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駒に触れず、将棋初段に
私の趣味は将棋です。でも、きちんとした駒に触ったことがありません。
将棋との出会い
初めて将棋に出会ったのは小学生のとき、親が買ってきた色々なボードゲームが遊べるセットの中に将棋盤の描かれたシートと小さなプラスチック製の駒がありました。
父親から駒の動かし方を教わり一緒に遊んでみましたが、囲いも戦法も知らない私は、何が楽しいのかわからないまま王様を詰まされました。
そこで悔しさをバネに奮起すれば、若き天才路線な人生を歩めたのかもしれませんが、2~3日も経てば、やれ強いポケモンの育て方だのレアな遊戯王カードなどの話題にかぶりつき、将棋のことなんてすっかり忘れていました。
将棋との再会
高校の修学旅行のとき、同部屋になった友達がトランプとUNO、そしてポケットサイズのマグネット将棋盤を持ってきていました。そこで私は将棋に再会します。
友達は少しかじっているくらいの棋力でしたが、当時の私は駒の動かし方すらあやふやになってしまっている状態だったため、再び大敗を喫します。
家に帰ってから、何となく将棋について少しは勉強したいと思い、日曜朝の将棋講座を観ることにしました。初めて観た講座は、橋本崇載八段(当時七段)と中村桃子女流初段(当時女流1級)が出演されており、橋本八段のホストのような派手なルックスとキャラクター、中村女流の美貌から、今まで持っていた将棋に対する堅苦しそうなイメージが払拭され、毎週観るようになりました。
将棋倶楽部24
家の近所に将棋を指せるような場所はなく、私はインターネット将棋を始めることにしました。
最初はヤフー将棋から入り、しばらくして将棋倶楽部24で指すようになりました。将棋倶楽部24は将棋連盟も公認しているネット将棋道場で、そこでの段位をそのまま公認の段位として認めてもらえるようになっています。
最初は10級のあたりをうろうろしている状態が長く続きました。それもそのはずで、当時の勉強法は毎週のNHK将棋講座と将棋トーナメント観戦、そしてネット上でプロの棋譜を観る、アマチュア将棋ファンが書かれている戦法解説のブログを読む程度でした。
将棋倶楽部24での対局を続けるうちに、「ここで初段になりたい」と目標を持った私は『5手詰ハンドブック』を購入し詰将棋の勉強を開始、そしてフリーの将棋ソフトをPCにインストールして、対局後に毎回、自分の将棋を振り返るようにしました。
しかし、それでもなかなか結果が出ず、徐々に将棋に対する熱意も失われてきた私は、自然と将棋から離れることになりました。
再燃
将棋から離れていたタイミングで、電王戦が始まります。プロ棋士とAIの激闘は私の将棋熱再燃には十分すぎるものでした。
24での対局を再開した私は不思議なことに勝ちが続き、あれよあれよと5級まで昇級します。これは私見ですが、それまでは「勝ちたい」という欲にかられ、勉強したことが対局にほとんど活かされていなかったのだと思います。間を空けたことによって冷静に指せるようになり、これまでの勉強が時間をかけて実になりました。
さて、5級まで昇った私ですが、ここから初段まではまたしても長い道のりです。1年ほど勝った負けたを繰り返して変動なし、またも数か月将棋から離れてしまったある日、私はとある戦法に出会います。
「超攻撃矢倉 屋敷流二枚銀戦法」
屋敷伸之九段が得意にされている戦法で、二枚の銀が前線に繰り出して速攻で相手を討ち取る将棋は観ていてとても気持ちが良いものでした。
私もやってみようと、ネットで棋譜を観て色々と真似るのですが、中々上手くいきません。
そこからしばらく経ち、屋敷流二枚銀の本が出版されるとの情報が入ります。私は購入して勉強を続けました。指し手の解説を読み、将棋ソフトを使って画面上で棋譜を並べます。
駒に触れず、初段に
今までは得意戦法がありませんでした。ずっとホームグラウンドではなくビジターで戦っているような状態でした。
屋敷流二枚銀を本で勉強してからは、一気に勝率が上がりました。二枚銀を駆使した将棋はもちろんのこと、それ以外の戦型に関しても、部分的に本で習った攻め筋を活かして勝ちを拾うこともありました。
そして将棋を本格的に始めてから8年の歳月を経て、私は駒に触れず初段になることができました。
初段になるまで8年かかるのは、おそらくかなり遅い部類だと思われます。
ネットやSNS上で、半年や1年で初段になる方を沢山見てきました。おそらくきちんと駒に触れ、きちんとした勉強をすれば、私のような遠回りをすることはないのでしょう。途中、何度も間が空いた時期があることを考慮すれば、結果が出ない中で熱意や集中を保つ力も私は無い方だと自覚します。
しかし、それでも完全に辞めずになんとか続けたから初段になることができたのだと思います。
これから
おそらく今までと変わらぬ距離で将棋と付き合っていくでしょう。余程のことが起きない限りは、駒に触れられる場所に行くようなこともないと思います。
現在は昇段といった目標もなく、Twitterで有志により開かれているネット将棋大会に参加したりしてゆるく将棋を楽しんでいます。
それではこの記事はこの辺で終わりにします。駄文失礼しました。
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