、どこまで食べられるのか曖昧なままこれでもかと切っていく。切られたたけのこも、まさかこんなたけのこ未経験の家庭にまるごと納められるとは思っていなかっただろう。
尊大なたけのこは不器用な私の手によって10cmほどの長さで雑に揃えられ、ようやくレシピサイトと同じくらいの大きさになった。
鍋ふたつがパンパンになった。
鍋が噴きこぼれないよう、私は監視官に変わる。
コンロの横でスツールに腰掛け、まだ土を拭いていないダイニングテーブルのざらりとした感触を手に味わいながら、素人のまなざしでじいっと鍋を見つめる。鍋がふたつもあるから、どちらも見逃してはいけない。うっかり噴きこぼれてしまったら、大柄なかぐや姫は竹を割ったような先輩監視官に私を槍でつつき緑色の牢獄に入れるよう命令するだろう。ああ、恐ろしい。
インターネットの傀儡である新人監視官は、米糠がどんな効果を及ぼすのかわからないまま、ぼこぼこと音を立てる鍋を見つめる。
たけのこのふんわりした香りが監視部屋を漂う。
メンマと炊き込みごはんだけでは食べきれない。
大柄なかぐや姫は何がお好みだろうか。
先輩に聞いてみなければ。
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