見出し画像

のらねこ旅日記≪断食道場≫

   2010年ごろのお話です。 
  上海ツアーが諸般の事情で中止になりました。
   すでに休暇を申請して、旅の準備を進めていた私は
『なんか、くやしいからどっか別の所へ行こう!』と思いました。
  そして思いついたのが、伊豆の断食道場でした。
  そこは、大学同期で温泉・グルメ好きの友人Hが以前行って、雑誌のインタビューに答えていた施設でした。
  断食道場というと、なにか修行めいた厳しいイメージがありますが、
そこは、温泉と各種マッサージ機器のある癒しとファスティングの宿といった感じで、私は最短の2泊3日コースに申し込みました。
  初日は、宿からの指示通りに朝食を取らずに、家を出て伊豆に向かいました。
  駅からは送迎バスで、他に30代ぐらいの女の人が一緒でした。
  宿に入ると、スタッフさんから施設とこれからのスケジュールの説明を受けました。
  私の部屋は洋間の一人部屋で、冷蔵庫の中には、500mLぐらいのガラス瓶の酵素ジュースと塩分補給のためのカリカリ小梅が数粒はいった小皿がありました。これらを1日かけて摂取し、明日の夜までは、他のものは食べれません。
  あとは、なにをしていてもかまわないのですが、私は主にロビーの奥にあるエアロバイクやマッサージ機のあるエリアを利用していました。
  あと2kgぐらい体重を減らしたいという思いで断食に挑戦したのですが、それよりも、肩こりを何とかしたかったのです。
  私は、学生の頃から姿勢が悪く、ひどい肩こりで、行く先々のマッサージ屋さんから『鉄板女』とか『鋼鉄の肩』などと呼ばれていました。
『仕事しないで、絶食して毒素抜いてマッサージ受ければ、少しはゆるむんじゃないかな』
  そんな考えで、肩や背中、足など部分ごとに違うマッサージ機を使い、更に別料金で、マッサージ師さんによる施術も受けました。
  さらに翌日には、カッピング療法も受けました。
カッピングとは、口の空いたガラスの玉を背中に張り付け、空気を吸引して陰圧にすることで、血流の改善をするもので、一度やってみたかったのです。
  結構強く吸引するようで、私の背中には直径5cm位の赤い円形の痕が10個並びました。
  で、肝心の断食の方は、というと…
『楽勝』でした。
  細身の友人AやCは
「1食抜いたら、頭が回らない、体が動かない」と、よく言っていましたが、
肥満児時代のなごりがお腹周りにある私は、意外と食べなくても平気で、忙しい時は食べずに、後でドカ食いするタイプでした。
  だから、酵素ジュースをちびちび飲み、普段は食べなカリカリ梅をちょっとずつ食べて、あとは水でも平気でした。(誘惑が多い自宅では無理かな)
夜もよく寝れました。
  温泉には『断食中は長風呂に注意』
とあり、貧血で転倒する人が過去にあったことが書かれていました。
  そのせいか、大浴場で他のお客さんに会うことはありませんでした。
  2日目の夕食には、回復食として薄いお粥と緑黄色野菜のシャーベットのようなものをいただきました。
  そして、翌朝はおいしくフツーの朝食をいただき、私の断食は終了しました。
  結果は体重1.6㎏減。
『昔、食中毒で2日寝込んだ時と同じだ』と思いました。
  肩こりは少し軽減し、ちょっと体が軽く感じました。
  でも、仕事に戻って3日で体重も肩も元に戻りました。
背中のカッピングの痕だけ、1週間残りました。
 



この記事が参加している募集

#創作大賞2024

書いてみる

締切:

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?