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管理職の憂鬱 ~管理職一回目の奮闘~

37歳目前にして、初めて管理職風な立場になりました。仕事ではなくて町内会長なんですけどね……。人の上に立つことの難しさを痛感したので、整理しておこうと思います。







管理職の難しさ、その3要素

管理職の難しさを一言で端的に言えば、
「部下が言うことを聞かない」です。


それは仕方ない事であり、到底回避できない3要素にて構成されています。
1、生産的行動における(利己主義含めた自己完結の)行動傾向。
2、無能さ、論理性の欠如、惰性による事なかれ。
3、現場主義や年齢主義や学閥?ルッキズム?それらを統合した舐める態度(信頼関係の欠如)

もっと簡潔に言えば、
・進め方の方針が違う
・方針の違いを指摘しても、考えなしで気づけない気づこうとしない
・舐められている、信頼関係がないせいで、尚のこと聞く耳なし





以前、こんな記事を書きました。人によって作業で重視するポイントや進め方がそもそも違うので、人間は生産的行動を一緒にするときにはトラブルになりやすいと説明しました。1の要素はここです。

これが、パートナーや横の関係(共通利害関係)ならば、納得いくまで話し合いよりよい選択を選ぶとか。相手のことをよく理解することで、相手の好みを先回りしてトラブルを回避することがいずれ上手くなっていくことでしょう。

しかし、上司と部下(管理する側と現場側)となると、利害関係が異なるために、共通の前提や共通のゴールを持つことができずに、話し合いやすり合わせのスタートラインにたつことすら難しい場合があります。とはいえ、同じ人間だから話せばわかると思いがちです。これは誤りです。

良い事、悪い事だと論証しても、それは相手には響きません。速さよりも丁寧に!と訴えても、早い方が良いんだから、しょうがないじゃんと思われるようなものです。どんなに論理的で正しく見える指摘であっても、相手の進め方にそぐわないと、そうはいっても~というなにかの理屈で心の中で簡単にひっくり返されてしまいます。相手にしてみれば、それは問題点でもリスクでもなんでもなく、自分にしたら一番マシな行動という意味において100点だと見なしているからです。

それらは大抵、徹底したサボりか。一番楽な前年前例踏襲か。責任逃れの完全防御か。責任や準備逃れのみんなで決めたヅラか。形式だけのやったづらか、自分理屈の進め方になることでしょう。話し合い(相互の歩み寄り)ではなく、全く話は届いていません。上司から言われた小言の枠の中で、いかに自分のやり方を貫くかしか考えていない、自分は~、自分は~です。これが2つめの要素です。

最後は権威主義というか。だれしもそうかもしれませんが、自分より経験不足、年下、きょどきょどしている。体が小さい。そんな相手の言うことを聞くでしょうか。ここにはここのやり方がある、うちはこれまでこれでやってきた。そんなセリフのような話です。聞いてもらえません。そもそも聞く気すらないわけです。これが3つめの要素です。







管理職の憂鬱

部下が言うことを全然聞かないしんどい状況でも、物事を前に進める必要があるので、管理職側は苦悩しながら次のいずれかの選択肢を選びます。それぞれ掘り下げてみます。


1、言うことを聞かせる、管理職側が主導権を握る
2、相手の言うやりかたでやらせる。相手に主導権を渡す
3、上手に手綱を握る




1、言うことを聞かせる、管理職側が主導権を握る

この手の部下を動かす!の話になると、相手の話をよく聞く。指摘じゃなくて説得する話し方をしよう。相手を尊重しよう等のアドバイスをよく聞きます。誤りです。上述の通り、相手の言うことをじっくり聞いたり尊重しようとしてみても、相手の100点(相手なりの進め方や方針)は、ピクリとも動じません。言うことを聞かないままです。

