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【中国企業の真実】「Temu」利用規約を読み解いてみた(日本版)

利用規約ウォッチャー みなしボウイです。

Temu」は、中国発祥のPDDグループが運営するマーケットプレイスです。中国で格安ECの「拼多多(Pinduoduo/ ピンドゥオドゥオ)」を運営するPDDですが、海外進出を勧めており、海外版である「Temu」を約50ヶ国で展開中です。

Temu

日本でのマーケティングにも力を入れ始めており、先日のTBS系「オールスター感謝祭」でもコラボCMが放送されました。

今回、「Temu利用規約」をウォッチしていきます。重要な5つのポイントに注目して利用規約をウォッチしていければと思っています。


最後までよろしくお付き合いください。


適用会社

Temu利用規約によると、ユーザーは、シンガポール法人である「Elementary Innovation Pte. Ltd.」との契約締結であることが定められています。

1.1 本規約は、お客様とElementary Innovation Pte. Ltd.との間で締結されます。 Ltd.はシンガポールの会社です。

Temu利用規約

一方で、Temuプライバシーポリシーによると、プライバシーポリシーの制定企業は、アイルランド法人である「Whaleco Technology Limited」とのことです。

このプライバシーポリシーは、アイルランドの登録企業であるWhaleco Technology Limited(「Temu」、「当社」、「私たち」、または「私たちの」)がこのプライバシーポリシーにリンクする当社のデジタル プロパティを通じて収集した個人情報をどのように取り扱うかについて説明します。

Temuプライバシーポリシー

Elementary Innovation Pte. Ltd.もWhaleco Technology Limitedも、中国資本であるPDD Holdingsのグループ企業となります。グループ企業については、先日の投稿にまとめています。


言語対応、準拠法

私がウォッチしている利用規約は日本語版ですが、おそらくアメリカかイギリス向けに作成された英語版を翻訳だけしたものだと思われます。日本に存在する企業ではないのでそれもそうかという感じなのですが、日本の法令対応とかはしていなさそうです。

英語版を優先する旨の記載がありました。

18.12 翻訳。 これらの利用規約の翻訳版は、 プライバシーポリシー, Cookieおよび同様の技術に関するポリシー, 知的財産ポリシー またはその他の規約やポリシーは、参照のみを目的として提供されています。英語版と他の言語版との間に矛盾がある場合は、常に英語版が優先されるものとします。

Temu利用規約

適用法はニューヨーク州法、裁判管轄はシンガポールとなっており、ユーザーはそのことに同意する必要があります。

18.3 法の選択。 本規約、および本規約に基づいてお客様と当社の間で生じる可能性のあるあらゆる種類の紛争は、連邦仲裁法に準拠したニューヨーク州法および適用されるアメリカ合衆国の連邦法に準拠するものとします。法の抵触の原則。国際物品売買契約に関する国連条約は、本規約には適用されません。

18.4 専用会場。 本サービスに起因または関連して発生し、仲裁の対象または少額訴訟の対象とならない、お客様と当社との間のあらゆる種類の紛争は、シンガポールに所在する管轄裁判所によって独占的に決定されるものとします。あなたはここに、そのような法廷における裁判地および管轄権に関して、対人管轄権の欠如および不都合な法廷地に関するすべての抗弁に同意し、放棄するものとします。

Temu利用規約

消費者の苦情は、カリフォルニア州消費者庁で対応することになっていますが、日本のユーザーの対応までをしてくれるのかは、ちょっとわかりません。

18.7 消費者の苦情。 カリフォルニア州民法第 1789.3 条に基づき、カリフォルニア州消費者庁消費者サービス課の苦情支援ユニットに対し、書面 (400 R Street, Sacramento, CA 95814) または電話 ((800)952-5210) で連絡することにより、苦情を報告できます。

Temu利用規約

ユーザーの個人情報について

「Temu」と検索すると、必ずと言っていいほどヒットするのが、安全性についてです。Temu側も安全性について疑問を持たれていることを認識しているようで、多額の広告宣伝費を投じて安全性を喧伝することに注力しています。

Temuプライバシーポリシーによると、「関連会社」や「サービスプロバイダー」、「専門アドバイザー、当局、規制当局」などへユーザー情報を共有することが明記されています。

当社は、お客様により良いサービスを提供し、パーソナライズされた広告やマーケティングコミュニケーションを通じてお客様の権利を保護し、法的要件を遵守する目的で、お客様の個人情報を以下の当事者と共有することがあります。

関連会社。 注文の履行を目的として、配送先住所、連絡先情報など、注文の履行に関連するお客様の個人情報をWhaleco Inc.の子会社や関連会社と共有することがあります。それ以外の無関係な個人情報が共有されることはありません。これらの子会社および関連会社は、本プライバシーポリシーに記載されているのと同じ慣行に従うか、本プライバシーポリシーに記載されているのと少なくとも同等の保護慣行に従います。

サービスプロバイダー。 当社に代わってサービスを提供し、または本サービスや当社の事業運営(ホスティング、情報技術、カスタマーサポート、電子メール配信、注文の履行・配送、マーケティング、消費者調査、ウェブサイト分析など)を支援する第三者。当社は通常、これらのサービスプロバイダーに対し、サービスの履行または適用される法的義務の遵守に必要な場合に限り、個人情報を使用するよう求めています。

専門アドバイザー、当局、規制当局。 当社は、法的手続き(裁判所や居住国の当局が発行するものなど)に対応するため、お客様の情報を当社の専門アドバイザー(弁護士、監査人、銀行家、保険業者など)と共有することがあります。また、当社の契約やポリシーを実行するため、Temu、お客様その他の権利、財産、安全を保護するため、実際の詐欺行為やその疑い、Temuの利用規約違反その他の違法行為、セキュリティ問題を検出・防止・対処するため、または法律で義務付けられている場合、その他の当事者とお客様の情報を共有することがあります。

Temuプライバシーポリシー

Temu運営会社は、シンガポールあるいはアイルランドの法人ですが、その運営拠点は中国にあると思われます。中国の場合、行政当局による情報取得は中華人民共和国国家情報法ほかの法律によって認められており、プライバシーポリシーの定めを超越する可能性もあります。


コピー商品や日本で規制されている物品について

Temuでは、コピー商品や類似商品、日本で規制されている物品の出品も度々あるそうです。こういった商品をオーダーすることは可能ですが、日本へ到着した際に税関によって輸入差し止めされることがあるので注意が必要です。

正規品なのかはわからない

アフィリエイトプログラム、インフルエンサープログラム

Temuでは、好条件報酬を謳ったアフィリエイトプログラムやインフルエンサープログラムを行っています。

Temuアフィリエイトプログラム

Temuは危険?」という見出しでインプレッションを集め、「被害報告や確証のある情報はなかった」という結論で締めるインフルエンサーやYouTuberのほとんどは、こうしたプログラムでの報酬を目当てにしている方々になると思われます。

ちなみに私は、アフィリエイトプログラムにもインフルエンサープログラムにも加入していません。


少し堅苦しいレビューになってしまいましたが、ご利用はくれぐれも自己責任でお願いします。いざと言うときの日本側の消費者保護行政が働きにくいところではあります。

今回は、このあたりで終わります。ありがとうございました。

なお本投稿における、発表内容は発表者個人の見解に基づくものであり、本投稿にて取り上げられている組織及びサービスの公式見解ではありません。

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