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弱小吹奏楽部を追いかけた軌跡 第13話 保護者の動揺

ホール練習での撮影を終えてから数日間、体に異変があった。熱は無いけど倦怠感がすごい。当日の気温が36度を超えていたため、まだ暑さに慣れない体が夏バテを起こしたのかもしれない。それに加えてプレッシャーのかかる時間を過ごしたためか。

編集した演奏動画は、保護者会のグループLINEで展開してもらった。
いろいろと励みになるコメントをしてくれる保護者の方や、編集にダメ出しされる方、既読スルーの方。
いずれにしても、概ね良い反応を頂けたことは自信になり、気分が良かった。

肝心の娘はクラリネットゆえ最前列で座奏していたけど、顧問の先生である指揮者の陰に隠れてほとんど映っていない💦
娘いわく『演奏に集中できるから今のポジションは良いかも』
親としては複雑だけど、我々の吹奏楽部は上手に演奏し地区大会を突破するという大義のもとに活動している。
私にとっては全ての奏者が私の子供のような存在になっていた。
だから娘は1人の奏者としての存在でしかない。あまり画面に映っていなくても大丈夫。

子供達が一生懸命に演奏している動画を通して、忙しくて顔を出せない保護者の方々に見せたいことがあった。
これは自分自身が感じ学んだことでもあるけど。

毎日部活で頑張る子供達は何を目指して一生懸命に取り組んでいるのか。
先生・子供達・保護者が本気になって一つの目標に向かっている姿。
他にも色々感じたことはあったけど、どうか親たちよ、熱くなれ。
そんな願いを込めて編集した。

まあ、『親たちよ、熱くなれ』なんて今振り返ると勘違いも甚だしいが、音楽素人の私だから邪念など無い。ただ突き進むのみである。

地区予選まで1ヶ月を切ったこのタイミングで、なんともバカバカしい話が持ち上がっていた。
娘の後輩たちである1年生、その保護者の方々から数名を撮影補助として協力してもらっていた。その協力的な保護者たちへ他の保護者が不満を述べていたらしいのだ。
なんでも、撮影したり、セッティングでステージを歩き回る様子(もちろん演奏中はしません)、それらが顧問の先生に迷惑をかけているというのだ。
私は顧問の先生から『ガンガン撮影して欲しい』というお墨付きを得ている。

私に直接言ってよ・・
やはりというか、撮影チームの何人かは不安な気持ちになっていて、一人一人に狙い・目的を丁寧に説明する作業が続く。

『誰がそんな不満を言っていますか?私が直接説明します。』

何人かに聞いてみたけど、
『それは教えられないです』
ばかり。モヤモヤが頂点に達する。

ある程度いろんな方と話をして、どうやらある1人の保護者が言っているらしいことはわかってきた。その人を責めたり恨んだりする感情は全く無かったが、厄介だ。

4年間も連続で地区大会敗退が続く我が吹奏楽部が、こんな低レベルな話題に付き合っているヒマなどない。
損得勘定や忖度などではなく、正しいことを考えて行う。そうすれば必ずみんな理解してもらえる。そう信じて行動することにした。

また顧問の先生へお願いして、保護者向けの定期通信を私が作成して配布することにした。
今の現状や部活の様子、先生や子供達からのメッセージ、楽器のことや、各種コンサート情報などなど。
作成した動画はQRコードで印字して、1人でも多くの方に見てもらうように工夫した。

色々と動揺した保護者の方もいたが、不満な声は聞こえなくなっていった。
不満はあったのかもしれないが、私のところには届かなくなっていたのかもしれない。

そしていよいよ本番4日前の壮行式が行われた。学校の体育館で、いわば内見会だ。

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