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のらねこ旅日記≪焼き鴨と朝飲茶≫

 香港で 北京ダックを食べた帰り道、現地在住の友達が
「前にパーティーで北京ダックの皮と肉をとった残りを持たされたんだけど…」と話し始めました。
  こちらでは、それでだしをとってお粥を作るのだそうですが
「面倒くさくて、ゴミ箱に捨てたら、ダックちゃんが恨めしそうな目をしていたので、上からキッチンペーパーかぶせた」と、彼女は笑って言いました。
  2回目の香港訪問の時、彼女は人気の焼き鴨屋さんに私たちを誘いました。
  その店は、マンションが建ち並ぶ住宅地にありました。
  体育館ぐらい広いお店で、大勢の地元民が昼食をとっていました。
  少し待たされた後、私たちは入り口近くの席に通されました。
  そこからは、オープンキッチンのように、中がちょっと見えました。
  料理人が大きな包丁で名物焼き鴨を縦に真っ二つにしてから、半身をぶつ切りにしていました。
彼の横には洗い物用の大きなシンクがあり、お皿が洗剤の入った水に浸かっていました。
  彼はそこからお皿を1枚取ると、布でちゃちやっと拭いて、焼き鴨をポンとのせました。
「すすがないのか!」と驚いていると、友達が
「よくあることなので、こっちの人も食べる前にお茶碗をお茶ですすいでから使うよ」と教えてくれました。
  運ばれてきた焼き鴨は頭が付いていて、高校生物部だった私たちはその断面をしげしげと観察しながら、焼き鴨をおいしくいただきました。
  食事を終えて店のまわりをプラプラしていると、店の横の駐車場の金網に、羽根をむしられ下処理されたダックさんが、ずらっと吊るされていました。
  すごい光景でした。食べる前に見なくてよかったと思いました。

   最終日、香港の人と婚約した別の同級生が香港に来ているということで、午前中、朝飲茶の店で会うことになりました。
  ホテルの朝ごはんを少なめにして挑んだ朝飲茶。
  本場の飲茶はワゴンに料理を乗せた店員さんが店の中を巡回していて、それを呼び止めて料理をもらい、伝票に書き込むシステムで、セイロに入った点心や日本では見かけないニワトリの足先(もみじ)を飴色に煮たものが売られいました。
  さすがに、お客さんは少なめで、ワゴンのオバサン店員さんたちは、手持ちぶさたのようでした。
そして、ちょっとでも目が合うと、ワゴンを押して飛んでくるので、断わるのが大変でした。
  結局、この店自慢のフカヒレスープ餃子が思っていたより大きくてそれだけでお腹いっぱいになってしまい、朝ごはん食べなきゃよかったと、後悔しました。
  ちなみに、ホテルの朝ごはんも美味しそうな点心やお粥があったのですが、
欧米人のお客さんたちは、主にパンケーキやハムエッグを食べていました。
  バターとシロップの空容器を山積みにしてパンケーキを食べていた隣の席の欧米人は、朝飲茶に備えて少ししか食べていない私たちをチラチラ見ていました。
「こいつら、小鳥ぐらい少ししか食べていないな、とでも思ってるんでしょ」と友達が笑いました。
  せっかく海外に来ているのだから、その土地の料理を食べればいいのにと思いました。
  
  
  

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