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香りがうまれるところ.1 venustar organicsさん


日々の生活で意識して”香り”を取り入れている人はどれだけいるのだろう。寝る前に、車の中に、仕事の合間に、気分を変えるために。
私もいつ頃からか、”香り”を欲するようになり積極的に香りを”使う”ことで日常生活が豊かになりました。今回からスピンオフを含めて数回にわたり”鹿児島の香りがうまれるところ”のことを書いていきますが、ここでは「天然香料」ついてです。


鹿児島には”天然香料”を自社栽培・製造・加工しているところが2ヶ所あります。私が知る限り。(ごく小規模も入れたらまだあるかもしれない)
まず指宿市にある日本最初の香料園「開聞山麓香料園」さん

そして、今回紹介させていただく「venustar organics」さん

まだ東京で生活をしているときに、知り合いからいただいたルームフレグランスがvenustar organicsさんの
桜島小ミカン×霧島レモングラス でした。

この2種類の香料のはずなんですが、シュッとひと吹きだけで、時間差でいろんな香りが部屋にただよい、いつもの空間に彩り豊かさが与えられて気分も上昇。次々と香りのカプセルがポンポンと開き、フレグランスイリュージョンという空間デザイン・演出のような。

私は"違い"がわかる人ではないし、高級な香りを試したこともない、でもこれはたぶんすごい!そのうえ、自分が生まれ育った鹿児島で作られているってことにさらに衝撃・おどろき!で、当時薬草に深く興味を持っていた私は、作っている方にお話が聞きたいと思いvenustar organicsの工房におじゃまさせていただき、それから数回遊びに行かせていただいてます。

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ヴィーナスターさんはルームフレグランスはもちろん、化粧水、オイル、石鹸などを中心としたコスメブランドです。いくつかの商品取り扱い店はあるが、インスタを見て注文をされる関東のお客さんが多く、ほとんどアロマの先生方。

香り付となる精油、成分となる油も採油しており原料の植物も自分たちの畑で栽培。

・今の時期はひたすら草取り!
朝から日が沈むまで。ひたすら草取りって簡単に書けるし、言えますが、本当に大変な作業です。私も自分の畑にいろいろ植えてるのでたまに草取りはやりますが、あるエリアが終わったら前に取ったエリアがボーボーになっているは当たり前で・・・。
畑が2つあり、合わせて約1000坪。そこに防草シートを敷くのも一苦労です。春は何種類もの花が一気に開くので、それらも手で丁寧に摘み取り(1日1000くらいの花!)さっと洗って乾燥。そして、採油。蒸留。休んでいる暇がまったくなく、実際もう何年も丸々一日の休日がない。

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(乾燥が終わったら瓶詰めで、植物たちは出番を待ちます)


・「人って、休まなくてもけっこういけるもんですよ」

と、ヴィーナスターの永仮さん
すべての作業は永仮ご夫妻のみでやられてます。奥様の紗彩(サアヤ)さんが代表を務められて、旦那さまの洋文さんは商品開発というかサポート役。

体が持たなそうだ、私なら続かない無理である・・・。愚問だなとは思ったけどあえて聞いてみた、

どうしてそこまでできるんですか?

「それは・・・まあ、体が続く限りは 笑。
みなさんに知ってもらいたいんです。これが"新鮮"なコスメですよっていうことを。それを使ってくれたお客様によろこんでもらえて、声を直接聴けるのがうれしい」

日本にあるコスメブランドのほとんどは、原料を輸入品か合成されたものに頼るしかないのが実状。となると、原料がほとんど地元産ってすごいと思いませんか?
(ちなみに大きなメーカーはほとんど合成香料だけど、品質と価格を安定させることができるという利点がある)

「鹿児島っていう場所の利点です。
鹿児島は寒い伊佐市や霧島があります。(伊佐市は鹿児島の北海道と言われています!)寒いところから、沖縄がすぐ隣の与論までと長い。そこにいろんな気候があり土壌があり、いろんな植物を栽培する環境がよかった。
手に入らない植物は自分で育てようと思って。」

「精油というとヨーロッパが主流だけど、日本にはいいものがあるのに使わない手はないじゃないですか。基本的にはそこに住んでいるひとがいる地域で育っている植物っていうのが、そこにのひとに一番合うんじゃないかと。」

もちろん輸入された精油もステキな香りのものがあり、アロマテラピーの分野でも必要な成分があるものがたくさん。私もシダーウッド、パチョリ等大好き。


でも日本の土壌に根ざした植物・・・。
「香りの記憶」というが、植物が成長の過程で記憶したそこの土壌の香りというものがあるかもしれない、日本で育ったその植物たちの香りを積極的に取り入れたほうがもしかしたら細胞も喜ぶかも。とふと思ったり。

あと天然香料は含まれるすべての成分を数字にすることがむずかしい。ということもあり、わからないなにかがどう私たちに作用するかわからないという楽しみかたもあると思います。数字で計れない、なにか。


・人気商品の椿オイル

ヴィーナスターさんの椿オイルはおどろきます。オレイン酸という人肌に近い成分を85%も含んでいる椿オイルだが、肌へのなじみかたが他のものと全然違うんです。コールドプレスという、採油方法なのでいろんな成分がきちんと含まれたまま、肌にダイレクトに届く。(肌が生き返ります!)
さらにダマスクスローズの香りも付いているので非常に上品なオイルに仕上がっています。

