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学習障害を乗り越えたアメリカ人の双子

 遅ればせながら、素敵な年賀状がアメリカから届きました。双子の男の子と聴覚障害のあるお母さんからです。カードに書いてあるように、5年間オンラインで日本語を教えています。お父さんも障害者で、耳が聞こえないうえに、目もよく見えません。家族間の会話は手話と点字です。そんな両親を持つ子供たちに言語を教えると言うのは、なかなか大変なことでした。何が大変かというと、口で話すこと」に慣れていないからです。

 前述したように家族間の会話は手話、さらに彼らはホームスクーリングで学校に行かず家で勉強をしているので、同年代の子供と話す機会もほとんどない、そんな状況では日本語はおろか、母国語の英語でさえ話すことがあまりないのです。

 実は彼らにはお兄ちゃんがいて、最初は3人でのスタートでした。ワクワクして始まったレッスンでしたが、いざ習った言葉で文を話そうとすると言葉が口から出ません。

 言いたいけどうまく言えない。話そうと思っているうちに頭が混乱してくる。 たぶんそんな感じだと思います。普通の人でもそんなことはあると思いますし、特に他の言語を話そうとしたら頭が真っ白になってしまうのは当然です。また、お母さんからのメールで知ったのですが、彼らにはいくらか学習障害があり、それが理由で学校にも行っていないとのことでした。何か予期しないことがあると頭が混乱するんだそうです。

それで少し方法を変えました。

1.口慣らしにリピートを何回もさせる  2.私が指示をして何かを取りに行かせる、私に見せる。3.私の言ったことを絵に描いてみる。などなど

 話さなかったら言語のレッスンにならないじゃん!と自分で自分を責めることもありましたが、自分の子供が赤ちゃんだったころを思い出し、こちらの言うことがわかっていればだいじょうぶ!と根気よく続けました。彼らは赤ちゃんと同じ。最初は耳からです。

まずは心地よくさせること。無理強いしないこと。時期が来ればきっと話せるようになるのです。

 そうして、その時期が去年くらいから来ました。だんだんと会話ができるようになったのです。とはいえ、まだまだ気まずい沈黙はありますし、普通の子供に比べれば、話始めるのが遅いのですが、話したい!という意欲が感じられます。

 さらにうれしいニュースがありました。今年から双子の2人はなんとサンドイッチのレストランでアルバイトをはじめ、コミュニティカレッジにも通い始めたのです!(アメリカのコミュニティカレッジは高校卒業資格があれば入れるみたいです。)

 実はお兄ちゃんのほうは不安障害がひどくなりレッスンをお休みしていましたが、先日お兄ちゃんも顔を出し、ちょっとだけ話をしました。今は独学でパソコンで音楽やゲームを作っているそうです。

 インターネットのおかげで障害のある人たち、障害がなくても対人恐怖などがある人にも可能性がたくさん出てきたんじゃないかと思います。

ご両親も障害を抱えながらも、お母さんはアーティスト、お父さんは詩人としてがんばっていらっしゃいます。

お母さんのサイトはこちら


お父さんはこちら

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補足ですが、昨日レッスンで「もし~たら」の練習をしたとき、もしお金がたくさんあったら両親の借金を返済したいと言っていました。



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