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スタートアップはなぜ、楽しくて、辛いのか? スタートアップで働くかもしれないあなたに、知って欲しいことを、転職会計士がお伝えします(上巻)

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はじめに

本書に興味を持ってくださり、誠にありがとうございます。本書のテーマはスタートアップ企業と大手大企業での働き方の違いについて、組織の在り方や働く仲間たちの姿にフォーカスすることで、皆さんに解像度の高いイメージをつかんでいただくことにあります。スタートアップ、大手企業どちらで働くべきかといった主観的なことは書いていませんが、様々な組織で働いた経験を元に、具体的なイメージがつかめるよう、特徴を検討させていただきました。世の中には、それ以外にも大小無数の組織体がありますし、最近では個人で働かれる選択肢も多くなっていますので、どのような形で働くにしても、スタートアップと大手企業を対比することは、職場環境を考える上で大変有意義であるとの想いから、このような対比にしています。

私自身のキャリアの話で恐縮ですが、新卒で大手営業会社勤務をスタートに、25歳で急に会計士の道を選んだり、監査法人という専門家組織勤務から、大手商社の管理部門へ転職し、さらにはスタートアップ企業やオーナー企業など、様々な規模や属性の組織で働く機会を得ることができました。直近ではベンチャー企業の取締役CFOとして会社を上場させるという機会にも恵まれ、現在はCFO領域を中心にコンサルティング事業を行っております。いずれの転職も目的をもって行っており、その都度、多くの学びや反省を得てきました(周りからは転職回数が多いと指摘をされることもあり、そのあたりの反省も踏まえております)。組織が変われば働き方や生活ががらりと変わり、ともすると対外的な人格やキャラクターすら変化していたように思います。

転職に対する抵抗が以前よりも少なくなっていたり、連日のように転職を意識させるCMを目にする現在の社会状況のなかで、みなさんは日頃から次のチャンスや学生の方にとっては就職先の検討など、悩みが尽きないのではないかと思います。また、経験者の反省として、履歴書上の転職回数をむやみに増やすことで、後々苦労することもあり、できれば長く働ける環境や業務を見つけていただきたいとの思いもあり、本書を執筆しています。

転職や就職前に、転職経験が多い会計士の話でも読んでみるか、という軽い気持ちで参考にしていただければ、私の転職経験とそれにまつわる悩み多き日々も報われる気がします。

みなさんが実際に働くとどんな感じなのか、という日々の現場目線で、できるだけ多角的に検討を重ねている内容ですので、バーチャル就業体験とまでいかずとも、なんとなく知っていることがより具体化されるよう解像度が高まれば良いなと思います。

それでは、本編をお楽しみください!

第1章 転職先・就職先としてのスタートアップ

スタートアップって実際どんな感じなのか?

スタートアップへの転職、就職の話を友達から聞いたり、転職エージェントや就職アドバイザーさんが、選択しとして、スタートアップを薦めてくるなど、現在では就職・転職先候補としてスタートアップ企業は外せなくなっています。

とはいえ、なんだか不安だし、名前も知られていないスタートアップで働くことはちょっと考えられないなあという方もいらっしゃると思います。一部のスタートアップ企業は、サービスや技術が世間の注目を集めていたり、また、大型の資金調達を行ったことで話題になっていたりしますし、そこで活躍する若手経営者さんが持てはやされる姿も目にすると思います。また、スタートアップで活躍する人たちが積極的にSNSで自分たちの成功体験などを拡散して、華やかなイメージを醸しているのも現在のスタートアップ人気の一因かと思います。

しかしながら、大手企業や公務員など大組織とスタートアップでは、仕事環境が全然違っていて、ある程度の知識と理解なしに参加することは望ましくない、というのが本書の問題意識でもあります。知らずに踏み込んでミスマッチが起きないよう、また、イメージをつかんだ上でワクワクしながらスタートアップに参加していただけるよう、ぜひ読み進めていただければと思います。

また、企業で採用の立場にあるみなさんには、改めて、組織や仕事環境の違いを確認いただき、自社の組織づくりや人材育成の参考としていただければ、これほどの喜びはありません。

スタートアップへの就職状況は?

まずは、現時点でどのくらいの学生がスタートアップに就職しているのか、データを見てみましょう。2021年度にマイナビエージェントが就活生に実施した就職希望アンケートの結果では、主にベンチャー企業志望、と答えた割合が36%でした、一方で、主に大企業志望と答えた割合が46%となっています。また、大手のみを志望する学生は10.3%という調査結果です。いかがでしょうか、皆さんのイメージと近いでしょうか? siryo2-2.pdf (cao.go.jp) ちなみに、実際の就職先を調査した資料によれば、2021年大学生の就職予定先のうち、中小企業が35%、大企業が65%という結果が出ています。004_03_00.pdf (meti.go.jp)

スタートアップへの転職状況

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