バッタを倒しにアフリカへ 感想
タイトルの通りです。ただいま読み終わったので感想を書きます。
概要
バッタに食べられたいという願望を持つ昆虫大好き博士(ポスドク)が、アフリカのモーリタニアに渡り、バッタの研究をしたり、バッタが出なくて研究ができなくなったり、研究費がなくなるから広報活動したり就職活動したりするという話。
新書だし著者は普通に博士だが、小難しい内容ではなく、エッセイ、紀行、もっといえばブログの書籍版って感じでめっちゃ気軽に読めた。
感想
まずこの本で面白いと思った要素は3つある。
1つ目は、バッタの生態が知れること。
僕は30歳を超えて子供はおろか交際相手もいないのに、児童書の「ざんねんな生き物図鑑」を全巻集めているくらい生き物が好きなので、研究者目線でのバッタの解説はとても楽しめた。それに、本書にはバッタ以外にもゴミムシダマシ(本書ではゴミダマと呼ばれている)っていう全然知らない虫も登場するが、そのエピソードも面白い。
2つ目は、アフリカの暮らしが知れること。
著者は研究者なのだが、アフリカでフィールドワークをするには、現地でコックやドライバーなどを雇わなくてはいけない。そういった人々はやはり現地の人なので、彼らとの交流を通して、研究所のあるモーリタニアの人々の文化や国民性がわかる。
僕の見分が狭いこともあるが、アフリカに行ったことはないし、アフリカをメインに据えた漫画やアニメやフィクションにもあまり触れてこなかったので、知らないことも結構あって新鮮だった。
3つめは、ポスドクの窮状が知れること。
なんか知らんが、Googleの勝手に出てくるあなたへのオススメニュースに「大学院出ても仕事がない」「高学歴ワーキングプア」みたいな記事ばっか出てくるので、表面的、断片的に知ってはいたが、なんでそうなってしまうのかって理由や、”研究ができなくなるプロセス”(本書では研究ができなくなっているわけではないが)まではわからなかったので、そうした問題が自分の中でよりイメージしやすくなった。
ただ、個人的にイマイチだと思った点もある。
それは上記の、バッタの生態に関する記述がちょっと少なくない? って点。
タイトルが、「バッタを倒しにアフリカへ」なので、ポスドクや広報活動の文量をちょっと減らして、”バッタ”と”アフリカ”の要素を増やしてほしかった。論文執筆前でそれに関する内容が書けなかった、というのはしょうがないし、そういう難しさもあるんだな、とは思ったが、それにしてもバッタとアフリカ要素がちょっと少ない印象。
牛丼頼んだのに牛すき焼き丼が出てきて豆腐や白滝が入ってた感覚に近い。
まぁでもアタリかハズレかで言えば間違いなくアタリの本。
出版当時タイトルに惹かれてたけど表紙が怪しくて買えなかった俺みたいな人は、変な人だけどちゃんと博士が書いてるから読んでもいいと思います。
どうでもいい話
僕は以前、異世界転生小説を書いた。
どんな話かというと、俺が異世界に勇者側でなく魔王側として転生し、そこで魔物デザイナーとして活躍するという内容。
そこで俺は現代知識を活かし? 蚊やイナゴを魔界仕様にして、地味な嫌がらせを続け勇者たちを苦しめるという、創作の中でも性格の悪さを存分に発揮した。
ただこの作品、自分の中では読むのも恥ずかしい。
文章が稚拙なのはもうどうにもならないのでおいといて(これでも1回推敲した)、なにより被害の描写の乏しさが酷いためだ。
実際にある事象を作品に登場させるときは、こういう本を1冊でも読んでおくことの大切さが身に染みて分かりました……
アイデア自体はめちゃくちゃ良いと今でも思っているので、もっと勉強したら改変、加筆したい。
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