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じっとして話を聞くと頭に入らない?

 小学生の頃、先生の話を聞くときは、まっすぐ背筋を伸ばし、手は膝に、先生の顔をみなさいと教えられた記憶があります。中学生の朝礼の時は直立不動で立ち続け、貧血を起こしそうになったことがありました。

 イタリア人ののSさんとH君は、日本語のレッスン中に私のすぐ目の前でのんびりと、絵を描き始めました。「ちょっと、ちょっと、絵を描いてないで話をきいてください」と思わす言いそうにもなったのですが、二人とも私の話を聞いてないわけではなく、うつむいて絵を描きつつもちゃんと質問に答えるのです。

 家に帰って息子にそのことを愚痴ったら、「なんかわかるな~。話聞いてないわけじゃなくて、絵を描きながらだとリラックスするんだよ」と意外な答えが返ってきました。

 そう言われれば、私もスカイプレッスンの時にはカメラに映らないところで、雑紙に落書きをしていることに気が付きました。それどころか、緊張するときにはふわふわの白くまの人形をぎゅーっと握りしめたりしてます(人形がかわいそう・・)冬にはコタツに入っているので、無意識に靴下を脱いでなんとなく手にはめてしまい、そのまま手をあげそうになったこともありました(あぶなかったです。)

 生徒のほうも、ワインを飲み始めたり、爪を切ったり(さすがにこれはびっくり)、ネコをなでたりする人と様々です。「I don’t know why I started eating」といいながらお菓子を口にほおばる子もいました。その子は緊張すると食べてしまうらしいのです。 もちろんすべての生徒がこんな感じではなく、特に何もせずリラックスして話を聞く人もいますが。

 しかし、面白いことに気づいたのですが、熱心に聞いてますよと言う感じで私の顔をじっと見ている生徒にかぎって、後で質問した時になにもわかってなかった、なんてことがあります。 私自身、思い起こせば、いい子に見せようと座っていたことと、前の人が貧血でとうとう倒れたことは覚えているのに、先生の話の内容はまったく覚えていません。

脳科学的にも、ある程度リラックスしないと話って頭に入らないらしいです。 とはいっても、やっぱり話している人に失礼ですし、靴下を手にはめるのはよろしくないので、私は最近、先生らしくペンをいじるようにしています。

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