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脱サラ物語/第3章~運命の女神と魔法の力

ども。kissyeeです。

ハリー・ポッターの映画タイトルみたいになってしまいましたw

自分事ですが「脱サラ物語」を書きます。長いこと平均年収以下の派遣社員だった私が40歳を迎えて十分稼げるようになったリアルな話を書くことにします。

※第1&2章を読まれていない方は是非 第1章からお立ち寄り下さいね↓↓

それでは、脱サラ物語 第3章のはじまりはじまり~( ・ω・)ノホイ


会場に着く前から本番は始まっている

一級建築士/二次試験(製図)は毎年10月に実施されます。自分の誕生日とモロ被りの時が多く、毎年お誕生日会どころではないのでした。

試験会場は、専修大学 生田キャンパス。真夏の暑い時に、山の上まで登ります。 バスも出てますが結構混んでて、A2サイズの製図版を担いで汗かきながら行くのです。本当に体力勝負で、なんでこんなところに…と思いながら毎年会場を目指すのでした。

会場について具合が悪くなることもしばしばでした。なぜなら、この日を迎えるまでに睡眠時間も削ってトップギアに入れっぱなしなので、ペース配分を間違えると戦う前に瀕死になるのです。

毎年の事なので、会場周辺のトイレの位置、コンビニの場所、歩きやすい道、全部頭の中に入っていました。受験回数が多いので、せめてものアドバンテージと言ったところです。 

ドS過ぎる試験内容

二次試験は6時間30分ぶっ通しの恐ろしい試験です。途中で休憩などありません。トイレに行きたい時は黙って手を上げ、試験監督のバイトくんがトイレまで付いてきます。常にピリピリした雰囲気です。

7月末頃になると「今年の課題」が発表されます。例えば「2階建て図書館で〇〇平米程度」ですみたいな。そうすると、そこから10月まで図書館の事をひたすた勉強し、どんな建築条件でも設計できるように練習しまくるのです。この年の課題テーマは「道の駅」でした。

たった6時間半で、問題を解読して法に適合する図面を仕上げ、計画の要点をまとめた説明書を書き上げないといけません。計画の要点には意匠/法規/構造/設備/環境などをどう考えたかを記して、描き上げた図面と内容が一致していなければ大減点=不合格となります。(※もちろん全部手書きです。)

僕は二次試験の受験がこの年で通算6回目でした。自他共に認める諦めの悪さで、同期生は合格したり諦めたりして一人もいなくなり、経験値だけは誰よりも上がりました。

試験会場に潜む悪魔

会場に到着後、予備校の先生に言われたことを思い出していました。

「kissyeeくん。試験当日は実力の半分だけ出しなさい。そうすれば必ず君は合格する。」

この言葉の真意はこうです。

私には悪い癖がありました。試験本番で無意識に「より良い設計」をしようとするのです。例えば、この方が眺めが良いだろう~、窓は大きくしたほうが良いだろう~、天井はこのくらい欲しい~、など主観が入ります。良かれと思ったことが逆に課題を難しくしてしまうという、致命的な癖がありました。例えるなら、パズルの1ピースが形を変えると全体が完成しないような感じです。

それからもう一つ。

本番パワーを出そうとしていつもと違うことをしてしまい、練習してきた手順を踏まないことです。肉体も精神もギリギリの状態で「いつも通り」を出すことは非常に困難でした。まるでアスリートの領域です。(私の場合は合格に対する想いが強すぎるのも原因の一つでした。)

なので、先生は言いました。

肩の力を抜きなさい。試験前にテキストなんて見ずにベンチでゆっくりコーヒーでも飲んでなさい。今までやってきた自分を信じなさい。教室や自宅でやってきたことを本番で思い出しなさい。

先生が掛けた魔法の力

僕はこの年、初めて先生の言っていることを丸々そのままやってみようと思えたのでした。先生を信用してなかったんかい!と聞こえて来そうですが、その通りなのです。頭では分かっていても、本当の意味で先生の言葉を理解していなかったんだと思います。

かくしてこの年、試験中に先生の教えを何度も思い出し、最後まで悪魔は現れませんでした。なのでパズルは無事完成したのです。試験中も周りを見渡して「頑張ってるなー」と、何処か他人事で眺める自分がいました。例年には無いことでした。

試験後は毎年同じ事を思う

ドS試験が終わると『よっしゃ!今年は行けるだろ!』と必ず思うのでした。だけど不合格。またやり直しかぁ~と落胆する。いつものパターン。懲りない奴です。

そんな年が何年も続いていました。この年も同じように手応えを感じていましたが、一度も手応え通りの結果に結びついていないので、いい加減自分に信用ならないのでした。あとは天命を待つのみ。

取り敢えず、10年間、俺、お疲れ様!!

運命の瞬間は山手線で訪れる

二次試験の合格発表は2ヶ月後の12月中旬です。合格発表の日、朝9時半頃にオンラインで公開されるのですが、オンタイムだとアクセスが集中してなかなか開くことができません。いつもイライラしながらnow loadingのマークとにらめっこするのでした。

その日、朝からソワソワしながらもいつも通り片道2時間の出勤中でした。9時半になったら発表を見ようと思ってたのに、電車内でぐっすり寝てしまい、乗換駅で気づいて慌てて降りて、そのまま山手線にふらふらと乗り込んだのでした。時間は9時50分頃でした。

あ、今日は合格発表だった (;・ω・)

カバンから携帯を取り出し、運命のクリックをしようとすると、ようやく心臓の鼓動が早くなってきて、だんだん目が覚めてくるのでした。

五反田駅で全米が泣いた

山手線では有名な歓楽街の駅『五反田』。大量のお客さんが乗り降りする車両の中央付近で、つり革をつかんだ男35歳はスマホに写し出される自分の名前を見て震えました。

この10年を労うように、運命の女神様はスマホの画面の真ん中に僕の名前を写し出してくれました。

僕はコートの襟に顔を埋めながら泣きました。

声が出そうになりながら、奥さんに『受かった』と短いLINEをしました。すぐに既読になって、奥さんも泣いていました。

10年前に一級建築士を取ると決めてから、まさかゴールテープがこんなに遠いとは思ってもみなかったけど、頑張って良かったし、この試験が自分を成長させてくれたと心から思えたのでした。

「俺は、建築士になる!」と周囲にも公言してたので、嘘つきへっぽこクソ野郎に成り下がらなくてよかったと落ち着きを取り戻してから胸を撫で下ろすのでした。

家族はいつまでも僕の味方

親にもすぐ報告しました。喜んでくれました。お祝いパーティーも開いてくれました。両親が自分事のように舞い上がってるのが伝わって、心から嬉しくなりました。

遠く離れた姉にも報告しました。昔、僕の目指す道や仕事に関して色々言われたことがあって、電話越しに大ゲンカしたことがありました。姉なりに弟の将来を本当に心配してくれたんだと、今は心から感謝しています。

もし将来、自分の娘が何か目標を掲げ、それを叶えた時、自分も大いに舞い上がろうと思います。(どんな大人になるのかパパは楽しみにしているよ)

報奨金を申請する

資格を取ると報奨金が貰える制度が勤め先にありました。私は晴れて報奨金を申請し、受け取る権利を得ました。同僚からの羨望の眼差しも意識しましたし、結構良い金額が貰えるので本当に楽しみにしていたのです( ´∀`)ハハハ

報奨金が振り込まれる日、ルンルン気分でATMに確認に行ったら、なんと思っていたより少ない。。。

おぃ、どーなってるんだよ (*`Д´)ノ!!!

つづく...(。・`з・)ノ

kissyee

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