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屈曲型腰痛の評価から治療〜股関節編〜


こんにちは!こじろう(@reha_spine)です。

今回で6回目の投稿になります!
そしてこれまで『屈曲型腰痛』について基礎から評価、治療について説明してきましたが今回が屈曲型腰痛の最後の記事になります!

前回の記事では『屈曲型腰痛の評価から治療〜脊柱編〜』という内容で投稿させて頂きました。

こちらの記事では体幹屈曲時に生じる疼痛や可動域制限について、評価の流れから腰部多裂筋や広背筋をターゲットに治療方法を紹介しています。


また、下の記事は過去の記事になりますので、今回の内容の参考になるためご紹介させて頂きます。

屈曲型腰痛の評価方法については脊柱・骨盤・下肢の3つに分け、第4回目の記事『屈曲型腰痛に対する評価②〜腰椎骨盤リズムから紐解く各関節の評価法〜』でたっぷり記載しています。

そちらの評価をもとに治療までの流れを説明していきたいと思います。

今回の内容についてですが、タイトルの通り、屈曲型腰痛でも股関節が特に問題となる場合の評価から治療の流れを紹介したいと思います!!


✔︎今回の記事は以下の様な方にオススメです!

・屈曲型腰痛の基礎・評価・治療までの流れを学びたい方
・屈曲型腰痛において股関節の評価・治療法を学びたい方

では早速いってみましょう!!

▶︎屈曲型腰痛の基礎から評価の復習(股関節編)

前回までの流れを簡潔にまとめます。
前回の冒頭でも説明していますが、『屈曲型腰痛』はスポーツ分野では自転車競技にて多い腰痛パターンです。その他、ボート競技や屈曲姿勢を維持したり、腰を落とした構え姿勢が不良であった場合などにも多く生じます。

何度もお伝えしていますが屈曲型腰痛の主な要因として、

『腰椎への局所的なhyper mobility(過可動性)』

が考えられます!

そしてhyper mobilityになる要因としては、

①胸腰椎の屈曲制限
②股関節の屈曲制限
③骨盤前傾不足

などが挙げられます。今回は②について説明していきたいと思います!

体幹屈曲時の運動学についての復習ですが、

体幹屈曲動作において、屈曲初期50°までは腰椎の動きが大きく、50°以降では骨盤・股関節・胸椎の動きが主体。

という特徴も押さえておきましょう。

▶︎屈曲型腰痛の評価の流れ(股関節編)

体幹を前方へ倒していく際に疼痛や可動域制限がある場合、まずは「脊椎の屈曲制限」「股関節の屈曲制限」かを大きく見分けます。

屈曲制限の見分け方を下の写真の様に分類していきます。

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今回は「股関節屈曲可動域制限による前屈制限」と判断された場合の評価・治療について紹介していきます。 

この場合に更にどこの問題かを詳細に評価していく必要があります。

それについての詳細は以下の記事に詳細が書いてありますのでそちらをご参照ください!

こちらの記事では、股関節が問題だと評価した場合には

①股関節単独での股関節屈曲可動域(骨盤の動きは含まない)
②大殿筋の伸張テスト(大殿筋の柔軟性評価)
③SLR test(ハムストリングスの柔軟性評価)

を評価し、更に治療ターゲットを絞っていきましょう!とお伝えしました。

今回の記事では大殿筋やハムストリングス以外にも股関節の屈曲制限となる因子についての説明もしていきたいと思います✨


👉ここからの内容は今回の記事にて紹介させて頂く内容になります!

先ほどの①〜③までの評価に加えて以下のような評価も合わせていくと良いと思います。

股関節の屈曲制限をチェックする際に四つ這いにて骨盤を後方へ引き、骨盤の代償や股関節のつまり感・疼痛がないかを確認します!

〈Quadruped rock back test〉


尚、逸脱例としては以下のようなものがあります!

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骨盤前傾を維持できず、後方へ殿部を引いて行く際に骨盤が後傾する場合や、股関節制限や疼痛によって左右どちらかへ骨盤がシフトする場合がありますので横や後方からもチェックしてみましょう!


股関節の屈曲制限として筋性由来で考えられる原因としては様々ありますが今回は以下の筋についてのアプローチ法をご紹介していきたいと思います!

✔︎中殿筋
✔︎ハムストリングス
✔︎大殿筋
✔︎外閉鎖筋

▶︎中殿筋の評価〜治療

中殿筋では特に後部線維の過緊張状態や滑走不全が生じている場合に股関節の屈曲制限が生じます。評価としては中殿筋の緊張が軽減する股関節外転位での前屈にて疼痛が軽減するかを確認します。

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〈治療〉
左側の治療の場合、右を向きながら右脚を立て左脚を伸ばします。右手を腰に置き、左手で体を支え、左の殿部外側を床に近づけます。反対側でも同じように行います。

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この際に注意する点としては手関節の背屈制限や背屈時の疼痛です。当てはまる場合は無理をしないで下さい。

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また、このストレッチは無理にローラーを使用しなくても代用が効きますので身近な道具で試してみて下さい。


▶︎ハムストリングスの評価〜治療

評価ではSLR testを行い基準値より低下しているか、膝屈曲位にて前屈した際に疼痛が軽減するかなどを確認します。
基準値に関しては第4回目の記事『屈曲型腰痛に対する評価②から腰椎骨盤リズムから紐解く各関節の評価法〜』にて詳細を載せています。


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ハムストリングスが問題な場合は柔軟性を高めていくエクササイズを行います。

ハムストリングスのストレッチは皆さんもご存知だとは思いますが、多くの方が紹介していますのでそちらをご覧下さい!
特にこちらの動画はとても分かりやすいため、ご紹介させて頂きます。

また、ストレッチ前に筋のリリースを行っておくと、よりストレッチが効果的に行えますのでポイントを1つ紹介させて頂きます。

👉ポイントは半膜様筋と大内転筋の筋間を狙っていきます。

①半膜様筋と薄筋の間から大内転筋後面を触知します。
②大内転筋を擦る様にして半膜様筋と大内転筋とをリリースします。

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(上のイラストは右大腿後面であり、緑の斜線が半腱様筋で、もっとも内側の白い部分が薄筋になります。)

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実際のリリースポイントは上の写真の様になります。


▶︎大殿筋の評価〜治療

評価では大殿筋の伸張テストで確認します。こちらも第4回目の記事『屈曲型腰痛に対する評価②から腰椎骨盤リズムから紐解く各関節の評価法〜』にて詳細を載せています。

また、以下の治療には腰痛マガジンメンバーLeeさんの投稿でも紹介せれている治療理論も用いていますのでそちらも確認して頂いた上で記事や動画を確認して頂くとより理解が深まると思います!

では、ここからが大殿筋の評価〜治療の手順になります。

【評価】
①一方の手はASISに置き骨盤を固定し、もう一方の手は膝に手を置く。
②膝を内側に倒すようにすることで股関節の内転可動域を確認。

 【治療】
 ①背臥位にて治療側の股関節・膝関節を90°屈曲位とする。

②下腿部後面に治療者の足を入れ、手は評価時と同様の場所に置く。

③リズミカルに股関節の内転と外転を反復する。できる限り最終域まで内転させる。
※インピンジによる疼痛に注意し、疼痛が出現する場合はその手前まで行う。

④内転最終域にて等尺性収縮を用い、軽い負荷で対象者に股関節外転方向に力を入れてもらう。

⑤一旦、力を抜いてもらい可動域が広がったら更に内転最終域にてストレッチをかけていき、これを反復する。

こちらの説明を動画にしていますのでご確認下さい。

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