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草刈り

 今日は朝の7時から小学校の校庭の草刈りに駆り出されて、炎天下なら良かったのだがあいにくの花曇りという最高の草刈り日和となってしまい、結局10時30分頃まで汗を流すはめになった。
 ここら辺の人は田んぼや畑を持っていたり山を持っていたりという家が多く、家には草刈り機の一台、二台はたいていあるようだ。そして使い慣れている。
 私の家にはそんなものはもちろんないし、これまでに使ったことさえない。
 だから今日などは男の人たちは草刈り機のエンジン音を響かせ、うおんをんと、良く伸びた青々とした草をかっこよくなぎ倒していくのだが、私は女性陣に交じって、手で一つ一つ抜いていくのだ。
 しかしこの手で草を抜いていくという作業もそれなりに楽しめるもので、私は想像の中で「キングダム」の軍の衝突を見ていた。
 群がる敵兵の中に一人飛び込んでいく「信」(私の手)が周りを取り囲む敵(これが草)を次から次へとなぎ倒していくのだ。まずはクサビのように突破してそこを足場に自陣(草を抜いた所)を拡大するのだ。
 少ない数の味方で、その何倍もの敵に挑んでいく彼らは、このひたすら次々と引っこ抜いていく草のように敵をせん滅していくのだろうと、「信」や「キョウカイ」の心情とシンクロしていたのだ。
 振り返ると私が軒並み拡大してきた自陣が確かな成果としてそこにあるではないか。草刈りをしながら一人悦に入るのであった。

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