デミロマンティック・デミセクシュアルに関するQ＆A〜基本編〜

まだ一般的には浸透していないデミロマンティック・デミセクシュアルに関する質問・回答集です。誰にも聞かれたことないですが、随時更新していきます。

デミロマンティック/デミセクシュアル：感情的なつながり（信頼関係）のある人にのみ惹かれる恋愛・性的指向。（自分は、時間をかけて相手のことを深く知ってからでないと人を好きになることはありません。）

Q. 感情的なつながりとは何ですか？

「相手とどれだけ親密であるか」は一つの重要な尺度です。そのため、親友のように仲の良い人を次第に恋愛的に好きになる、というケースはよくあります。ほかにも、相手にどれだけ親しみやすさを感じるか、相手のパーソナリティをどれだけよく知っているか、という観点も重要です（私の場合は後者です。）

Q. 相手のことをよく知ってから関係を持ちたいと思うことは普通のことだと思うのですが？

相手に性的な魅力を感じることと、実際に関係を持つことは別です。前者は自分でコントロールできるものではありません。デミセクシュアルやアセクシュアルでない人は、「感情的なつながり」があるかどうかにかかわらず、通りすがりの人やあまり話したことのない同僚などにも性的な魅力は感じます。その上で、いろいろな理由によって関係を持たなかったり、関係を持つタイミングを見計ったりしています。デミセクシュアルの人は、そのスタートラインにすらなかなか立てません。

Q. デミセクシュアルの人は性欲が薄いということですか？

性欲があることと、他者に性的に惹かれることは別です。アセクシュアルの人にも当てはまることですが、他者に性的に惹かれることがない/極端に少なくても、普通に性欲がある人もいます。

Q. わざわざ「デミロマンティック/デミセクシュアル」という名前をつける必要があるのでしょうか？

デミロマンティック/デミセクシュアルの人は、周りと自分はどこかが違うという違和感を抱えながら生きてきた人が多いです。多くの人は10歳前後で恋愛や性的なことに興味を持ちます。学校ではみんながそういったことについて話し始め、年齢が上がるにつれて話題の中心になります。デミロマンティック/デミセクシュアルの人は、そういった話題に興味がなかったり、そういった感覚がわからないので、疎外感を感じるようになります。そのせいで、自分は「異常」なのではないかと悩むことも多いです。でも言葉があることで、自分と同じような感覚の人がほかにもいるのだと知ることができ、安心したり自分の存在を肯定できるようになったりします。

Q. 感情的なつながりが必要なのであれば、芸能人や架空のキャラクターに惹かれることはないですよね？

デミロマンティック/デミセクシュアルであっても、親近感を感じたりその人の考えをよく知ることができたら、強く惹かれることはあります。その人が書く文章や歌詞、インタビューの内容など。でも、見た目で好きになったりすることはありません。

Q. 感情的なつながりによって人を好きになるのであれば、好きになる性は問わないということでしょうか？

デミロマンティック/デミセクシュアルは、あらゆるセクシュアリティの人に当てはまる可能性があるものです。性別に問わず惹かれる人もいれば、異性のみ/同性のみ好きにならない人もいますし、シスジェンダーの人もトランスジェンダーの人もいます。

Q. デミロマンティック/デミセクシュアルは大抵の女性に当てはまるのではないですか？

もしそのような印象を受けているとしたら、女性は性欲を表に出さないように振る舞っているからではないでしょうか？性的な魅力を感じること自体に感情的なつながりを必要とする人は少数派です。一般的に、女性は男性より性欲がないとは言われます。実際にそうなのかもしれませんが、社会が求める「女性像」が、女性が性欲を表現することを抑圧しているようにも思います。デミロマンティック/デミセクシュアルは女性に多い、という傾向はあるかもしれませんが、大抵の女性が当てはまるというのは大間違いです。

Q. デミロマンティック/デミセクシュアルはモラルが高くて高潔な人を指す言葉ですか？

性的指向はモラルによってコントロールできるものではありません。例えば、結婚するまで関係を持ちたくないという人がいても、それはそういう考えを持っているだけで、性的指向には該当しません。ヘテロセクシュアルの人は、何か信条があるから異性を好きになるわけではないと思います。同じように、デミロマンティック/デミセクシュアルの人は、誰かに惹かれるときにただ感情的なつながりが必要だというだけのことです。

Q. デミロマンティック/デミセクシュアルは「草食系」の言い換えですか？

「草食系」という言葉の定義がとても曖昧だと思います。もし「奥手」という意味で使われているのだとしたら違います。「奥手」とは、好きな人に積極的なアプローチが出来ないこと。デミロマンティック/デミセクシュアルの人はよく「奥手」だと勘違いされることがありますが、勇気が出ないから消極的なのではなく、好きになるまで時間がかかるからそう見えてしまうだけです。それに「草食系」という言葉には、「普通は恋愛に必死になるはずなのにどういう訳か消極的」というニュアンスがあるはずです。「恋愛をするのは当然」だという前提で作られた言葉で、デミロマンティックやデミセクシュアルを表現してもらいたくないと思います。

※本記事の回答は、『Demisexuality Resource Center』を参考に自分の解釈を加えて執筆したものです。