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【読書】「なめらかなお金がめぐる社会。」

正式なタイトルは「なめらかなお金がめぐる社会。あるいは、なぜあなたは小さな経済圏で生きるべきなのか、ということ。」という割と長めのタイトルです。
略して「なめ金」などと呼ばれているようです。

本書はCHAMPFIREというクラウドファンディングのサービスを立ち上げた起業家の家入一真さんの著書。

本書の中での小さな経済圏とは、個人や地域レベルで小さなつながりを持ち、支え合っているコミュニティのことを指します。

前回のnoteの記事では「シェアライフ」という、シェアの概念によって世の中をより豊にしていく思想についての本を紹介しましたが、今回紹介する「なめ金」も小さな経済圏についての話で、コミュニティの中でうまく経済が回る仕組みという点では目指す思想には近しいところがあるようにも思います。や

家入さんはCHAMPFIRE意外にも無料のプログラミング合宿やシェアハウスやカフェなど、小さな経済圏によって新しい生き方ができる人を増やすために様々なサービスを展開しています。

本書の中で個人的に特に印象に残っているのは、青空学区というプログラミング合宿の話。
私自身がプログラミングスクールの講師の仕事をしていることもあって、なるほど、そういうマネタイズの方法もあるのかとすごく勉強になりました。

どんな仕組みかというと、完全無料だが、募集の段階で「スパルタキャンプ」という合宿名にして、途中で止めることを許さないようにしたのだそう。
するとむしろ募集が殺到し、そして本気の人ばかりになったのだそうです。
無料にしたら利益は生まれないと思うかもしれませんが、この合宿で学んだ人は、次の合宿で講師になったり、プロジェクトを手伝ってもらったりと、何かしらの形で貢献する仕組みで成り立っているのだそうです。

また、アメリカなどでは、大学生に無料でプログラミングを教え、その後生徒が大手企業に就職できたら、給料の1割を学校にはらうという仕組みもあるのだそうです。

また、以下の主張も印象的でした。

学びの場で授業をもらってしまうと、生徒の中には「お金を払っているんだから自由にやってもいいじゃないか」という気持ちになってしまう人もいる。そう思った瞬間にその関係性は「生徒」から「お客さん」になってしまうので、それ以上の関係を望めないことが多い。

なるほど、確かに。という感じでした。

私が所属しているプログラミングスクールは、最初にお金をもらい、その後に一からプログラミングを教えて、就職までをサポートするという仕組みです。
ただ、やはりお金を支払っているから、という考えで、受け身の姿勢になる人や、本気さを感じない人がいるのも事実。

無料にして途中で止めることを許さないというのは、本気の人を集めることでき、かつ、経済的に厳しい人でも参加することができるという点で多くのメリットがあると感じました。

もちろんこうすることが唯一の正解ではないとおもますが、経済的に厳しい人も救済しながらビジネスとして成り立つような、小さな経済圏という考え方は今後の社会においてすごく大事だと思いました。

自分自身がどう生きるのが幸せなのか、そして自分自身が行っているビジネスでどうやって多くの人を幸せにできるのかという点で、コミュニティと小さな経済圏という概念を考えさせられる本でした。


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