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事業を選ぶときの5つのポイント

事業を選ぶときには、次の5つのポイントを考えておくべきだ。このポイントが考えられていないと、事業を作るのは困難になるだろう。そこで、おかんは、次の5つの質問を息子に投げかけてみた。

1.マーケットがあるのか?

この質問に息子はこう答えた。「高齢化が進み、ひとりで暮らしている老人の死は増えていくから仕事に困らない。だから最後の思いやりをしたい」
そこでおかんは得意のインターネットで調べて見る。

2065年では全人口の38.4%が65歳以上となり、2018年調査結果では、お年寄り一人だけの単身世帯は27.4%。4世帯に1世帯強は「その高齢者が1人だけの世帯」となる。また、子供や孫がおらず、夫婦だけの高齢者世帯は32.3%。これらを合わせた「お年寄りだけの世帯」は59.7%となり、過半数を占めるどころか6割近い計算となる。「国民生活基礎調査から」

また、高齢者だけでない独身の孤独死もある。50代時点で男性が3人にひとり、5人にひとりの割合で独身らしい。50代からは病気にかかるリスクは増えてくる。癌・心疾患・脳梗塞など。おかんの弟も50歳独身で脳内出血になってしまったのでこれらの調査は信憑性を感じる。マーケットとしてはあるのだと確認できた。

2.差別化できているか?

「遺品整理ってどんなことするん?」とおかんは聞いてみた。
「家に行ってな。片付けするねん。それだけでなく遺品を転売できるらしい」
まあ、作業としてはそうかもしれないが既存企業はすでにスタートしている。
ホームページ上で検索すると多くの企業を比較することができる。安さを打ち出しているところ、全国展開の規模感を打ち出しているところ、地域性のアピールどれも悪くない。

で、あなたなら何を売りにするの?と聞いてみると。目をキョロキョロさせて黙ってしまった。やっぱり!!考えてなかったんや!多くの人は、仕事に疑問を持つことがない。私だったらこう思うとか、こうした方が良いとか、これは改善できるとか常に客観的に見ない。素直だから誰かの決めたことをきちんとすることがいいと信じている。間違いではないが、他と違うことを見つけて実行するのが起業家なのだ。まあ。学生でこの業界で働いてもいないのに分かるわけないか・・・・

3.投資回収はできるのか?


この事業はどれくらい投資して回収できるんかな?おかんはお金がないのを知ってて聞いてみる。すると「投資回収って何?」と聞いてきた。おそるべし。学生の知識とはそういうものなんや。と改めて痛感した。投資回収、損益分岐、減価償却、税金、消費税。色々会社になると単に売上から支出を引くだけではない。息子の場合、法学部なので取締役法とか会社法は習っているらしいが、経営となると資金運営が一番のポイントとなる。

おかんの場合でも、消費税を残しておかずに期末になって払えなかった経験がある。だから最初からここは絶対押さえて置くべきである。開業に必要な資金。車両、清掃道具、登録許可、営業ツール安くあげてもざっと100万は必要だ。また会社には、社会保険、税金、税理士の先生の費用など、社会的責任の費用も乗ってくる。ここまで話すと「こんなにいるん?」と息子は真剣な顔で聞いてきた。「当たり前や!」とおかんは得意気に見返した。

4.事業の賞味期限は?

おかんは、息子にこの事業は何年するん?と聞いてみた。すると「う~ん。う~ん。5年ぐらいかな。ずっとせえへんかもしれへんから、そのうち次のこと考えるねん。・・・・」はあ??事業をなめんなよ!!とおかんは思いっきり睨んでしまった。

------想いがあってする事業がたった5年で軌道に乗るとはかぎらない。それでも続けたいから、もがき、悩み、なんとか乗り越えていくもんが事業ちゃう?
今はそんな泥臭くないんか??しかし、おかんはここで冷静に考えた。

企業にも、ビジネスモデルにも寿命がある。一般的に言われる誕生から成長、衰退、退出と成長に合わせて企業のリーソス等を変革対応していかないと、必ずどこかで問題が起きる。

中小企業は、オーナー社長なのですべてが社長の資本、指揮、気力で補っているので、社長が世間の感覚が分からなくなったら一度にくずれてくる。
一般的に企業の生存率は10年で7割、20年後は4割と言われる、中小零細だと20年後はもっと低い。だから、同じビジネスモデル、会社の状態に合わせた人事に変えていかなければ確実に衰退へと向かうということだ。
おかんの事業はITという最先端の事業だが進化は早く同じ技術、サービスが5年もつことは絶対にない。絶えず技術とビジネスモデルを追い続けてきたのだ。だから辛うじて27年間事業を続けてこれたかもしれない。
多様性が進む現代には、少ない投資で5年から10年というスパンでビジネスモデルを考えるのが妥当かもしれない。


5.経営者の寿命は?


起業家おかんは、27年の間にはいくつかの事業を展開してきた。IT知識・技術をベースにデジタルフォトスタジオ・クリエイティブ事業。企業へのIT人材派遣事業、CAD人材を活かした電気設備、店舗の建築リフォーム、監視カメラ設置などの建設事業。ITの強みを軸にビジネスモデルを創っていったのだ。

しかしもっと大きく変革し続けるには、資金、人、仕組みなどを加速化しないといけない。そこには中小から中堅企業へと変革できる能力とリソースが必要である。油断すると一気に崩れ落ちるという恐怖が待ち構えているのだ。

一生現役という言葉はすばらしい。多くのオーナ経営者は事業を死ぬまでと考えているだろう。しかし自分と会社は別ものと考えるべきである。自分の想いをついでくれる人間を身内に託すことが多いが、身内が同じ想いを繋いでくれるとはかぎらない。特に身内はお互いに甘えが出て自分の我を出そうとする。そうなると会社の方向はバラバラで、経営も上手くいかなくなる。舵を取れなくなったら経営者としてはもう終わりだ。

事業は実際お金無くしてできる訳がない。試算してみるところ車両や許可、材料など含めると開業資金は少なくとも300万はいる。。お金だけでなく人材もいる。忙しくなったら採用、教育するらしいが、息子はのんきになんとかなる様に思っているようだが......。この事業は投資回収に時間がかかると踏んだ。

起業家おかんは、「やる前からその考え方は甘い」ときっぱり切り捨てた。やっぱり考え方が甘すぎる。

そこで、おかんは息子へ「自分への誓約書」を書かせることにした。

次回に続く・・・


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