のらねこ旅日記≪職場スキー≫
世の中にスノーボードが流行り始めた頃のお話です。
友人A の職場の人たちのスキー旅行に何度かまぜていただきました。
10~13人ぐらいのグループで、年齢も職種もバラバラでした。
北海道に行った時、メンバーの中に事務職の若い男性がいました。彼はスキー初心者で、来月参加する組合のスキーツアーに向けて、予行練習に来たと言っていました。
面倒見のいい先輩が付きっきりで彼の指導をしていましたが、なかなか上達の兆しが見えませんでした。
やがて、日が傾き、だんだん暗くなってきました。
このゲレンデはナイターの照明がなかったので、私たちは早く下山しようとしましたが、彼が律速段階になってしまい、すぐには下りられませんでした。
ふとゲレンデの上の方を見ると、2つの人影が見えました。
「ああ、私たちの他にもまだ人がいるんだ」と、私やAはちょっと安心しました。
でも、その人影はモタモタしている私たちに追い付くことなく、一定の距離をとって後方にいました。
それは、最後のお客であろう私たちが無事下山するのを見守るスキー場のスタッフさんでした。
後で知ったのですが、初心者の彼が参加する組合のスキーツアーの行き先が
フランスのシャモニーで
『2回目スキーでシャモニー!?大丈夫か?』と驚きました。
猪苗代のスキー場の時は、行きにハプニングがありました。
東京駅から新幹線で郡山駅で乗り換え在来線で行く予定でした。
ところが、私の乗ったバスが渋滞にはまってしまい駅までいつもより30分以上かかってしまいました。
前もって切符はもらっていたので
『これだと、東京駅に着いてもギリギリ間に合わないかも。最悪自由席であとから1人で行くしかないか』と思いましたが、東京駅に着く直前に窓から見た新幹線のホームが案外近かったので、ダメ元で私は猛ダッシュしました。
なんとか駆け込み乗車で新幹線に乗れたものの、その車両は後ろに連結された秋田新幹線で、私の席のある東北新幹線への通り抜けができませんでした。
なので、次の上野駅で一旦降りて2車両分走って、無事東北新幹線の車両に乗り換えました。
車両内を移動して指定席に向かうと
Aの職場の人たちが私の顔を見て
「あれ?Aさんは一緒じゃないの?」と言いました。東京駅に私とAが現れなかったので、一緒に上野駅から乗ってくるのかと思ったそうです。
間もなくこのツアーのリーダーに、Aから連絡が入りました。
「地元の在来線で事故があったので、新幹線に間に合わず、あとから追いかけます」とのことでした。
その後更に、別の連絡が入りました。
若手の男性2人が自家用車で深夜に出発して、朝にはスキー場に着く予定でしたが、午前3時頃、東北自動車道でスリップ事故を起こしてしまったのです。
本人たちは無傷でしたが、車がダメになってしまいました。
おまけに、先にスキー場に到着する予定だったので、先輩のスキーを預かっていて、2人で3人分のスノーボードとスキーを運ぶことになってしまいました。
スキー場に着いて、ゲレンデのレストハウスでお昼ごはんをとっていると、Aが遅れて合流しました。
郡山駅から在来線への乗り継ぎが悪かったので、ここまでタクシーで来たそうで「運転手さん、道わからないし、1万円以上かかったわ」と言っていました。
そして午後4時頃、事故った2人組が到着しました。
彼らの場合、まず東北自動車道から移動するのに、スキーキャリーをつけたタクシーがなかなか見つからなくて時間がかかり、更に手持ちの現金が少なかったので、駅前のATMでお金をおろして、2人で3人分の板を持って列車で来たそうです。
移動だけで1日費やしてしまい、疲労困憊の若者2人でしたが、翌日には元気にスノボを滑っていました。
この頃、スノボは流行り始めでだったので、ほとんど初級者状態で、まだ多数派だったスキーヤーの邪魔になると、滑れるゲレンデを制限しているスキー場もありました。
ここのゲレンデにも
『ゲレンデ内つぼ足禁止』の立て札があって『なんのことだろう?』と思いましたが、どうやらボーダーがボード外して歩くとゲレンデに深い足跡が残るのでそれを禁止しているようでした。
実際、ボードをつけた足を投げ出して雪上に座って休憩しているボーダーさんたちを見て『アザラシの群れのようだ』と思いました。
Aの職場の若者2人はなかなか上手で、近くで見ていて『スノボってカッコいい』と思えるレベルでしたが、1人がギャップに突っ込み、その勢いでえびぞりで転倒したのは、衝撃的でした。
『背骨大丈夫か?私には絶対無理!』と思いました。
時は流れて、慰安旅行とか職場スキーは廃れていきました。
私自身もしばらくスキーには行っていませんでしたが、機会があって十数年前から、年に1度1人で日帰りスキーに行くようになりました。
すると、数年前職場の若いスタッフから「今度みんなで日帰りスノボに行くんですけど、科長もどうですか?」とお誘いを受けました。
なんか誘ってもらってうれしかったので、若手スタッフ6人と一緒にスノボに行くようになりました。(といっても、私だけスキーでしたが)
コロナで一旦途絶えてしまいましたが、職場スノボ(スキー)は楽しい思い出です。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?