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そして、このダマスクスローズ、バラの中で最上級と言われており香りがひじょーに高いです。高いと言ってもバラの香りも多種多様なので、人によっては「くさっ!」ていう感じ方もあることでしょう。
しかしダマスクスローズは、強めの香りが苦手な私でも好きです。柔らかで華やかで、、、(叶姉妹が浮かびますがw)

そんなダマスクスローズのシャンプーを永仮さんが開発されているようなので、出来上がったらぜひ試してみたいです。バスルームがローズで満たされるらしいですよ!わくわく。

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(このface soapもグー!他の天然香料の石鹸を使ったことがありますが、泡になると香りが飛ぶのですがこの石鹸は香りが飛びません。月桃はさいこー。そして椿オイルをぜいたくにつかっているため、保湿力もあります。わたしはこれをシャンプーとしても使っています。)

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(左ユズ 右ツバキ)

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この記事を書くにあたり、香りの言葉というのがとても難しかったので「調香師の手帖」という本を読みました。


資生堂の調香師だった方が書いた、とてもおもしろい本です。
ローズ香料の審査の場面で、、、
「鼻の先に異臭が引っかかる、とはどういう状態かといわれてもそれはご勘弁願いたい。香りを表現する言葉に困る・・・。中略
香料の判定に自信が持てるようになるまでには、相当数の修練を要する。」と。
洋文さんは元高校の数学教師でバリバリの理数系の方です。

調香っていうのは理系だったのは利点ですか?

「いや、、あまり関係ないかも。独学というか、最初から実践だったんです。今まで何十種類もの植物を何千回と蒸留しましたけど、脳が香りをインプットしてくれしてくれるので自分が取り扱ったオイルはある程度頭の中でこんな感じでブレンドすればこんな香りになるなあっていうのは自然に身に付きますよ。」

と簡単にさらりおっしゃいますが、自分で植物も育てたり蒸留したりとコストも場所も時間もかかる。いろんな香料をかぎこんで、”よい香り”を自分のものにしないといけない。それを独りでやられてきたのだから、、、、
天才って言われませんか?
「え!?いや、全然です!」と大きな声。
洋文さんの声はとてもでかいです。大きいというより、でかい!
でも、鼻先に神経を集中させる嗅覚はとってもとっても繊細。


・奥様のサアヤさんはカンボジア出身で、結婚を機に帰化されています。

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(洋文さんのポートレート撮影もお願いしたのですが、ひじょーにシャイな方でダメでした笑 いつかぜひ撮りたいと思ってます!)

洋文さんが学生時代に東南アジアを旅したときに立ち寄ったカンボジアで、利用したバイクタクシーがきっかけでサアヤさんと出会いました。
(そこから結婚にいたるまでは、ものすごくすてきな映画のようですが、壮大なストーリーで長くなるので割愛します♪)

お二人とも作業の仕方がちがうようですが、
お互いにないところを補っていらっしゃるようでステキなご夫婦です。

「慣れない日本の生活で大変こともあった、でも畑の仕事は好きです。一番自分に合っていると思う。それに日本が一番安全だし。」

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(行くたびに畑の様子を楽しそうに語ってくれます♪)

いつもサアヤさんは静かに静かに話されます。
そして知らないハーブの食べ方も教えてくれます。ドクダミの酢の物も教えていただきました!

カンボジア、とても複雑な内戦問題がある国。明日、今、の自分の身がどうなるかわからない、という危険と隣り合わせでずっと生活をされてきた方からしたら、日本は本当に平和なのだろう。

とは、言え、
だいぶ発展してきて毎年風景が変わってきているようです。いずれは現地に工場をつくり、現地の方に植物の育て方、商品の作り方を教えて販売していきたい、と洋文さん。


「最初はカンボジアのアンコールワットにくる観光客向けに石鹸を作ればいいんじゃない?ってなり、石鹸には香りが必要、精油っていうのが必要。どうやって取る?」っというところから小さな蒸留機を買った。


さきほどから蒸留、とか採油とか書いてますが、ピンと来ない方が多かと思いますのでこの蒸留法については スピンオフの回で触れてみようと思います。字のごとく、「蒸す」のですがこれがいろいろなものを生み出すんです!ご興味がある方はぜひお付き合いください、香りがうまれる瞬間なんです。

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(これはちゃんとセットされてない様子です、あしからず)


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(ここではハーブとどくだみが共存)

「ドクダミとかヨモギとか当たり前のものってなかなか価値を見出せないんですが、実はそれに価値があるんです。今後も勉強して行って、日本のものっていうことに目を向けて商品開発をしていきたいです。」

ドクダミの香りは日本でも好き嫌いが分かれてしまう。ヨモギはヨーロッパにニガヨモギがあるけど”良い”香りではないかもしれないが、それらをどうブレンドするんだろう!?

未知、、私には想像できないけど永仮さんたちはきっと作り上げるにちがいないでしょう。
この二つは日本ブランドになる可能性がありそうだし、鹿児島発の香りの革命家になりうるかもしれないvenustar organicsさんだから。

期待してますよ!


いただいたサポートはこれからも来双船がよい出会いができるよう、心から感謝しながら使わせていただきます!