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注目のタミル映画『Vikram』

6月3日公開の話題作『Vikram』を観て来た。
例のごとく、タミル語音声字幕なし。
セリフが多く、人間関係やストーリーも割と込み入っていたので、内容は半分くらいしか理解できなかった。
簡潔に説明すると、「麻薬シンジケート VS 麻薬取締チーム VS 謎の覆面集団」という構図の映画だった。


この映画に関して、2つのトピックで感想を書いてみる。


ユニバース式映画

まずこの映画は、2019年に公開された『囚人ディリ(Kaithi)』という映画の続編らしい。
『囚人ディリ』の後日談、ということらしいが、主人公を含めたほとんどのキャラクターが前作とは関係のない人物。
つまり、同一の世界観の中で別のヒーローを描いたクロスオーバー作品ということになる。

このスタイルの作品群で世界的に有名なのが、MCU(Marvel Cinematic Universe)
「マーベル・コミック」を原作としたヒーロー映画で、『アイアンマン』や『キャプテン・アメリカ』などがある。

本作のLokesh(ローケーシュ)監督は、MCUのようなユニバース化を目指しているようで、すでに『Kaithi 2』と『Vikram 2』の作成が発表されている。
そして、何とすでに、LCU(Lokesh Cinematic Universe)なる造語も誕生しているとのこと。
「ローケーシュ監督によるユニバース式作品群」というわけである。
2作品だけでユニバース化を名乗るのは心もとないので、もしかしたら今後も他のヒーローを主役にした映画制作の構想があるのかもしれない。
何とも壮大な話である。


クセツヨおじさんの共演

若くてマッチョなイケメンが活躍する映画ではない。
その代わり、とにかく癖の強いおじさんがたくさん出てくる。
そのうち、本作においてトップレベルの怪演を見せた大物俳優2人を紹介。

Kamal Haasan(カマル・ハーサン) 67歳

Wikipediaより

この写真だとただのおじさんだが、映画の中ではビシッと決めていて格好良かった。
最初はアル中の役作りで、その時点でもう癖が強いのだが、ストーリーが展開するにつれ彼の本性がだんだんと明らかになってくる。
終始ミステリアスな雰囲気で、物語終盤まで、良いヤツなのか悪いヤツなのかよく分からなかった。


Vijay Sethupathi(ヴィジャイ・セードゥパティ) 44歳

wikipediaより

麻薬組織のボス。
頭のネジが外れている感じで、何をしでかすか分からない役柄だった。
常に目が据わっていて、本当にヤバい人なのではないかと思わせるオーラがあった。
日本人俳優で例えると、古田新太みたいなイメージ。
エメラルド色の錠剤を噛むと、能力が覚醒して最強になるという漫画みたいな設定の役だった。


映画の最後に、これまたタミル映画界を代表するカリスマ俳優の一人であるSuriya(スーリヤ)がちょっとだけ登場したのだが、彼が第2弾のメインキャストであることを予告するようなエンディングだった。
スーリヤの登場シーンが、指笛や歓声の熱量が最も大きかった気がする。


ユニバース化の件もあるように、本作の監督はアメリカ映画への志向性が高いのか、劇中歌も洋楽っぽい雰囲気だった。
また、演出やカメラワークも洒脱な印象を受けた。

ストーリーは単純明快とは言い難く、十分に楽しめたとは言えないが、今まで鑑賞した南インド映画とは異なる方向性の作品で面白かった。


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