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伊勢転生(芥川)#失恋墓地


これで何回目かなあ。

20回目よ。重い?

変わらないよ。

この、愛らしいわね。恥ずかしそうにミルクティー混ぜてる。

君の面影があると思わないか?ほら目元とか。

もう自分の顔忘れたわ。ねえ、耳にキラキラしているあれは何?

真珠さ。前にもきいたよ。

覚えてないわ。50年もまえなんですもの。

ぼくが贈ったんだ。この娘を君にするためにね。白玉かなにぞと・・・

あなた、この娘を抱くときにもその白玉を付けさせるつもり?

そうさ、ぼくは君を抱くのさ。真珠は君の形見だ。あのとき契りを交わす前に君は露のように消えた。だからぼくは・・・

転生するのね。
でも、かなうことはないわ。

だけど、かならず君はこうしてぼくの背中にやってくる。

そろそろ出ましょう。夜になると怖いわ。この娘を帰しなさい。

        ☆ ☆ ☆

業平さねひら、重くない?

大丈夫さ。ほら見えてきた。あの塚だよ。あのときもこうやってこの芥川のほとりを・・・

あそこでまたわたし消えるのよね。露みたいに。
                             (409字)


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