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前方後円墳に少し詳しくなる

きっかけはGeoguessrというゲームをプレイしてからである。
Geoguessrとは、グーグルマップ内のストリートビューがランダムで突然映し出され、ここが地図上でどこなのか?を当てるゲームである

ゲーム画面 
分かりやすい名所が来るとは限らないのがツボ

場合によっては、ストリートビュー内を歩き回ることでヒントを探していく
地理好きにはたまらない推理ゲームである。

話を戻して
ある時、突然わたしは前方後円墳の上に立たされた。

看板はあるが解像度が足りず、土器の形をした大量の埴輪に囲まれ、平野の奥に山が見えるくらいである

つまりヒントが何もなく困ってしまった
結果、全く当てられず
答えとしては『群馬県 保渡田八幡塚古墳』だったのだが、ここで一つ疑問が生じたのだ

「そもそも前方後円墳ってだけでどこか当てられるものなのか?」

例えば、遺跡でいうと城とかは
• 山城か、平城か
• 外壁や堀の規模の大きさ
• 石垣の組み方
• 瓦にある紋
• 城の色
などから時代や土地の推定ができたりする

というわけで
次また前方後円墳に瞬間転移したときに、見分けられるように、いろいろ調べてみた。

0.初めに考えていたこと

前方後円墳も様々種類があり、形状差がそのまま地域差につながってないか? ということ

しかし、形状差自体は分類できそうだが、 考古学のなかでも説がわかれており
また地域差というよりも時代差の方が大きい感じがある (時代の流れとして、 前方後円墳→円墳に移り変わったらしい)

あるとすれば、
時代の最先端である奈良や大阪付近?から遠く離れ、流行りに疎い地方で脈々と前方後円墳を作り続けた
とかあるかもしれない
「まだ、竪穴式で前方後円墳なんかやってるの?時代はもう、横穴の円墳しょ」
みたいな会話が古代にあったのかもしれない

 いづれにせよ形状だけで、一目で見分けられるようになるには、 全国の前方後円墳を調べつくし、 前方後円墳のマニアになるしかないのだ

他に絞り込んでいくのにはどうすればいいのか?

1.どういう立地にあるのか?

全国の前方後円墳の立地を調べるにあたって、
大変ありがたいことに、前方後円墳専用のスーモが奈良女子大学から出ている

全国のどこに前方後円墳があるのか?ひと目でわかり
条件にあった、自分好みの前方後円墳がいつでもどこでも探すことが出来るのだ

これを見ると、東北から沖縄まで広く分布しているが、全国どこでもまんべんなく広がっているわけではなく

市町村レベルでかなり密集していることが分かる。
昔から日本人が暮らしてきて、ムラ→クニと発展していったとしても、交通事情や開拓の具合で、集落として大きくなるにも限界があったのだろう

有名なところで言えば、
大阪の堺市にある百舌鳥・古市古墳群はその大きさと、 全国の前方後円墳の規範となったということから世界遺産となっている。
南海に乗って南に下っていく車窓から、遠くに見える大きな森を見て「あれは古墳かな?」と思ったら大体、古墳である

こういう風に、 都府県のどこに密集しているのか知っているだけでも、 ゲームとしてはかなりヒントになる。
見渡せる遠景が都市なのか、山なのか、平野なのか、海なのかで、都府県が絞られてくる可能性もあるからだ

2.統計的に

では、あとは運任せ感はあるが
どの都府県を選択すれば確率として高そうかを調べよう

全国の前方後円墳は5200基近くあり、 そのうち上位はなんと関東に集中している

 1位千葉 693基
 2位茨城 468 基
3位群馬 393基

関東平野を選ぶだけでも30パーセントの確率で当たる

ちなみに近畿地方は
奈良 327基
大阪 200基
ほか地域別でいうと
東北 : 福島 80基
北陸 : 福井 106基 、石川 102基
東海 :  静岡 107基、愛知 105基
四国 : 香川 84基
中国 :  鳥取 249基、島根 164基
九州 : 福岡 270基

こう見ると千葉の異様さが目立つ

ここからは調べた内容と自分の考察なので、あしからず。
一番はまず見つかる要因となる都市開発の影響があるだろう
ではなぜ東京ではなく千葉なのか?
まず東京周辺はもともと大きな湿地帯であり、ムラとしても、古墳を作る地盤としても永住する地盤としては暮らしにくい。

