10冊目/村上春樹『風の歌を聴け』
村上春樹の小説を最初に読んだ時、すらすらと読めることに驚いた。彼の書くジャンルが純文学なので文章や、物語のテーマに関して硬派なイメージがあったのだがそうではなかったのだ。また私は、彼の読者に対しては好きな音楽バンドを推すような熱を感じていた。ハルキストと自称するファンは、彼の名前を利用して自分が特別だと言っているように思えたし、あまり本を読まなさそうな人が彼の名前をあげる時は、その言葉の裏に浅い思惑があるように見えた。でもこれは、広く名前が知られる人がもつ有名税のようなもの