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メタリカ 真実の瞬間

[2010年9月4日の日記]

高校時代、「Master Of Puppets」を聴いて衝撃を受け、バンドスコアを買って必死に練習した。そして大学に入ってバンドサークルに入り、Metallica 好きの先輩の目に留まった。大学で初めてちゃんと組んだバンドは Metallica のコピーバンドだった。だからちょっと Metallica には思い入れがあったりする。

今の俺はジャンゴのギターを聴いて夜な夜なむせび泣いているけれど、いやそれはウソだけど、いや、ジャンゴのギターはいいけれど、本当に好きなのはラグタイムブルースのギターで、ああ、でも木村カエラも嫌いじゃないし、最近は高橋優も大好きだ、という何だか素性のわからない音楽の聴き方をしているけれど、若い頃は「メタル以外は音楽じゃねえんだよクソったれがぶっ殺すぞてめえ」という頑ななアティテュード(Burrn風)だったわけである。腰まで髪伸ばして粋がってたわけである。

あれ、何の話してたんだっけ。

ああそうそう、だからこの映画ずっと観たかったんですよ。かつて Metallica に入れ込んだマニアの一人として観てみたいと思った次第。

実際、マニアだったら目が釘付けになるようなシーンが沢山ある。デイブ・ムステインとラーズ・ウルリッヒが話をするシーンは特に衝撃だった。デイブ・ムステインというのは元 Metallica のメンバーだったんだけどクビになって、その後 Megadeth というバンドを結成してそれなりに成功してる人なんだけど、ここまで Metallica に劣等感を抱いてたんだなあ、と驚いた。その劣等感を丸出しにして隠そうともしない姿勢にも驚いた。

でも何より驚きだったのは、バンドのフロントマンであるジェイムス・ヘットフィールドが、見た目に反して普通にプレッシャーに弱い、非常に繊細なハートの持ち主だったこと。「Metallica」という名前の重さに押しつぶされそうになっていたこと。

ちなみにラーズ・ウルリッヒは、逆に思ってたより一直線な分かりやすい男だった。良くも悪くも「ハートが弱い男」ではない。基本的にフリーダムだし。カーク・ハメットの人柄は見たまんまかな。「ギターソロなんて古い」ってラーズに言われて、温厚なカークが熱くなるシーンがあったけど、
なんというか、子供がスネてるような感じで微笑ましい。

ちなみに Metallica は「And Justice For All」以降聞かなくなったんだけど、
たまたま YouTube で見た「St. Anger」の PV に衝撃を受けたということがあった。PV というより、純粋に曲にしびれた。それはたぶん僕がずっと「怒り」と共に生きている人間だから。

「怒り」を抱くのは、自分なりの正義を抱いて生きているからだ。でもそんな自分に疲れることも多々あって、本当は「怒り」なんて感情からは解放されたいとも思っている。「これでいい、これで間違っていない」と思うこともあれば、「このままじゃいけない、変わらないといけない」と思うこともある。そして、そういう自分を自覚しつつあった時に「St. Anger」を聴いてハマった。ドンピシャだった。自分がほんの少しだけ、救われたような気がした。


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