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それぞれの時代の「ルール」と求められる「スキル」

こんにちは。
小学生の頃、歴史マンガ(「藤原道長」みたいなタイトルの教育マンガみたいなやつです)にドハマりする時期があり、同じマンガを何十回と読んでいました。大人になった今は、歴史に関するWikipediaを徘徊しており、やっていることは変わりません。(もちろんWikipediaだけではないですが)
そんな歴史好きの私が、これまでの歴史上の各時代における社会の「ルール」と、求められてきた「スキル」について考察していきます。

各時代の状況

狩猟社会(縄文時代以前)

ルール:自分たちで捕まえた獲物を自分たちで食べる
スキル:体力(パワーも含む)

現在の人類は約20万年前に現れたとされていますが、そのほとんどはこの狩猟社会の時代に属します。
この時代の最大の特徴としては、価値を貯めることができない点です。

人類は農業を知る前、基本的には狩りで生活をしていました。狩った動物はほとんどがその日かせいぜい数日以内に食べられていました。理由は簡単で、動物の肉をそのままにしておくと腐って食べられなくなるからです。
そのため、今日頑張った結果は今日享受できるもので、明日また頑張らなければ生きてはいけませんでした。
このような社会で求められるのは、体力です。体力がなければ狩りに行けず、食べるものがなくなってしまうからです。

これは現代からすると、非常に過酷で余裕のない生活に思えます。
一方で、そのような社会だからこそ、社会格差はほとんどなかったと考えられます。価値を貯められないため、生きていくために必要なこと以外に時間を使うことが難しかったり、狩りに行く人数以上で協力する必要性が小さかったりするためです。

農耕社会(弥生時代~平安時代)

ルール:年間を通じて自分たちで育てた作物を食べる
スキル:体力、協調性、計画性

次に、人類は農耕社会へと進みます。諸説ありますが、日本ではおおよそ1万年前に稲作が始まったと言われています。
この時代の特徴は、社会格差が生まれた点です。

狩猟社会ではその日暮らしで、群れ(今で言うと家族+親戚くらいのイメージ)くらいの単位でしか行動していませんでした。
しかし、農業を行うには、年間を通じた計画や、大人数での協力が必要不可欠です。そのため、一定数の人が集まって定住する「村」という概念が生まれます。集団ができると、それを統率する人が生まれ、それはやがて社会格差につながります。

最たる例が古墳です。
日本各地に非常に大きな古墳がいくつも存在しますが、ブルドーザーもトラックもない当時、あれだけの建造物を作るには、大量の人手と物資、そして時間が必要です。
ただ、当たり前ですが、古墳を作ったところで日々生きていくこととは何の関係もありません。これはつまり、価値を貯めることができるようになった、ということです。
今日生きるための活動以外の活動をしても、生きていけるようになったのです。これにより、余剰な労働力が生まれ、労働力を武力として活用した結果、村の統率者は他の村を従え、やがてはクニの統率者になっていきます。その結果作られたのが古墳なのです。

少し話が逸れましたが、このような農耕社会では、体力以外に、協調性や計画性も求められ始めたと考えられます。
今日獲った食べ物を今日食べるだけなら、何も考える必要はありませんが、年間を通じて食べ物を作り、貯蔵するため、今日食べ過ぎると1ヶ月後に飢えることにつながります。また、そのような計画を立てるのも自分だけではなく、周りの人と相談することが重要です。

封建社会(鎌倉時代~江戸時代)

ルール:生まれた時からの主君に仕える
スキル:家柄、武力、忠誠心

次に、日本を含む多くの社会では、封建社会と言われる、領主が各地域を支配し、それに仕える存在(日本だと武士)がいる社会に変わっていきます。
この頃から、徐々に職業が細分化していきます。これまではほとんど全員が農業をしていた社会だったのが、農業をする者、モノを売る者、戦う者などに分かれていきました。

もちろん封建社会においても大多数は農民なのですが、農民社会は上記の農耕社会と変わらない部分も大きいので、ここでは新たに誕生した武士社会に注目します。
武士社会では、武力の他に、主君(将軍や大名など)への忠誠が求められます。特に封建社会後半の江戸時代においては、武力よりも忠誠心の方が大きかったと考えられます。

そして、何より大事なのは、家柄です。
現代的な意味合いのスキルとは違いますが、その時代で出世するために必要な要素、といった意味で捉えていただければと思います。

当時の武士にとって家柄や血筋というものは非常に重要でした。いくら能力が高くても、家柄が低ければ要職にはつけないのが当たり前でした。
これが当時の社会のルールであり、常識だったのです。

