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映画「クリムゾン・アイランド」世評は低いが気にするなかれ。これは面白い。

呪われた土偶が人を襲う映画について記します。

1.ピニャータとは

呪われた土偶が人を襲うというのが本作の大筋。ピニャータというのはメキシコや中南米で供されるお菓子や玩具を詰めた紙製の人形で、それを子供たちがくす玉のように割って遊びます。本作では人々が自らの悪しき心や災いを封印したパンドラの箱的な土偶がピニャータなのです。

https://filmarks.com/movies/47594

2.おそらく映画史上最もハレンチな競争

B級映画において島で遊び呆ける大学生はいわば生贄的な存在です。あらゆる堕落した遊びを考えつく彼らですが、本作では「パンツ集め競争」なる映画史上に類をみない低俗な遊びを決行します。島中に配置した下着をいかに集めるかという遊びです。これはひどい!

「おい!見ろよ!あのピニャータのなかにパンツが入ってるんじゃないか⁉」こうして、さまざまな負の因子が濃縮封印されたピニャータがかち割られることになるのでした。

3.ピニャータの存在感がすごい

ピニャータは実物の人形を作って撮影しています。この人形がまた真っ赤な顔した酔っぱらいのおっさんみたいな圧倒的存在感で、ぎこちない動きを含めて笑いをこらえることなどできようはずもないその姿は一見の価値ありです。そこから変形して空飛ぶ悪霊みたいになるのですが、そこが安っぽいCGなのはご愛敬。それにしても、すごいですよ。

4.どちらかというとピニャータを応援したい

そもそも、ピニャータに封印されていたのは人間の悪しき感情な訳ですから、ピニャータ自身悪しき存在ではないのです。どちらかというと、低俗にもほどがある遊びを繰り広げるアホな人間たち(あるいは身勝手にも土偶に悪しきものだけを詰め込んで幸福になろうとした浅ましい人間たち)こそが報いを受けるべき存在なのです。ピニャータ側から見たら、「これは僕の意思じゃない!僕の意思じゃないんだ!君たちが悪いんだ!」的な話ですからね。場面を切り取ると学生たちを殺戮する呪われた土偶、なのですが、全体を俯瞰すると本当に悪いのは誰だったんだ・・・と深謀してしまう見どころのある映画なのでした。世評は低いですが、面白いのでぜひどうぞ。

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