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意外な?ぶどう産地

大阪の柏原市にあるカネオクさんというブドウ農園で、ワイン用のブドウを苗木から育てる体験プロジェクトのオーナーを募集していると聞き、参加しています。企業に就職して一旦、大阪を離れたものの、実家の農園を継ぎに戻ってきたという若い農家さんの、新しい取り組みを応援したい気持ちで応募しました。

大阪とブドウ

大阪とブドウが紐付かない方は多いと思います。小さい頃、ぶどう狩りといえば柏原のブドウ農園でした。大阪市内から電車で30分もすれば中山間地域になり、信貴山の麓にブドウ畑が広がっていました。ぶどう狩りは、大阪市内の幼稚園や小学校の遠足の定番で、私にとってはとても身近で親しみを感じる行事です。

昭和50年代 遠足でぶとう園に向かう

大阪府のホームページによると、大阪のブドウは、収穫量で全国9位、デラウェアに限れば全国3位の規模だということです。これを多いとみるかどうかですが、都市のイメージが強い大阪にしては、意外に多いと思われるのではないでしょうか。

大阪のブドウ産業の歴史は古く、明治時代から100年以上も続いているそうです。戦前は全国1位の収穫量を誇る時代もあったとか。ただ、全国的に同じ傾向ですが、1980年以降、都市化・工業化の流れからどんどん離農が進み、産業が縮退していったのは容易く想像できます。ただ、今でもなお、この大阪でブドウ栽培が続いている。そして、そこに新しい風を吹かせて、絶やさない努力をしている人達がいることは、希望があるし、その努力に敬意を感じずにはいられません。

デラウェアのハウスも覗かせてもらいましたが、手間がかかる工程、土壌・気象・気候・その時の木の生育状態など、変数が多すぎて綺麗に形式知化されていない栽培ノウハウ…。世の中でこれほどAIが職を奪う、アグリテックだ…などと騒がれているのに、まだまだ実態との乖離が大きい。美味しいブドウにするためのコアな作業と、効率化してもよい作業を切り分けたとしても、日々の生活を送るための収入を確保しながら、家族経営で圧倒的な効率化を図っていくのは簡単な道のりではなさそうに見えました。ここは、消費者がしっかりと大阪産のブドウを食べることで応援できるはず。物流コストをかけない地産地消の意義を改めて確認する思いでした。

再興を図る大阪のブドウ産業

生食用が多い大阪産ブドウですが、ワイン用ブドウについては、近年、新しい動きがいくつかでてきています。「島之内フジマル醸造所」さんのような、大阪産ブドウを使うワイナリー併設のレストランがオープンしたり、羽曳野市に「ぶどう・ワインラボ」なる公設の研究施設が開設され、ワイン醸造の研究が始まったりしています。この研究所の圃場でIT活用の研究も合わせて取り組んだら良さそうですね。ぜひ効率よく美味しいワインを作れる処方を確立してもらいたいなあ。

大阪のワインなんて美味しいのかしら?という疑問もありそうですが、大阪のワイナリーについてはまた機会を改めて書いてみたいと思います。

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