このような社会になった背景としては、農業器具の改良や二毛作の開始などにより、社会全体としての生産力が向上し、余剰部分が大きくなったからです。つまり、生産活動に従事しなくても、食べていくことができる人の割合が増えたということです。
そうなると、生産活動における能力といった実質的な要素ではなく、家柄といった形式的な要素を重視しても、社会が成り立つようになるわけです。

このあたりについてはこちらの記事もご覧ください。


近代社会(明治時代~昭和時代)

ルール:より大きな規模の企業に勤め、給料を上げる
スキル:資本(土地など)、学歴、オペレーション力

次は近代社会(工業社会などともいう)についてです。世界では18世紀から、日本では19世紀から始まる産業革命によって、社会は工業化が進みます。大量生産・大量消費の時代へと突入するのです。
この時代は、資本主義とも言われるように、資本力が非常に重要な時代です。土地などの資本を持つ資本家と、労働者といった階級が新たに登場します。資本主義のルールにおいては、いかに資本家サイドに立てるかが重要ですが、労働者の間にも格差が存在します。

工業社会では、規模の経済が働くため、基本的には規模の大きな企業が有利です。そのため、同じ労働者でも規模の大きな企業で働く方が良い待遇を得られるのです。
そして、そのような大企業で働くために重視されるのが、学歴です。封建社会の頃よりもさらに産業が複雑化し、職業が細分化していく近代社会においては、ある程度の知識や思考力が必要とされ、本人の能力とは全く関係のない家柄という要素だけで社会の要職につける人を決めるシステムには限界がきます。

そこで登場するのが、学歴による選抜システムです。
子供たちに一律の教育を行い、その中で筆記試験の点数が高い人だけが大学などの高等教育機関に進むことができ、そこを卒業した人が大企業など、社会的な地位の高い職業につくことができるのです。

そして、入社後は、大量生産のために決められたシステムに沿ってオペレーションを効率的に行う人材が重宝されます。
物的成長社会では、ある程度世の中で求められるものは画一的で予測しやすいと言えます。(例えば昭和期の三種の神器など)
そのため、決まったことを忠実に実行する能力が重視される傾向にあります。それを測る指標が学歴であり、入社後はオペレーション力というわけです。


現代社会(平成時代~令和時代)

ルール:個人のスキルを高める
スキル:専門的知見、ポータブルスキル(論理的思考力など)

最後に、現代です。
現代はこれからの時代でもあるため、ルール・スキルや以下の内容はあくまでも現時点での私の考察である点はご了承ください。

現代は情報社会とも、脱工業社会とも言われています。
現代の特徴としては、物質的な豊かさはある程度社会に行き渡っており、質的な豊かさが求められるようになってきている点です。
三種の神器の例で言うと、ほとんどの家庭にすでに冷蔵庫やテレビなどはあり、人によって消費対象がバラバラであることです。人によっては旅行にお金を使う、より良い電子機器に使う、など消費対象が溢れて多様化しています。

そのため、製品やサービスも多様化する傾向にあり、近代社会ほどは大企業が規模の経済を発揮しづらくなっています。また、これは日本特有の事情もありますが、急激に人口が減少しており、大企業といえどマーケットの縮小からは逃れられません。同じ製品を作っていれば自動的にマーケットが拡大して成長できる時代ではなくなってきているのです。

このような社会背景から、大手企業に入ること自体が成功だった時代から、個人のスキル向上により焦点が当たるようになっています。
この傾向は少なくともあと数十年は続くのではないかと考えています。


まとめ

このように、各時代それぞれに社会のルールがあり、求められるスキル(要素)も変わってきていることが分かります。
さらに、時代が下るにつれて、社会変化の速度も上がっています。狩猟社会は数万年も続きましたが、封建社会は数百年、工業社会は百年程度で社会のルールが変わってきています。現代はインターネットで世界中の知識が共有されるようになったことなどにより、さらに変化の速度は上がっているように感じます。

そのため、上記のルールやスキルも数十年後にはまったく変わっている可能性もあります。ただ、今回の記事で書いたような変遷を知っていれば、ある程度予測できるようになるとも感じています。(今回の記事はかなり簡略化しているので、興味のある方は社会変化について色々と調べてみるとより面白いと思うのでオススメです。)

私の最初の記事、「JTC総合職=武士」説では、一部分に絞った内容でしたが、この記事はより全体像を記載しているので、大きな流れについて理解いただければ嬉しいです。
今回もお読みいただきありがとうございました!



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