GINZURU ギンヅル

視聴した映画などの感想を自分の備忘録を兼ねて。主にあまり有名ではない作品(未DVD化)…

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視聴した映画などの感想を自分の備忘録を兼ねて。主にあまり有名ではない作品(未DVD化)洋画が多めです。 その他、気になった事など・・。下手な文章ながら、少しでも長く続けていけたらいいなと思っております。

最近の記事

【ペテルブルグ幻想】

ベルリンの街にひとりの少年が降り立った。 ロシア文学を熱狂的に信奉する彼は、年寄りと見れば「罪と罰」の金貸し老婆と思い込み棍棒で殴り殺し、翁は判事と思いこむ始末。 その夜彼は、エレナとヨハンナという二人の美しい女性と出合い 彼はエレナに「罪と罰」のソーニャのイメージを重ねあわせはじめた・・。 ペテルブルグ ネフスキー大通りとは、 ロシア文学を信奉する者にとっての聖地ともいえる刺激的な場所。 そんなペテルブルグ熱にうなされた少年と満たされぬ何かを抱えた二人の女性たち

    • 【愚か者の日】(81年西独)

      監督 ヴェルナー・シュレーター 主演 キャロル・ブーケ 前世で「よく分からん。でもスゴイものを見た!」って言った気がする…。 女性だけの精神病院を舞台に、裕福な家庭に生まれ不自由なく生活しながら、心は深い闇に閉ざされている一人の女性を通して、人間の狂気の奥に潜むものを描きだした衝撃的な作品です。 入院患者たちが精神病院で展開する様々な行動を通し、人間の内面というものを究極的に追及し可視化させた。 歯止めのない感情の世界を「精神病院」に置き換え 不条理かつ非現実的であり、解

      • 恋人たちの曲 悲愴

        (70英) 歴史上でも偉大な芸術家チャイコフスキー その私生活での苦悩 それを払拭するように類まれなる才智による創作活動を続けた彼の劇的な生涯を画く そう書けば退屈な映画のようにも思えるが  あの鬼才ケン・ラッセル監督が「肉体の悪魔」の前年に撮った作品 変態趣味炸裂 コレラ蔓延 大砲でぶっ飛ぶ首 療養所での食料奪い合い 漁り喰い 焼死 エクソシストばりのトラウマ必至の鬼気迫る映像のさなか、絶えず流れるチャイコフスキーの雄大な交響曲のコントラストが凄すぎる

        • 【魔女の棲む村】

          The Devonsville Terror (1983) 監督:ウーリ・ロンメル 脚本:ウーリ・ロンメル ジョージ・T・リンゼイ スザンナ・ラヴ 1683年代デボンシビルで3人の女性が魔女として処刑された。その処刑も、生きたまま豚に喰わせる、火あぶりの刑に処せられるなど陰惨を極めるものであった。デボンシビルの審問から300年経った1983年、未だ昔ながらの慣習の残る村に移り住んだ三人の女性。彼女たちもまた余所者をうけ入れない村人から疎外を受け次々と処刑されていく。ついに女

        【ペテルブルグ幻想】

          【悪い種子】【死の天使レイチェル】

          『悪い種子(たね)』マーヴィン・ルロイ監督 1956年 人前では無邪気で可愛らしい少女が殺人や犯罪を重ねる。 ブロンドの三つ編み、実に子供らしく愛らしい風貌。 反面、恐ろしいほど良心に欠け、善悪の区別を持たず、良心の呵責など微塵も見せない人形のような風体を持ち併せている。 背景には、母親の壮絶な出生の秘密が潜んでいた。 母親自身も知るよしなく引き継がれた悪い種子。 少女の殺人も暴かれていく。 「(子供だから)誰も私を電気椅子にかける事なんてできないわ」というセリフがあったと

          【悪い種子】【死の天使レイチェル】

          【エミリーの窓】(80米)

          夫と別居し、ブルックリンで一人暮らしのエミリー。ある夜仕事を終え帰宅した彼女が暴漢魔に襲われた。エミリーは憔悴し警察の事情聴取もままならない。友人の励ましもあって高級アパートへと引っ越すが、そこにも暴漢魔が現れた。対面に佇むアパートメントから覗き見る双眼鏡。ヒッチコック作品を彷彿させる要素が多いサスペンスであり「他人の眼」にも通ずるものがある。 「ゴッドファーザー マイケル・コルレオーネの最期」撮影監督のゴードン・ウィリス初監督作品。エンニオ・モリコーネの音楽が都会の孤独を

          【エミリーの窓】(80米)

          【人でなしの女】(1923仏)

          世界的名声を得ていた前衛的歌姫クレール。彼女は名士たちを思いのままに隷属させようとする。 ある夜、ノールセンという若者が招かれるが、徹底的に冷たくあしらわれた彼は自殺を図ってしまう。それでも舞台に立ったクレールは血も涙もない人でなしの女だと 世間から非難されることに。 ところが・・・ 観たのは86年のモノクロ着色サイレント(ピアノBGM有)公開当時その前衛的な映像のため、公開時のパリの映画館では観客が騒ぎ批評も二つに分裂、世界中の人々を驚嘆させながら公開中止の憂き目にあい幻

          【人でなしの女】(1923仏)

          【ハイル・ミュタンテ!/電撃XX作戦】

          (93スペイン)アレックス・デ・ラ・イグレシア監督 美しい者たちが権力を握る近未来。醜い容姿ゆえ迫害を受け社会に対して復讐を誓うテロリスト集団“アクション・ミュタンテ” 極悪の首領ラモンを筆頭に集った7人の叛乱者 大富豪オルホ家の娘を誘拐、結婚式場での大虐殺、 ヒロインの口を金具で縫合 宇宙漁船 "処女カルメン"(積み荷冷凍鮮魚240000トン)を強奪、別の惑星への逃避行 変態一家 暴走族ならぬ暴鉱族出現からのマッドマックス的世界観 ・強姦・略奪・仲間割れ 生き残りを懸

          【ハイル・ミュタンテ!/電撃XX作戦】

          テルレスの青春

          「ブリキの太鼓」のフォルカー・シュレンドルフ監督の長編デビュー作でありニュー・ジャーマン・シネマの先駆的と言われる作品。 ヴィスコンティ監督も映画化を計画していたと言われる。 主演の少年は鋼のような硬質の魅力を持ち合わせるマチュー・カリエール。ビョルン・アンドレセン「ベニスに死す」の持つ甘い美貌とは対照的ながらも、思春期の揺れ動く感受性を演じ抜いた 社会における性と思春期の持つサディスティックな欲望と暴力の支配によるメカニズムを日常の細部にわたって容赦なく叩き込んでくる様

          テルレスの青春