房総半島はそこまで高い山はないが、谷が多く、ムラとムラが分断されやすい
海も山も近くにあることから、食料には困らない

そういう理由で、千葉はムラが乱立しやすく、人も増えやすい状況だったのかもしれない

かつて千葉は交通の要所であったという説もあるが、神奈川や静岡にも、もっと沢山あってもいいのではないか?と私は思う

まあ、この辺は考古学の進歩とともに分かってくるのかもしれない

3.登れる古墳

最終手段、知識でゴリ押す
「登れたりするような、観光地化された古墳をとにかく知っておく」

古墳は有力者のお墓である上に遺跡である
大仙古墳(仁徳天皇陵) などは世界遺産といえど、 宮内庁管轄であり、遺跡の調査ですら滅多に立ち入れない禁域である

世界遺産だからといって旅行しに行ったとしても、池のうえに広がる森を眺めるのがせいぜいで、 訪れた人はみな、遠い上空へ思いを馳せて全体像を想像するのだ。

実はその巨大すぎる古墳のために、その全貌を見渡すことができる建物はなく
飛行機で見える大仙古墳が一番よく。 googlemapが一番コスパがいい。

この規模なら宇宙からも見れるんじゃないの?

流石に登れる古墳を全て紹介するのは大変なので、
調べた中で、オススメの前方後円墳スポットを紹介しよう

1.牛久は大仏だけじゃない
茨城県牛久 くれふしの里古墳公園

ここの公園内には6基の前方後円墳と、少し珍しい帆立形前方後円墳もある。当然登れる前方後円墳も備えており、土器型の埴輪に囲まれることができる

一番の売りは巨大な埴輪が出迎えてくれることである。
埴輪のなかに入り、てっぺんに登り、公園を見渡すことができる
春になれば周辺に桜がさくので、埴輪ついでに花見も楽しむことができるだろう

牛久はなぜこんなにも立像を巨大にしたがるのだろうか、、、

2.爆速で駆け抜けろ
徳島県鳴門 大代古墳

みな一度は巨大な前方後円墳を走り抜けてみたいと夢見たことがあるだろう

ここはそんな夢を1秒で叶えてくれる
古墳の下を、それも

四国から淡路島方向、大鳴門橋へ向かう途中
突然トンネルが現れるのだが
それはなんと前方後円墳の下を通すためのトンネルである。
気を抜いていると、あっという間に過ぎ去ってしまうので注意してほしい

実はここの古墳、登れるのはごく限られた日になっており。年に1回、午後1時~3時となっている。
理由としては、高速道路の真上にあり、安全上入るにはネクスコ西日本の許可が必要なのだ

古墳の下に、現代に作られた道とトンネルがあるなんとも時代交錯した状況をぜひ見に行ってほしい

古墳下にトンネルという状況は厚木、富田林にもあるが、駆け抜ける速さでこっちを選びました。

3.古代の集団墓地
宮城県西都 西都原古墳群

古墳群というと、隣町まで含めた広い範囲であることが多い
しかしここは、現代の墓地並みに密集している。見渡す限り古墳、古墳、古墳
集合体恐怖症の方はグーグルマップで確認しない方が良いだろう。

どうしても、大量の古墳を縦横無尽に走り回りたい、古墳に囲まれてゆっくりしたいという衝動に駆られたとき、ぜひ行ってみるといいだろう
何も言われなければ、子供たちはアスレチックの一つだと思ってしまうくらい、凹凸の激しい公園になっている

4.古墳時代から現代まで
埼玉行田 埼玉古墳群

さいたま県名発祥の地である行田周辺には、たくさんの古墳がある
中でも稲荷山古墳は、教科書で一度は見たことのある鉄剣が出土した古墳であり、登ることもできる。

また、八幡山古墳では石室に入ることができ(土日10〜18時)、今では味わえぬ土葬での葬儀を体験し、終活を考えている方にもぜひ勧めてほしい。

近くにある博物館はもちろん充実していて
鉄剣はもちろん他の出土品、勾玉作成体験など、古墳とその時代背景を五感で学ぶことができる。

少し足を伸ばせば忍城も近くにあるので、古墳ついでに見学し
丸一日かけて、古墳時代から戦国時代そして現代と、日本の土木の歴史を駆け巡ることをオススメする
石田堤が古墳と接する、時代を超えたコラボレーションは激アツ


以上結論として
geoguessrで前方後円墳がノーヒントで出題されたときは、ピンポイントで答えることはほぼ不可能。困ったら千葉を選択しておこう

とりあえず家の近くの前方後円墳くらいは目を通しておこうと思う

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