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blender 4.2 写真を模写する | 冬の森

フォトリアルレンダリングを目指すには、やはり写真を真似するのが近道ではないでしょうか。そこで、よさそうなお手本を選び、いくつかの模写修行に出ています。


環境 Blender 4.2.0 , Mac Mini M1 OS 14.4



お手本


お手本はワシントン州の森の中のモダンキャビン。

引用元 : Pinterest Designed by Olson Kundig


モデリング


雪の地面、山小屋本体はごく普通にモデリング。

手すりなどには雪オブジェクトをのせた

樹木

このレンダリングの主役はどちらかといえば背景の森なので、すこし気を使って作成する。樹木の生成は Sapling Tree Gen エクステンションを使用した。

いくつかのパターンを作成した。

各樹木オブジェクトを選択、右クリック、変換 > メッシュを選択

もとはカーブオブジェクト。後のマテリアル操作のため、メッシュに変換。

4.2 では、Sapling Tree Gen はこれまでの「アドオン」から「エクステンション(Extension)」となった。機能は同じだが、インストール方法がやや異なる。

編集 > プリファレンス tree gen 等で検索し、「インストール」


樹木マテリアル

雪に覆われた樹木用にマテリアルを作成。

ジオメトリノード「ノーマル」から接続
範囲マッピング、カラーランプは白黒境界の位置の調整

オブジェクトの各面のノーマル(面の向き)情報を、XYZ 分離ノードの Z 軸 のみ抽出し、面の向きが上を向いている面のみ、カラーを白とした。雪が降り積もるのはおおよそ、枝の上面のため。

さらにバンプとディスプレイスメントで細かな起伏をつけた。

細かい起伏が付いたため、上を向く面も増え、境界も曖昧になったが、これはこれでよいだろう。
マテリアルプロパティ。ディスプレイスメントとバンプ を選択することで、形状に起伏が加わる。

遠目の樹木は上のままとし、カメラに近い数本の樹木は、幹のみに別マテリアルを適用し、暗くした。

幹マテリアルのみ、前述のカラーランプの黒を多め、ディスプレイスメントは外した。


樹木配置

森なので、約200本の樹木オブジェクトを配置した。

背後の平面オブジェクトは、樹木のPNG透過画像
マテリアルプレビュー。PCの性能によるが、動作はやはり若干重くなる。

TIPS

樹木オブジェクトを複製する際は、通常の Shift + D ではなく、Option(Alt)+ D キーで複製する。複製先は、インスタンス(オリジナルのコピーオブジェクトで、頂点などのジオメトリ情報を持たない)になるため、データの削減と、負荷の軽減になる。

上の樹木のような大量のオブジェクト群は、コレクションに収納すると一斉に表示、非表示を切り替えることができて便利。

新規コレクションは、上のアウトライナー画面上で、右クリック > 新規 を選択
樹木オブジェクトはすべて「trees」コレクションへ


ライティング

HDRI

空、および、環境(背景)光には、HDRI を使用した。

PolyHaven より入手した snowy_park_01_4k.hdr
シェーダーエディター。「ワールド」を選択、「ノードを使用」をチェック。
空のみを表示させるため、マッピングノードの値をやや変更。強さは控えめの 0.4

Sun

補助的にサンライトを設置。カラーはやや青寄り。

角度は 80 とし、くっきりとした影は落とさないようにした。
微差ではあるが、若干、樹木の白が目立つ。

キャビン内に、2000W 暖色のポイントライトを設置。

volume

上のままでも悪くないが、もうすこし、冬景色の雰囲気を出すため、ボリュームを設置してみた。

ボリュームは、オブジェクトの内部に、霧や雲、煙などを発生させる機能。

  • 下のようにシーンを覆う立方体を作成。

中央下はキャビンオブジェクト。キャビンにはボリュームをかけたくなかったため、そのエリアのみ除外している。
  • マテリアルは、プリンシプルボリュームのみを適用

シェーダーエディター。密度 0.01 放射強度 0.002 放射色 水色
別記事プリンシプルボリューム でやや詳しく紹介しています。
これもすこし微差だが、遠景がやや霞み、雰囲気は出ている。

「密度」が大きいと、ボリュームが濃くなるためシーンが暗くなる。ここではごく薄め。また、プリンシプルボリュームでは、ボリュームの粒を発光させることができ、値を大きくすることで、かすみが強くなり、伴ってシーンが明るくなる。

放射強度 0.006(3倍)


画像修正


カラーや明るさを、Photoshop で調整。基本的な調整なので、コンポジットノードや、Gimp 等フリーウェアでも可能。

トーン(RGB)カーブ カラーバランス 気持ちコントラスト強め、青系をかなり加えた。


完成


ポストプロダクト後。下はオリジナルのお手本。

cycles 4096 samples 144秒
オリジナル お手本


まとめ


200本も木を投入したのに、やや林のようで、深深とした冬の森の雰囲気の再現には少し遠い印象はあります。枝の上の雪ももうすこし工夫の余地がありそうで、手前の木だけでも手動でモデリングしたほうが良かったかもしれません。ただ、少なくとも雰囲気だけは再現できているのでは。参考まで。


Netflix などのネット映画で、森のシーンをカメラが速く移動すると、画像が乱れることがあります。おそらくストリーミングのデータ量を超え、再生が間に合わないのでしょう。樹々や森は、画像のなかでも情報量が多いのだと思います。

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