見出し画像

1人の仕事とチームの仕事

最近、音楽や映画、アニメ、ゲームなどのエンタメ作品を見ていると、それらに関わる仕事をしている人が羨ましいと思うようになりました。チームで一つのものを作り上げることに、強い憧れを持つようになりました。今の私の職場は職員の数が少ないベンチャー企業なので、何かをやろうと思った時、ほぼ1人で最初から最後までこなさなければいけないことが多くあります。その環境で働いていることもあって、チームで一体感を持って何かに取り組むことに憧れが出てきているのかもしれません。

以前働いていた職場はプログラム開発をしている会社で、そのときはほとんどの仕事がチームでの仕事でした。ただ、プログラム開発とエンタメ作品の制作とでは、根本的にチームの役割が大きく異なるように思います。例えば、映画を作る場合、監督や脚本家がいて、俳優がいて、現場のスタッフや、編集スタッフなどがいます。それぞれ明確に役割が異なっていて、どの役割が欠けても成り立たなくなるでしょう。しかし、プログラム開発において、チームメンバーに求められるスキルは、乱暴に言えば「ITスキル + コミ力」です。特定のスキルに特化した人を集めてくるよりも、単純にITスキルとコミ力が高い人の分身を作り出す方が効率よく質の高いものが作れます。

プログラム開発は、スキルの高い人の分身を作ることでも成り立つ仕事です。一方でエンタメ作品はそうはいきません。優秀な監督の分身がたくさんいても良い映画を作ることはできないし、一流の俳優の分身がたくさんいても良い作品は作れません。それぞれの役割に特化した人が集まることで一つの作品が成り立ちます。アニメなども同じで、絵を描く人、音楽を作る人、声優など、根本的に異なるスキルを持つ人が集まらなければ作ることはできません。そういう意味で、プログラム開発とエンタメ作品の制作では、根本的にチームの意味が異なります。プログラム開発におけるチームの役割は、シンプルに短い期間で終わらせるため、です。一方でエンタメ作品におけるチームは、役割分担をするためのチームです。

プログラム開発も、規模が大きくなれば役割分担をしてチームを作ることもあります。画面周りを担当する「フロントエンドエンジニア」、サーバー側のプログラムを作成する「バックエンドエンジニア」、環境構築周りを担当する「インフラエンジニア」などです。また、開発の工程でも役割分担をすることがあります。プログラムの設計書を作る「設計者」、設計書を元にプログラムを作成する「プログラマー」、出来上がったプログラムにバグがないか検証する「テスター」などです。これらは求められるスキルはそれぞれ異なりますが、それでも雑にひとくくりにすれば「ITスキル」で片付きます。人によって得意不得意の差はあれど、様々な開発現場を経験してきたエンジニアであれば1人で全範囲をカバーすることは可能です。

私もチームのリーダーとしてプログラム開発の仕事をしていたことがありあますが、その時は自分の分身が何人かいる方が効率良く進められそうだな、と思っていました。色んな人がいた方が視野が広くなって色んな意見が出るので、色んな人がいてもいいし、その方が多様で柔軟なチームになるであろうことも分かっています。私自身、未熟な点も多いし、ミスをすることも多く、チームメンバーに助けられたことも多いです。ただ、本当にいてくれて助かったと思えるメンバーは全体の半分くらいでした。開発の効率化、という点においては、下手に人を増やすよりも、自分の分身がいる方が助かるな、思っていました。そういう経験があるからこそ、「様々な役割の人が集まったチームでの仕事」に強い憧れがあります。

チームでの仕事に対する憧れが強くなる一方で、プログラム開発の仕事は、1人でも完結させることができるのが大きな魅力だとも思うようになりました。コロナ禍で人が集まりにくく、外出を控える状況になっても、家でPC1台あれば1人で完結できるモノづくりができる仕事はそう多くはないのかもしれません。

1人でも出来るモノづくりのスキルを高めつつも、今後チームでしかできない仕事にも携わることができたらいいなと思います。

サポートいただくとめちゃくちゃ喜びます。素敵なコンテンツを発信できるように使わせていただきます。