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人口37人の集落の挑戦【三重県南伊勢町】

三重県南東部に位置する南伊勢町。

南伊勢町には、「竈」という難しい字がつく「竈方(かまがた)」と呼ばれる7つの集落があります。

平家の子孫が移り住み、1400~1600年頃には製塩で生計を立てていた歴史があり、塩竈の「竈」がその地名の由来となっているとのことです。

そのうち、「道行竈(みちゆくがま)」集落は、現在人口37人。
高齢化率は60%を超えており、20代以下の若者がいない限界集落となっています。

あとは閉じるしかない。閉じるまで、時間の問題。
僕はそう考えてしまうかもしれません。人口37人で、一体なにができるんだろう。

再起をかけた米づくり

地区内には豊富な水源があり、米作りが盛んでしたが、人口減少とともに耕作放棄地が増えていました。

「このままでは先祖代々受け継いできた水田や竈方の文化が失われてしまう」

地域の誇りである水田、歴史ある集落の文化継承を目指し、人口37人の集落が立ち上がりました。南伊勢町と皇學館大学がプロジェクトをバックアップすることになりました。

耕作放棄地35aを復田し、酒米「神の穂」を育てることにしました。
誇りの水田で「地酒(日本酒)」を造るプロジェクトです。

日本酒とお米で稼ぐ仕組みづくり

プロジェクトに賛同した伊賀市の若戎酒造株式会社が日本酒を醸造し、2020年1月に「純米大吟醸 道行竈」が完成しました。

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2年目となる今年は、さらに耕作放棄地の田んぼを復田し、コシヒカリを栽培しているとのことです。

コシヒカリは「道行竈のお米」としてブランド化を目指しています。

チャレンジで生まれる交流

日本酒プロジェクトをきっかけに、大学生をはじめとする若者がたくさん訪れているといいます。

チャレンジをきっかけに、この集落の取り組みや文化に興味を持ってくれる人が増えました。

道行竈の住民はほとんどが高齢者です。はじめは抵抗があったということですが、プロジェクトが進むにつれて交流が生まれるようになったそうです。

若者と一緒に住民みんなでご飯を食べたとき、
「こんにしてみんなでご飯作って食べるの、何年ぶりやろなぁ。」
と話す人がいたそうです。

交流だけでなく、一歩踏み出すことでいろんな世界が広がることってありますよね。

挑戦することはものすごいエネルギーが必要だけど、リスクや苦しさがあるけど。

人から知ってもらえたり、応援してもらえたり、仲間になってくれたり。
コロナ禍のなか、いま必要なのは挑戦と人の絆なんじゃないかと、このプロジェクトを見て思いました。


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