なので強引なやり方ですが、私が上司や管理者であり、お前は命令や指示を聞く側であるということを明確に示すという選択肢があります。具体的には、この決定に不満はあると思いますが、ここでの立場は私が上です。今後も全部が全部私の指示通り動けという意味ではありませんが、この部分に関しては、こういうやり方ですすめてください。と明確に立場と進め方を提示することで主導権を握り、言うことを聞かせる方法です。

この方法のデメリットとしては、強引にうつり心を閉ざされかねない(信頼関係激減する)ことと。提示された進め方で物凄く上手くいかなかった場合、信頼尊敬関係をかなり損なうことです。上述の通り、失敗と成功を、”そうしなかった場合”と比較することが認識上基本難しいため、わかりやすい失敗にだけ目が行きやすい。なので、やることなすこと全てが粗探しの減点方式になりやすく管理側への不満だけが募りやすいわけです。

本当に時間がなくて説明している暇がない。絶対にそっちの方が良い結果になると確信している時しか使えない選択だと思います。




2、相手の言うやりかたでやらせる。相手に主導権を渡す

丸く収まるなら、気持ちよく働いてくれるなら、あなたのやり方でもいいよと部下に主導権を丸投げしてしまう選択肢もあります。部下にしてみれば、話の通じる上司だ!と喜ばれるかもしれません。しかし、この方法が上手くいくのは、部下がそこそこ優秀な場合に限ります。

例えば、考えてみてほしいのですが、あなたの妻(や夫)が休みの日のお出かけ予定を立ててくれるらしい。主導権を渡してお任せ!の姿勢でいる。すると、お昼休憩が20分とかの無理スケジュール(本人は平気)とか、全速力で走って乗り換え(本人は平気)とかを組まれるようなものです。

相手が自分だけではなくて周りを見据えて考えられる人ならばよいです。その人が80点位だせるならば、お任せしてしまってよいでしょう。しかし、そうでない場合は、悲惨な結末に管理責任を問われる未来がいつか待っています。

格好づけでよく聞く、責任をとるのが上司の仕事とか言う人がいますが、余程、有能でやる気のある部下ばかりの職場で働いているのだと思います。でなければ、とても出てこない意見です。




3、上手に手綱を握る

というわけで、1も2の方法もいい結果にはなりません。ただし、部下がそこそこまともな人ならば、2のやり方はまだ可能性があるので、おすすめします。要所や要点の重要度が高い点は、管理側に確認するという方法で大事を避けられるので、そこだけ互いに意識でき相談報告しあえる関係ならば、上手く行きます。

さて、しかし多くの部下や上司は、これまでかいてきた通り自分にとってのベストに固執します。聞いているようで話は届いていません。人は変わりません。なので、如何に上手く手綱を握るかという視点で考えた方が良いと思います。

具体的に言えば、相手がどの行動原理で動いているのかのパターン把握や、分析を行うということです。詳細は後述しますが、言ってしまえば女性とのデートコース選びと同様です。話を聞くでも尊重でもなく、相手の分析のために接っして察するということです。人には色々な思惑があり、それを正直には言わない言えないものです。図書館系ガールが静かなところに行きたいといえば、人混みが嫌と推測するようなものです。音楽や歌大好きガールのストレス発散したい!は、カラオケに誘うみたいなものです。

何を基準にどういう行動をとりがちかを分析して、相手が大事にしている基準に沿った形で提案すれば、採用されたり話の中身を聞いてもらえる可能性が高まり、ひいては、そのわかってもらえている感が、信頼や尊敬関係につながり、なおのこと提案や指示を聞いてもらいやすくなります。

管理職が目指すのは、強引でもなく、全部任せるでもなく、話を聞くでもなく、相手の意見に耳を傾けるでもなく、相手をひたすら分析しながら接っする能力の向上だと思います。






相手を分析する 

1、重要度(影響度合)
2、関心方針(目標や方針や重視する主義)
3、実際の行動傾向


上司と部下において、分析的にみるポイントは3点だと思います。一つ目は、重要度であり、その人にとって、目の前の問題や課題がどれほどの影響力があるかです。大して影響がないことなら,、その次の関心や行動も消極的になります。逆に言えば、”大事であること”をまずは強調し、相手に認識してもらわないと、その次の関心や実際の行動傾向の管理にうつっても上手くいきません。

