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文系の blender

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物理/光学シミュレータとしての側面も持つ blender は、理系の専門用語が頻出し、ときどき文系の頭を揺らします。そんな文系のわたしが理解できる範囲で、ライティングやマテリアル…
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記事一覧

blender を始めよう 4.2 | 第2回 はじめてのモデリング。 オブジェクト/編集モード

CG でなにかをつくりたい、モデリングしたい、という目的で blender を始めるかたがほとんどだと思います。ここでは、モデリングを始めるための予備知識と、モデリングのためのごく基本的な流れを紹介します。 環境 Blender 4.2.0 , Mac Mini M1 OS 14.4 オブジェクトモード、編集モード モデリングの際、不可欠で、もっとも頻繁に切り替えるのが、オブジェクト(Object)モードと編集(Edit)モードだ。blender の起動時は、オブジェクト

blender 4.2 VFX 実写合成する

CG の黎明期から、実写の画像とCG画像を合成する、いわゆるVFX(視覚効果)と呼ばれる手法がよく使われました。もちろん現在も映画やCM、広告などで日常的に目にしています。 適当に切り貼りしてしまうとコドモにもばれてしまう合成になってしまいますので、ここでは、一例として、なるべく違和感のない実写合成の手順のひとつを紹介します。 環境 Blender 4.2.0 , Mac Mini M1 OS 14.4 実写画像 合成のベースとなる実写のインテリアシーン。 CG画像

文系の blender 4.2 レイの可視性 Ray Visibility ってなに?

cycles のレンダリング方式は、レイトレーシング(Ray Tracing)と呼ばれ、レイはレンダリングに不可欠の概念ですが、とくにわたしのような文系にはややこしく、ごく薄い理解にとどめていました。 ただ、その仕組をすこし理解できると、実用的になにかと便利なこともあります。ここでは、レイ関連の機能を、すこしだけ踏み込んでまとめてみました。 環境 Blender 4.2.0 , Mac Mini M1 OS 14.4 レイとは レイ(Ray)とは、カメラから発せられ、現

blender 4.2 ビールを作ろう

モデルじたいはかんたんなオブジェクトでも、照明のあてかたなどがすこしむつかしいのが、ガラスや液体です。 ここでは、スタジオ撮影風の練習も兼ねて、ビールのグラスとボトルを作ってみました。 環境 Blender 4.2.0 , Mac Mini M1 OS 14.4 モデリング モデリングはごく普通に。グラスやボトルはもちろん、実物と同様に適切な厚みをつける。 ライティング ライティングは比較的シンプルに。余計な映り込みを避けるため、背景(環境)光はなし。背後から発光する

文系の blender 4.2 マテリアルの基本と応用 | 半透明

身の回りには、クリアなガラスのような透明のモノもありますが、あまりクリアではない半透明の素材もたくさんあり、CG で再現するには、透明、不透明の素材にくらべてすこし設定に工夫が必要です。 ここでは、プリンシプル BSDF の、アルファ、伝播、サブサーフェス、ボリュームによって作成する半透明マテリアルについてまとめてみました。 環境 Blender 4.2.0 , Mac Mini M1 OS 14.4 Alpha プリンシプル BSDF の「アルファ」の値を操作するパタ

blender 4.2 影をコントロールする

CG のレンダリングにおいて照明はとても大事な要素で、ライトとライティングに関する参考コンテンツは豊富なのですが、光とはある意味一体である「影」については、参考がすこし少ない気がします。 そこで、ここでは、影に関する基本と、ややチート的な操作を含めたスキルをかんたんにまとめてみました。 環境 Blender 4.2.0 , Mac Mini M1 OS 14.4 やわらかさ ハードな影、ソフトな影については、ポイント、サン、スポット、エリア、の各ライトで調整できる。

blender 4.2 写真を模写する | 冬の森

フォトリアルレンダリングを目指すには、やはり写真を真似するのが近道ではないでしょうか。そこで、よさそうなお手本を選び、いくつかの模写修行に出ています。 環境 Blender 4.2.0 , Mac Mini M1 OS 14.4 お手本 お手本はワシントン州の森の中のモダンキャビン。 モデリング 雪の地面、山小屋本体はごく普通にモデリング。 樹木 このレンダリングの主役はどちらかといえば背景の森なので、すこし気を使って作成する。樹木の生成は Sapling Tree

