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(学術)本を出す。出版社へのカバーレター

しばらく前に学術本を出すときのプロセスについて書いていました。経験談(現在最終校正中)に基づいているので、主に英語圏の大手の出版社からの出版を目指すという前提の話です。今回は、実際に出版社にアプローチするときの話です。

前回まで↓
1.出版社の選び方. https://note.com/kishotsuchiya/n/n36cd0a994d23

2.プロポーザルについて. https://note.com/kishotsuchiya/n/n2266c2abdff7

「ここから出したいなー」という出版社を4,5社選んで、自分が書いている本のプロポーザルが書けたら、それを出版社に送ります。(プロポーザルを送る段階では、複数の出版社に送ってもOKです。)

この時のコンタクトの仕方はいろいろあります。

1.事前にコンタクトを取って、学会や出版社のオフィスなどで実際に話して交渉する。(プレゼンする。)

2.既に出版している売れっ子か偉い先生に紹介してもらい、会う機会をつくってもらう。(こちらもプレゼンする。)

3.メールする。

私は、実際に会って一発勝負するより、しっかりしたメールを書いて送る派なので、(3)のやり方の説明をします。(実を言うとちょっとチキンを発揮しました。)

メールで交渉を開始する場合は(そうじゃない場合もそうですが)、出版社のウェブサイトをしっかり読んでください。著者へのインストラクションが載ってる場合が多いからです。大体の場合、履歴書、プロポーザル、カバーレター、サンプルの章の4つが必須です。

メールを受け取った出版社の方々が最初に読むのがカバーレター(あるいはカバーレターの体裁を取ったメール)です。構成は、英語のビジネスレターとかをちょっと勉強してみてください。

私の場合は、以下のように構成します。

1.日付
2.宛先
3.挨拶(親愛なる誰々様、自己紹介、要件、本のタイトル)
4.本の問題意識
5.内容とセールスポイント
6.本の構成
7.原稿の状態、出版に向けた大まかなスケジュール、想定される文字数
8.他の出版社にもコンタクトしてる場合はそのことも説明。
9.添付ファイル(プロポーザル、履歴書、アウトライン、サンプル)の説明
10.終わりの挨拶
11.署名

はい。盛りだくさんですね。内容はプロポーザルと似てますが、このようなたくさんの内容をA4用紙2枚に収めること。(プロポーザルは5-10枚くらいがベストです。)

プロポーザルでも同じですが、最初の2,3段落は特に印象的になるように工夫すること。それから本の話をするときは、学術用語(ジャーゴン)をできるだけ避けて、平易な言葉で書くこと。編集者たちは専門家ではないですからね。

後は、カバーレターがひどいと、プロポーザルが良くてもそこでお終いになる可能性があるので、英語圏で仕事の経験があるビジネスマンとか先輩の学者にチェックして貰った方がいいです。学生時代のクラスメイトの話ですが、完璧じゃない状態で送ってダメで、それを繰り返してるうちに優先順位の高い出版社からは全部断られてしまったという人もいます。原稿は優れたものなので残念です。

私はプロポーザルとカバーレター合計で5人の人たちに読んでいただきました。妻、既に出版している先輩の研究者3人、コピーエディターです。大事な所でミスりたくないですからね。感謝、感謝です。近所の人や親戚からは「腕一本で学者になった」と言われるんですが、いろんな面で先輩や友達やら家族には助けてもらわないと研究者業は成り立ちません(笑)

プロポーザルとカバーレターを送ってから、早い場合は一週間くらい、遅い場合だと3、4ヶ月で返事が来ます。良い返事ならば、次に査読(他の研究者たちが原稿を批評する)のプロセスに入ります。

複数の出版社に送っている場合、お返事は全然違うタイミングで来るので、返答するときには失礼の無いように気をつけた方がいいです。でも、第2,第3希望のところから先にアプローチされた場合は、第一希望のところの結果が出るまで待った方がいいです。出版社の方も自分たちが原稿を独占できるわけではないということは知っています。

カバーレター前後の交渉についてはこの辺りでしょうか。

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