どこで何を食べようか?大人の自由研究計画
「文化は人類の偉大な功績のみによって築かれるのではない。人々が何を食べ、どんな料理を作るかといった日常の出来事が文化を生み出すのだ」
ローリー・コルウィン『わたしの陽気なキッチン』
好きなことが見つかると、身の回りの物事は全てそのフィルターを通して見えるようになる。
私の場合は「食フィルター」。
とにかく、寝てもさめても食のことばかり考えていて、仕事中も食が頭から離れない(ちょっと怖い)。
会社員である私の仕事は、ざっくり言うと「不動産関連」で、よりざっくり言うと「土地、建物、都市、地域、etc.」に関するテーマを扱う仕事。
残念ながら、会議中に食べ物が話題にのぼる機会は少ないけれど、「食フィルター」越しに見ている私は、「このふたつ、もしや切っても切り離せない関係なのでは…?」と思い始めた。
「不動産」は、いってみれば「場所」。
・食物が作られる場所としての農村・山・海
・流通の拠点としての物流施設、道路、鉄道
・売る場所としての市場・お店
・調理する場、食べる場としての飲食店、家
・その他、学校、オフィス、ホテルにも、食は欠かせない
もう少し視野をずらすと、日本各地の郷土料理や、世界中の料理のバラエティは、間違いなく「場所」に結びついている。
また、慌ただしくて比較的キッチンの狭い都会の食生活と、キッチンは広いけど外食できる店が少ない田舎の食生活もだいぶ違う。
食と場所の話は、あげれば本当にキリがない。
「どこで、何を食べようか?」と考えるのは私にとって、最も楽しくて大事な時間のひとつだけど、残念ながらそんなことを考えなくても、すぐ近くの店で、日々入れ替わる魅力的な商品からランダムに選べばお腹は満たせる。
でも、そんな環境にいるからこそ、食と場所について考えるのは、何かとても重大なことのように思えてくる。
果たしてどんな結論に至るのか、というより、そもそもどんな問いがあるのか・・・。まだ私もはっきりと見えていないけど、どこまでも個人的な「大人の自由研究」としてズンズン掘っていきたい。
さて、毎回長くなりすぎるので、今回はここまで!
最後に、今後ヒントになりそうな情報や気になるトピックをいくつか。
ヒント1.TED 食料による都市の形成
建築家のキャロリン・スティールさんが「食料が世界を作る」と語る動画。迷子になったらこの動画を見よう、と決めている。
ヒント2.GOOD NEWS FOR CITIES
「都市」が大好きな二人がいろんなゲストと一緒に語り合うラジオ番組。テーマは、アートからお金まで幅広くて面白い。1にあげた動画もこのラジオで知った。
気になるトピック1.食を学ぶ場
食の学びの場づくりのレポート。男子高校で行われたというのが面白い。作る場としての家の台所は、どうしても女性支配のイメージがあるけど、コロナで料理する男性も増えたとのことなので、今後が楽しみ。
気になるトピック2.フードテックとそのまわり
昨年末に開催された「スマートキッチン・サミット・ジャパン」。フードテック界隈の人々がディスカッションを繰り広げていた。
私も興味がある部分を視聴してみたけれど、そこで、都市のハード(=建物)は均質化が進む中、ソフトである「食」にできることは?という話が展開されていた。どこに行っても同じような光景が広がる都市においては、「食」に大きな期待が寄せられている。
気になるトピック3.歩いて楽しい、ウォーカブルな街を目指す佐賀
わが故郷、佐賀のイケてる取り組み。外で食べるって楽しいよね。道路ってもっと自由でいいよね、というチャレンジ。
道路に限らず、公園など公共の場をより柔軟に使っていこう、という話は近年たくさんあるけれど「人と一緒に食べる場」というのは、欠かせない機能の一つだと思う。
気になるトピック4.食の実験的な場所
日本橋や京橋のような都心ど真ん中で、こういった食の実験的な場がつくられているのは、食に関する関心が高まっている証拠。どんどん食いしん坊に優しい街になりますように!
さて、自由研究、今後もお楽しみに。
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