blender 4.2 照明のちょっとした心得

時間をかけて丁寧にモデリングしセットアップしたのに、レンダリングして予想のイメージと全くかけ離れていた時ほどの、むなしい徒労感はめったにありません。ただ、その原因の多くは、照明の当て方、ライティングにあります。 照明は、シーンやシチュエーションによっても異なりますし、一律の正解はおそらく存在しませんが、その上で、これまで少なくないレンダリングを行ってきたなかで、ライティングについて、ちょっとづつ心がけていることを紹介してみます。 環境 Blender 4.2.0 , Ma

blender 4.2 アセットブラウザを活用しよう

アセットとは、作成したオブジェクトやマテリアルなどを登録し、いつでも再利用できるようにしたデータの一種です。Unity や UE ではおなじみの機能ですが、blender では 3.0 以降で採用されました。 既存のオブジェクトをカテゴリによって整理、保存し、新たなシーンに手早く追加、配置することができて便利です。 ここでは、基本の利用方法について紹介します。 環境 Blender 4.2.0 , Mac Mini M1 OS 14.4 アセットの作成 アセットは、スト

blender 4.2 マテリアル Thin Film, Thickness | 薄膜、幅

4.2 より、プリンシプル BSDF に「薄膜(Thin Film)」、マテリアル出力に「幅(Thickness)」の、新設定項目が追加されました。 ここでは、その2つの設定値について、かんたんに整理してみました。  環境 Blender 4.2.0 , Mac Mini M1 OS 14.4 Thin Film(cycles only) プリンシプル BSDF の「薄膜」では、文字通りひじょうに薄い膜の影響をシミュレートする。塗装膜などを表現する「コート」に似ているかも

blender 4.2 シミュレーションでドーナッツを作ろう

有名な YouTuber の影響で、blender ではじめてつくるモデルといえばドーナッツ、が定番になっています。初心者用のモデルとして本当に適しているかどうかは別として、実際にチュートリアルを行ったかたも多いのでは。 ここでは、ほとんどモデリングなしで、流体とパーティクルシミュレーションでドーナッツをつくる方法を紹介します。 環境 Blender 4.2.0 , Mac Mini M1 OS 14.4 ドーナッツ Shift + A > メッシュ > トーラス を追

blender 4.2 マテリアルの基本と応用 | カラー、粗さ、起伏

周囲をみると、いろいろなモノがあって、それらはみな質感が異なり、一瞥するだけで、木、金属、ガラスなどでできていると判別できます。それらの多様な質感を、CGでは「マテリアル」と呼びます。 ここでは、blender のマテリアル機能について、主要な3要素である、表面色、表面の粗さ、起伏に関する基本から応用までを紹介します。 環境 Blender 4.2.0 , Mac Mini M1 OS 14.4 基本 マテリアルの設定は、おもにマテリアルプロパティ画面、あるいは、シェー

blender 4.2 クロスシミュレーションでベッドを作る

インテリアシーンでは、椅子やテーブルなどにくらべて、不定形のかたちが多く、比較的リアルな造形がむつかしいのがベッドです。 ベッドのモデリングにはさまざまな方法がありますが、ここでは、おもにクロスシミュレーションを使った方法を紹介します。 環境 Blender 4.2.0 , Mac Mini M1 OS 14.4 01 シーツ 下の立方体、および、平面オブジェクトを追加する。長さは約 4 m 。 collision ベッド本体に、物理演算プロパティ > コリジョン を

blender 4.2 写真を模写する | 朝食

フォトリアルレンダリングを目指すには、やはり写真を真似するのが近道ではないでしょうか。そこで、よさそうなお手本を選び、いくつかの模写修行に出ています。 環境 Blender 4.2.0 , Mac Mini M1 OS 14.4 お手本 お手本はベーコンエッグトーストの朝食。 モデリング お手本を参考に各オブジェクトをモデリング。 マテリアル とくに食品は、マテリアルに手を抜くとフォトリアルにはならないので、時間をかけて丁寧に適用した。 素材 目玉焼き 左は画像