関心は、その問題や課題に対してのその人なりの解答のことです。つまり、どこを大事にして、どういう基準をクリアすれば、解決や達成だと捉えているかです。学生時代の合唱コンクール練習で、みんなの意見や雰囲気が悪くなるあれが、まさにこの関心の部分です。楽しく楽にみんなとそれなりにすることなのか。絶対に1位をとることなのか。しっかりした歌になる、なっていない状態を改善するために、どこにどうテコ入れをしようとしているのか。○○主義といわれるような何を大事にするかの多くの視点があります。

最後は、それらをひっくるめた実際の行動傾向に繋がります。できていない人を叱責するとか。練習時間を増やすとか。全員で一丸となるために全体練習をするべきとかとか。相互理解だからとにかく会議や話し合いをしようとか。逆に個人練習の宿題を課せばよいのではないか等。方針が実際のやることに落とし込まれます。この具体的解決策もその人なりの傾向が生じます。

私はまだ管理職一回目なので、この分析能力や、パターン分けする能力が圧倒的に足りないと思っています。しかし、根幹的な部分は上記のように理解できた気がします。つまるところ、目の前に見える行動よりも、一段上位の相手の関心を把握すように観察する。相手の関心を見るよりも、さらに一段上の相手の重要度を把握したり、変えるように働きかける必要がある。ということです。この一段上という考え方が重要だと思います。

さて、少し話は変わりますが、年頃の子供や非行少年にズルや非行行為をやめさせる語りかけとは何かという問がありました。その答えとして、
「十年後の自分が、今の自分を見て格好いいと思う?」とありました。
行為を指摘するよりも、関心を指摘するよりも、奥底にある重要度や大事さを本人に気づかせなければいけない。と、上の話と通じる気がしました。








おわりに

これまては、6w3hを意識し、客観的な表現を心がけ、明瞭で簡潔な枠(この枠のなかなら自由な方法で取り組んでいいよ)の提示によって、相手の自由度を保証し結果で管理する手法が有効と思っていました。しかし、実態は枠を提示しても、都合よく自分の言い分に枠を寄せて解釈したり、枠を理解せずに、あるいは理解しても面倒だから頭にまでつたわらず処理されたり。もう、散々でした。

というわけで、途中でのべましたが、上司と部下云々は、異性との恋愛経験や付き合い方と一緒だと思います。上司と部下の良質な経験を積んでいれば、相手がどんなに下手くそで本心を隠した下手なコミュ力しかなくても、その本心を一段上に上って察して、相手の望む形に整えて、聞きやすい形で提案することができると思います。相手の言いたいことがわかるということです。

分かりやすくではなくて、相手にとって聞きやすい耳当たりよくというなんとも主観的に話を構成する必要があり、日常生活では鍛えられない分野だと思います。言い方が大事とは、まさにその通りなわけです。

つまり、上司と部下とは根源的には、元からの相性か、それを乗り越えられる経験値のどちらかが重要な領域です。

相性はどうすることもできないので、経験値を積むために、はやいうちから人の上にたったり、下につく理不尽さを経験しておく必要があると思います。上にたつと雑用や責任が増えて面倒くさいものですが、そこで得た上手に手綱を握る術は、社会に出て必ず役に立ちます。そして、あいつを上にたたせた方が上手く行くと周りに広まれば、より登用されることになるでしょう。上司になって、すぐにこういうコツをつかめる人もいると思いますが、大半は失敗したままで、部下との関係に悩んだり、使えない上司扱いされてやりにくさを感じることになると思います。若い時の苦労は買ってでもしろとは本当にそう思います。

最後になりますが、上司と部下は、尊重とか話を聞くとかじゃない、本質は分析だ!という話が広まって、皆の憂鬱が減れば幸いです。

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