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「フランシス・ハ」のここがスゴイ&次に観るなら

ダンサーの夢、彼氏との関係、友人とのルームシェア、全てが半端で人生曲がり角なニューヨーク在住27歳の女性、フランシスのお話です。

本作を端的に言うなら「回収力がスゴイ」です。この不思議なタイトルは、行き当たりばったりな彼女の性格も含めて、あるとき、瞬間的に回収されます。3000本以上観たなかでもこれほど鮮やかに、軽やかにタイトルを回収した映画はなかなか思い当たらないです。

走って、転んで、すりむいて、失敗続きでもフランシスはめげずに立ち上がります。お金が掛かる現実の街・ニューヨークにあって、無計画で夢見がちな姿は必ずしも共感できるものではないかもしれません。しかし、その”痛さ”をデヴィッド・ボウイの「MODERN LOVE」がその疾走感で映画的心地よさとして昇華しているように思います。

メンズライクなファッションや嫌味の上手さ、ドライな空気感はウディ・アレンやジム・ジャームッシュを感じさせ、サブカルの系譜として語られることも多いと思いますが、私は純粋にこの軽やかさ、映画的心地よさにフォーカスしたいです。

次に観て欲しい映画として、「ラビリンス 魔王の迷宮」をおすすめしたいと思います。魔王に連れ去られた赤ん坊を取り戻す旅に出た少女のファンタジックな冒険譚なのですが、この魔王役がデヴィット・ボウイなのです。ハンドメイドマペットの作り込みや奇想天外な魔界の演出、映画を彩る職人の高度な技が堪能できる傑作です。ぜひどうぞ。


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